憲法記念日が過ぎると憲法論議も低調になるが、日本維新の会の丸山議員の国後島での「戦争」発言は国会で物議をかもしそうだが、安倍総理の提案する憲法9条1,2項を維持したまま自衛隊を明記する「加憲」は背後に秘められた重大なことが隠されている。
丸山議員の戦争発言は、国会議員としてはあってはならない発言として「日本維新の会」の松井会長は除名処分にしたがそれで解決する問題ではない。
日ロ外相会談でもロシアは「北方4島は合法的にロシアに帰属したことを認めろ」と要求するが私達の認識では「終戦直後のどさくさで強引に占領した」とおしえられている。ロシアの要求は事実を歪曲するもので認めるわけにはいかない。
丸山議員の「取り返すのは戦争で」という意味の発言はこのことを指摘しているのだ。
日本は新憲法で、「戦争放棄」「戦力不所持」を掲げ世界に戦後の日本の立場を公にしたが、これは押し付けられたものではなく当時の幣原首相がマッカーサーに直談判した結果であることは間違いない。
安倍総理は押し付け憲法と批判するが事実を知らないか、知ってて言っているのか。
戦争経験者、戦争経験した国会議員は年を取り一線から退き、今は戦争を知らない議員が国政を預かっている。
戦争経験者で長く経済団体の専務理事の要職にあった人(残念ながら名前が思い出せないが確か品田さんとか言った)が復員船の中で新憲法を示され「これで日本は平和になる」と涙したことを新聞で書いておられたとのを覚えている。
でも、今の時代「戦争放棄」「戦力不保持」はあらゆる外交で弱腰を強いられていないか。関係国は日本は憲法上手足は出せないと甘く見て挑戦、占領を繰り返している。
中国の尖閣諸島領海侵犯に公艦船まで出てきているし、韓国は竹島を不法占拠、自衛隊機へのレーザー照準を当てるとんでもない行為に出ているし、ロシアは北方4島返還問題で無理難題を押し付け結局は共同経済開発行為と言う名目でカネをせびっている。
いずれも日本は何もできないとみくびって挑発しているのだ。
自国を守る抑止力を持たなければ今後もこういうことは続く。今はアメリカとの日米軍事同盟で在日米軍の抑止力に頼っているが、これもいつまで続くか。オバマ政権の時は尖閣諸島問題で最後の最後にやっと「日米同盟の範囲内」と宣言してくれたため日本政府はほっとした。
こんな状況だから時の政権が外交で苦労するのは見えている。
安倍総理も本音はどうか知らないが、憲法9条1,2項をそのままにして自衛隊を明記する「加憲」案を提示しようとしている。「加憲」であれば公明党も言っていたことだし賛成してくれると考えたのだろう。
しかし、公明党代表の山口さんは「新しい価値観」のある事項を加えることは「加憲」と認めるが9条に自衛隊を明記することは難色を示している。
ところがこの9条「加憲」には問題があるのだ。
憲法学者の樋口先生は朝日新聞のインタビューで「自衛隊の書き加えは9条を失うことになる」危険を指摘している。書き加えるという行為の法的意味を理解していないというのだ。法原則の基本は「後の法は先の法を破る」と言うのがあり、違う内容を書き加えることは前のルールを失効させるというのだ。
安倍総理は憲法をそれほど理解しているわけではないだろうが、もしかしたら憲法学者の誰かが前項のアドバイスをして知っていたかもしれない。自衛隊を明記することにより1,2項が失効すれば安倍総理にとっては好都合なのだろう。
憲法改正論議ではそこのところも十分に審議してほしい。1、2項を失効させないためにはそれ相当の記述を追加しなければならないのだ。
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2019.5.
維新の会丸山議員の「戦争」発言を考える:戦争放棄、戦略不所持が弱腰外交になっていないか
2019.5.4掲載
今日の新聞を読んで(246):9条に自衛隊明記で戦争放棄、戦力不所持は失効か
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