ECBのドラギ総裁が8年の任期を終えて退任するという。8年前の2011年、ギリシャの債務問題がイタリア、スペインに飛び火し、欧州経済危機が叫ばれたころドラギさんがECB総裁に就任し政策金利下げに続き無制限の国債購入、14年に中央銀行で初めてマイナス金利政策を導入した。
中央銀行の金融政策となるとどうしてもFRBに目が行くが、マイナス金利をはじめて導入したのはドラギさんだったのだ。
その14年からのマイナス金利も19年にはマイナス0.5%までになった。
新聞報道を見るとドラギ総裁の金融政策も量的緩和、買い入れ額縮小、量的緩和終了、そして再開、マイナス金利もマイナス0.5%だ。
こういった金融政策の効果が検証されないままに「これでもか これでもか」という動きではないか。読売新聞が「ドラギマジック 道半ば」と言う。
こういう政策は導入の判断は楽(?)だが、終了するときの判断は難しい。どこまでも続けるわけにもいかない。ISO9000シリーズでは方針転換、終了するときの条件をはっきり決めておくことだという。それができていないと右往左往する。
ECBも国債に買い入れ額縮小、量的緩和延長に続き18年に量的緩和終了を決定していたが、19年に再開した。それには米中貿易摩擦、英国のEU離脱、ドイツのマイナス成長が背景にあるようだ。
ECBも金融政策の正常化に向かおうとしたがかなわなかった。ドラギ総裁は一度も「利上げ」ができなかったのだ。
FRBも利上げで金融政策正常化に向かったが世界経済の景気下降局面で「利下げ」、量的緩和政策に切り替えた。
日銀もECBを前例にマイナス金利を導入しているが世界景気は下降局面でマイナス金利しか策はなく、専門家の間では「躊躇なく追加的金融緩和措置を講じる」と市場にアナウンスするが手詰まり状態だという。
ECBも前IMF専務理事のラガルトさんを新しい総裁に迎え金融政策の舵取りをするが、日銀もその動向には注目だろう。
低成長、低インフレの日本型景気低迷にかからないように世界の中央銀行が知恵を出そうとしているのだが、量的緩和、マイナス金利政策の検証を後回しに右往左往する状況に不安を感じる。
景気後退→市場の量的緩和要求→中央銀行の量的緩和→市場は落ち着く悪い循環を切ることはできないのか。
量的緩和、マイナス金利で市場にカネを流すが安い金利で設備投資する企業は少ない。銀行がカネを貸したい企業は無借金経営、カネを借りたい企業はIT産業、介護産業など経営の不安定な事業ばかりだ。
逆に銀行経営の悪化が目立ってきたようだ。みずほ銀行の頭取が「マイナス金利の深堀」に異議を唱えた。
世界の景気を「金利の上げ下げ」で調整する金融政策の正常化はいつになるのか。
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