2019年10月4日金曜日

今日の新聞を読んで(296):安倍政権の実績「なし」でも「4選」があるのか


安倍総理の通算在職日数が10月1日で2832日になり戦後最長を記録したという。第1次安倍政権は小泉政権の後を受け急ごしらえのお友達内閣で数々の不祥事が発生、自らも難病で体調を崩し政権を放り出した。

民主党から政権を奪取した第2次安倍政権はアベノミクス3本の矢を放し異次元の金融緩和策は市場の経済動向とも合致して長期にわたる円高、株安の日本経済を円安、株高に導き日本経済を再生の機運を高めた実績は認めなければならないだろう。

気を良くした自民党はもっと安倍政権を継続したくて党則を変更し安倍3選の道を開いたが、長期政権になれば実績が問われ、更には弊害も出てくる。それなのに更に4選の可能性を二階幹事長が言い出した。「国民が望むなら・・」という。

東京新聞(2019.10.2)「こちら報道部」で「安倍政権 長期記録更新 何故続く」、「実績「?」でも「4選」の声」が目に留まった。

歴史上の政治家の実績を上げている。大日本帝国憲法を作った伊藤博文、サンフランシスコ講和条約の吉田茂、日露戦争に勝利した桂太郎、最近では「非核三原則」「沖縄返還」を成し遂げた佐藤栄作さんらの実績と比較されるとかわいそうな感じもする(東京新聞)。

でも実績を挙げるチャンスはあるのだ。ロシアとの平和条約締結、北方4島返還、北朝鮮との拉致被害者帰国問題、そして誰もやったことのない憲法改正などだが安倍総理一人が意気込んでもできるものではない。長い事務方の折衝が大事で官邸主導ではどうにもならない。

政治評論家の有馬さんは、消費税を5%から倍増させたり、特定秘密保護法、集団的自衛権行使など強行したがアベノミクス、女性の輝く社会作り、1億総活躍社会など勢いよくぶち上げるが批判や不都合があると修正する。実現されたかどうか分からないままに新たな標語を繰り出すと批判する(東京新聞)。

鳴り物入りではじめたアベノミクスの異次元の金融緩和策は、長い日本経済の停滞から日本経済の再生へむけ円高、株安→円安、株高に転換したが、アベノミクスのせいではなく、すでに当時の欧米の市場は日本経済に狙いをつけて動き出したときでタイミングが良かっただけだ。

そのアベノミクスも「津々浦々まで」とか「アベノミクスのエンジンをフル稼働」と言っていたが最近は所信表明でも1箇所に記されるだけでだんだんとうざかって行く。

問題の「2年で2%」と豪語した物価目標も達成できず日本銀行・黒田総裁は緩和策に苦労している。安倍総理が2%に固執すれば緩和策に出口はないのだ。国会審議で「自分の任期中にめどをつける」というが日銀黒田総裁に任せているともいう無責任さだ。

経済成長もままならない。GDPも中国に抜かれて半分の第3位、500兆円から600兆円を目指すというが成長分野の政策に行き詰まっている。

消費税増税はやってしまったが、社会保障費用に当てるはずの財源の一部を一部幼児教育、保育の無償化にまわした。国の借金を返済するためだったが政策を実行するための財源確保の手段としては増税しかなかったのだ。だから軽減税率で国民の生活に配慮したというが、増収分が半分に減ってしまった。

消費税収は「その使途を明確にし、官の肥大化には使わずすべて国民に還元する」という民主党政権時の閣議決定した改革方針があるがその方針を変えていいはずはないという(東京新聞 2019.10.2「消費税10%に」)

安倍さんは民主党野田総理との党首討論で「国会改革などを約束すれば明後日解散します」という発言を得て勝ち誇ったが、その約束事も守っていないのだ。

森友問題など自らの不祥事で民主政治の根幹を揺るがす結果になっているが「関与していない」「知らない」を繰り返すだけで詳細な説明をしていない。国民の60%以上は疑問を持っているが、それでも安倍政権支持か。

今は憲法改正にご執心で遅々として進まない国会憲法審査会を動かすべく、自民党の態勢を見直ししているが憲法9条に自衛隊を明記することで本当に自衛隊違憲論が解消するのか。そんなことはないだろう。

憲法審査会の与野党議員団が憲法改正の回数の多い欧州4カ国を視察したそうだが自民党の思索はずれに終わったらしい。ドイツなどは憲法に細かいことまで書かれているので何かあると改正しなければならない羽目になるのだ。その点、日本の憲法はしっかりしている。

得意とする外交では国会審議の途中でも時間を割いて出かけているが成果のほどはどうなのか。アメリカやロシアとの首脳会談では通訳だけを入れた2人だけの会談に臨んでいるが、どんな話をしているのか。プーチン大統領とは国益を害する格好でも4島返還を要求しているのか。国連改革を狙ってアフリカ勢の賛同を得るために頻繁にアフリカ諸国を訪問したが、国連安保理常任理事国改革が進むのか。

安倍政権は政策の内容をころころ変えて挑戦する格好を取っているが、2年ごとの政策の反省、検証がないままに次の任期に入る。そこで又、政策のタイトルが変わる。中には民主党政権時のパクリもあるし、野党の政策を抱き込んで野党の力をそぐ。

国会審議での安倍総理の答弁を見ても「的をそらす答弁」、逆に民主党政権を「悪夢のような」と批判し野党の質問の勢いを制する。哲学がないと専門家が指摘していたとおり発言は軽すぎる。

2年という短期間に日本の総理が変わることは、何もできないし、国際舞台での日本の立場が薄弱だ。だから自民党総裁選で2期から3期と伸び、更に4期という可能性もあるとか。

東京新聞の「実績「?」でも「4選」の声」に同感だ。


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