数学は曖昧なことは許さない。そのプロセスに間違いがあると結果に辻褄が合わないことになる。私たちの生活の中で理系分野だけでなく、文系分野にも数学的センスが必要ではないか。
この世の中の自然現象は物理の法則に従っている。その法則の根底に数学があり導かれている。数学なしでは説明がつかないこともあるのだ。あのアインシュタインも自分より優秀な数学者の力を借りなければ偉大な業績が達成できなかったこともあるそうだ。
その数学の重要性を指摘する新聞記事が目に止まった。
読売新聞 「ワールドビューの「今こそ数学のススメ」」という石黒編集委員の記事だ。私たちの世の中にはコンピューター利用でAIが重要性を増しているが、そのプログラムは高度な数学で動いているのだという。
ある企業の技術開発において数学で大きく躍進した事例が挙げられ、今企業から大学に数学の履修生を要望する例が増えてきたという。
ビッグバンに始まる宇宙の進化も高度な数学の解析を駆使して私たちの起源、これからどうなるかの将来予測がされている。宇宙開発、宇宙ステーション、荷物を運ぶ人工衛星、惑星、恒星の存在もニュートン力学が活用されている。
そんな中で面白い記事がある。朝日新聞(2019.10.2)、「多事○論 「数学者が憲法を読むと」」で今、安倍総理が執念を燃やす憲法改正に関連して政治家の順守義務を論じている。
集団的自衛権行使、野党の国会召集要求を無視してきた安倍総理が憲法改正に本腰を入れるということに危機を感じた問題意識から異色の憲法論をまとめた数学者がいるというのだ。その人が広島市長をやった秋葉忠利さんで、米・タフツ大の数学の先生だったのだ。
秋葉さんは判例や通説と違う「定理」を見出している。
憲法の規定が「道徳的要請か義務か」で大きく解釈が違うと、憲法99条(公務員などの憲法遵守義務)、第30条(納税義務)を上げている。一般的解釈は道徳的要請と解釈されているが、それじゃおかしいのではないかと言う。
99条が義務か道徳か。義務でなかったら安倍総理のように何をやっても構わないことにならないか。ここは義務と解する必要があるし、30条の納税の義務も道徳と解すると大勢が脱税することもできる。納税する人は少なくなる。
数学者が考えるとこうなるのだが、私自身も義務と考えていた。確かに法律には道徳的解釈が必要なものもある。刑法の規定はほとんどそうではないか。殺人罪も人を殺したらこういう罰を受けるので殺してはいけないという道徳を教えていないか。
その憲法改正も衆院議長が「国民投票法から審議に入らないか」と提案したことから野党が反発し国会開会が1時間遅れたという。
国会で改正を審議するというが、委員会ができていない。普通なら常任委員会を設置して議論すべきであるが憲法審査会が審議するというのだ。その根底には多数決で決めるのではなく、全員の合意に基づくことを原則としているかららしい。
趣旨には賛同するが、数学的センスで検証することを期待する。決して曖昧な解釈ができてはいけない。
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