2019年10月5日土曜日

安倍総理の第200回国会所信表明を読んで:後2年、安倍総理に「新しい国づくり」を託せるか


安倍総理の第200回国会に当たり所信表明を「はじめ」から「おわりに」まで読んでみたが、これで後2年、安倍総理に「国創り」を任せていいのかと少々疑問が出てくる。

「はじめに」では戦争ですべてを失った日本が、日本国憲法下で先人たちが平和で豊かな日本を引き渡してくれた。その平和と繁栄を必ず守り、更に新しい令和に相応しい日本を作り上げ、皆さんとともにその責任を果たし、次の世代へ引き渡すという。

そして「おわりに」では、最後に「パリ講和会議」での「人種平等」を掲げた大きな理想を世界に発信したという。そしてそれが国際人権規約に生かされているというのだ。本文になかった人種問題だが、言いたいことは「困難を認識しているが決して乗り越えられないものではない」ということらしい。当時は世界中が植民地政策を取り日本の提案は強い反対にさらされたというのだ。

そして、令和の時代、未来を見据えながら日本の目指す形、その理想をしっかり掲げるときだという。

その道しるべが「憲法改正」だと持論を呈した。

そんな重要な政策を「おわりに」でチョッと触れるだけでいいのか。本文中に「憲法改正について」の章を設け、「日本はどういう国を目指すのか、憲法審査会で議論しようではないか」と提案すべきではなかったのか。

終戦にあたり「日本は世界でどうあるべきか」、当時の幣原総理は戦争放棄、戦力不所持」しかないと考えマッカーサーに直談判し新しい憲法改正に加えたのだ。そして新憲法は平和憲法として世界に認められ、その後の日本の繁栄に貢献した。

一方、安倍総理は集団的自衛権行使の解釈改憲をし、さらに憲法9条に自衛隊を明記の憲法改正を訴えている。安倍総理はどういう日本の姿を世界に発信しようとしているのか。自衛隊の海外派遣で世界の安全に貢献しようと考えているのか。

憲法改正が一つの章として記述されていないということは、現状では憲法改正のハードルが高いと見ているのだろうか。

一億総活躍社会では、「多様性」を必要以上に強調している。「みんな違ってみんないい」、それぞれが個性をいかせる社会を作り上げることこそ少子高齢化を乗り越えられるというのだ。

政治家としての宣言はいいが、日本社会、特に企業経営者はどう考えているのか。高齢者や女性、海外の労働者受け入れは賃金の安い、非正規労働力の確保しか考えていないのではないか。こんなことをやっていては正社員の賃金も下落しないか。

経済界はどんな日本社会を構築しようとしているのか。何の発信もない。

安心できる社会保障制度改革は喫緊の課題だ。社会保障費の年々の高騰は財政健全化にも影響を及ぼす。「多様なまなび」「多様な働き方」「「多様なライフスタイル」、人生100年、高齢者も70歳まで働ける。

健康で何時までも働けることはいいことだ。高齢者も「支えられる」から「支える」立場に変わったほうがいいのも確かだ。今は、高齢者といえば足手まといに考えられていないか。

高齢者、女性も家計を助けるために働いていないか。男一人の収入で4人を食わせていくことができなくなっているのだ。

アベノミクスでの経済成長はどうなったのか。

相変わらず、安倍政権は「経済最優先」という。消費税を10%に、教育の無償化、国内消費経済をしっかり支え経済の好循環を目指すというのだ。

成長戦略でアベノミクスの成果が記述されている。アベノミクスで500万人増、正社員130万人増で雇用の改善が継続し、コーポレートガバナンスの強化で海外からの直接投資も5年で10兆円以上という。

アベノミクスの成果は雇用の改善で終わるのか。物価上昇2%で家計、消費が伸び経済の好循環はどうなったのか。

世界経済は混沌としてきた。米中貿易摩擦、英国のEU離脱、ドイツ経済の不振など欧州経済は下降局面に入ってきた。所信表明では下振れリスクが顕在化したときは「躊躇なく、機能的かつ万全の対応を講じる」という。

一体どんな対策があるのか、そんないい対策があればすぐにでもやったらどうか。あるいは大きな副作用を呈する危険があるのでできればやりたくない対応なのか。

あと2年、安倍総理に「どんな国創り」を託すのか。それが憲法改正だとすると安倍政権下での憲法改正は、野党が言うように危険ではないか。


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