2022年2月12日土曜日

それでも日銀は2%を目指すのか:1%台を維持できれば黒田総裁は辞任を

 

読売新聞 2022.1.7

欧米各国は5%、7%台と物価が急上昇していることからインフレ防止に量的緩和を見直し「利上げ」の動きだ。欧米で利上げすれば円安へ、日本では原油、輸入原材料の値上げで物価は上がる。 

日銀はマイナス金利を維持し、設備投資を誘い、経済成長を目論み目標の物価上昇2%を目指すが9年も未達のまま、黒田総裁の任期が近ずく。 

現在、2021年12月時点で物価上昇は0.8%、2022年の物価上昇を1.1%と予測している。日銀や民間機関の見方では4月には2%に達する見方も出ている。 

瞬間風速2%と言う。企業が物価上昇を商品に転嫁を進めれば上昇圧力が強まる。ただ賃上げの動向が影響するという。賃上げ率が物価上昇より大きいことが条件だ。 

今、円安が原油高、原材料高になり一時的に物価上昇していると日銀は見ている。要するに「悪い物価高」だが、本をただせばアベノミクスの円安政策にある。 

日銀の主業務は物価の安定だ。先の白川・日銀総裁が思い切った金融緩和策をしなかったので円高で日本経済は沈滞していると批判されたときも、原油高にあったが、物価は上がらなかった。白川さんは「円高だったためと言う。しかし国民は誰も評価してくれなかった」と述懐していたのを思い出す。 

ある民間専門機関の調査によると、消費者物価が1%上がれば1世帯の年間負担は28000円、2%で56000円という。低所得者、年金生活者にとっては物価は上がらない方が良い。何処かで倹約しなければならない。 

そんなことを考えているときに面白い本が見つかった。「「物価とは何か」 渡辺 努著 講談社選書メチェ 」だ。朝日新聞2022.2.12の読書欄に坂井慶大教授の評が掲載されている。

原油の高騰が連鎖的に物価全体を上げ、インフレが起きる考えは正しくない。原油が高騰すると消費者は他に商品で節約する。商品によっては値下げを起こす。値上げ、値下げは相殺され、証人全体の物価水準はさほど上がらない。1974年の原油の高騰による「狂乱物価」もデータの検証からその因果関係は日銀の貨幣の供給過剰だったというのだ。

物価に大きな栄子湯を与えるのは、人々が共有する「相場観」にあるというのだ。物価は変わらないものと考える者と物価は変わるものと考える者とでは行動が違う。今の日本のデフレは「物価は変わらない」と考えている者が多いためではないかと見るのだ。 

収入が上がらず、減る一方の年金生活者、将来のために貯蓄する者にとっては物価は上がらない店を探す。 

高給とりで生活に困らない日銀政策委員は「物価は変わるもの」と思って政策を検討しているとしたら日本の消費者の考え方がわかっていない。

日本の物価は上昇率1%前後で安定しているのではないか。安定的に2%維持は無理な目標だ。黒田さんは任期を残しても辞任すべきではないか。

 

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