読売新聞2022.2.19 |
為替レートは、その国の経済力を反映していると経済学で学んだことがあるが、国際決済銀行(BIS)が発表した1月の「実効為替レート」によると2010年を100として今、67.55で50年ぶりの低水準と言うのだ。
日本経済の実力は落ちているのか。
政府、日銀は物価上昇2%を目指すが、遠く及ばずデフレから脱却できていない。長く続く円高が日本経済を沈滞させていると考えた自民党・安倍政権はアベノミクスで異次元の量的緩和を強行、市場にカネを流し円安へと導き輸出産業を中心に景気は改善、日本経済は再生下かに見えた。
民主党政権時、70円台だった為替は100円、110年台と円安に。「市場にカネを流せば円は安く、物価は高くなる」と当時の衆院選で自民党候補者が皆訴えていたのだ。
なかなか急激な緩和に踏み切らない当時の白川・日銀総裁を更迭し黒田総裁が登場「2年で2%」実現を謳ったが9年たっても達成できない。
円安が進んだが、今、原油高、輸入原材料などの高騰で日本国内でも生活必需品の高騰につながった。
白川総裁の時も原油高にあったが、当時は円高で今ほど生活に大きな影響は出なかった。白川総裁は「そのことを誰も評価してくれない」と不満を言っていたことを覚えている。
安倍総理のときもそうだったが、岸田総理も物価上昇率を超える賃上げが必要と言って、経済界に賃上げを要求している。コロナ禍で産業界も大変だと思っていたが、意外に業績を上げている企業が多い。
安倍元総理のアベノミクスによる異次元の量的緩和は正しかったのか。白川さんは他国に先駆けて「緩やかな緩和」に軸足を移していた。正統派経済学者は非伝統的異次元の量的緩和は何らエビデンスがないと批判していた。
1ドル70円台、実行為替レート150台から今、67.55と半分以下になった。
さらにこれからどうなるのか。
欧米中央銀行はインフレ対策に「利上げ」の動きだ。当然に円安、ドル高が懸念される。為替介入も考えられるが欧米では批判的だ。残された策は量的緩和の縮小になる。
市場は円とドルのバランスをどこにおいているのか。100円か。日銀は異次元の量的緩和を継続と言う。市場は「縮小」を念頭においているのか、長期金利は上昇傾向だ。
しっかりコミュニケーションをとり、混乱を防止すべきだ。日銀の主要な業務は物価の安定だ。国民の相場感はインフレではなくデフレにあるのではないか。
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