2016年12月9日金曜日

どうなるアベノミクス?:浜田エール大名誉教授,文藝春秋で「考え直す」と

文藝春秋 2017.1
一体アベノミクスはどうなるのか? アベノミクスの手詰まり感に安倍内閣の金融政策アドバイサーの浜田エール大名誉教授は文藝春秋で「考え直す」と言えば、、「立ち止まるときでは」という党首討論時の質問に安倍総理は認めたくないのだ。浜田さんは「考える枠組みに変化が出て来た」と言えば、安倍総理は円高が原因と言う。

そりゃそうだろう。浜田さんは学者だから考え方が違ってくると素直に認めるだろうが、為政者である安倍総理は認めると政権への影響が大きく認められないのだ。

しかし、この議論に対して正統派経済学者は実証されていない金融政策と批判していたので「既に勝負はあったのか」と思って浜田さんの考えを今月号の文藝春秋(2017.1)「「アベノミクス」わたしは考え直した」で読んでみた。

浜田さんは、11月にも日経新聞で「考えを変える」発言をして話題になっていたが、文藝春秋で詳しく知ることが出来た。

浜田さんの考えは「自分の考える枠組みに変化がある時は、正直にそれを伝えたい」というのだ。その考えに沿った日経新聞、文藝春秋の記事なのだ。さすがは学者とまずは認めたい。

文藝春秋の記事から浜田さんの考えを拾ってみた。

それによると、金融政策アドバイサーとしてアベノミクスという処方箋で20年来の病気である脱デフレ、円高、株安と闘ってきたが一応の回復は見られたが、ここ1年の予想外の出来事で手詰まりになってきた。自分の考えの枠組みに変化が出て来たという。

浜田さんの当初の考えはミルトン・フリードマンのマネタリズムに負う政策で期待感に働きかけた。しかし、今、「量的・質的金融緩和は頭打ちになっているのではないか」と考えるようになったのだ。その要因は為替と金利ゼロにあると言う。

「金利がゼロ近くでは金融緩和の効果はなくなる」というのだ。そんな事は正統派経済学者は指摘していたことでアベノミクスを否定していたのではないか。
浜田さんは、低金利では円安になると考えていたが円安にはならなくなった事とマイナス金利の効果が出ていないという。銀行は収益に係わるので異論を唱えるが過去の預金に対しては+0.1%の利子を付けているので否定する。

では、金融政策は何故効かないのか。

それには財政が影響しているというのだ。浜田さんによると、プリンストン大のシムズ教授によると、減税など財政拡大と組み合わさなければならないというのだ。浜田さんによると今、日本は消費税増税、更なる増税が足を引っ張っているとみている。

と言うことは、赤字でも財政拡大せよと言うことか。それは借金の少ない国で言えることで日本のように1050兆円、対GDP200%を越える国に当てはまるとは思えない。

安倍総理も財政出動を言いながら財政健全化にも取り組むというのだから相反する政策を実行しようとしている。おまけに次は必ず増税するというのだ。更に増税をしなければPB黒字化は無理なのだ。

2020年までに目指す黒字化だが、自民党総裁任期を3期に伸ばしたことで安倍総理の任期も伸びる可能性も出て来たが、そこまでやると財政黒字化の責任が追及される。安倍さんはそこまでやるつもりがあるのか。

もう読むのに疲れたが、新聞からはアベノミクスの言葉も遠くなってきた。7日の党首討論で蓮舫さんがアベノミクスについて「あらためて立ち止まる時ではないか」と質問すると、「税収下振れの原因は円高にある」と反論したそうだ。

有効求人倍数などを例に挙げ論争を繰り広げたが、安倍総理にしてはアベノミクスの効果を否定することは政治生命にも関するのだ。辞めるまで否定されたくない。

日銀はもう打つ手はないが岩田副総裁は政策の軸足は「量」にあると量的・質的金融政策の重要性を長崎で講演したというが、欧州中銀は量的緩和の縮小を決定したとニュースが伝える。

政府、日銀、顧問の考えがバラバラではもう期待感も出てこない。一度立ち止まって議論すべきだ。

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