2017年9月22日金曜日

今日の新聞を読んで(104):景気が良いのに物価が上がらない 何故だ

読売新聞 2017.9.22
米国の金融政策の正常化に向け舵取りをするFRBのイエレン議長が米国経済
を「緩やかに拡大を続け雇用も物価の上昇も更に続く」と見通しを述べたが、「物価上昇の2%は達成していない。景気が良くなれば賃金や物価は緩やかに上がっていくはずだが物価が上がらないのは謎だ」と先にBISの幹部と同じような経済の見方を示した(読売新聞2017.9.22)。

その同じ見方とは、19日の朝日新聞にBISの金融経済部門のトップクラウデイオ・ボリオ氏が「世界で成長が加速しているのに低インフレが続くことで今後の政策の枠組みが決める大きな謎だ」と「その答えを知らないことはが心配だ」と発言した記事が載ったばかりだ。

確かにそうだ。我が国でも日銀は「緩やかに拡大基調」と言うが目標の2%物価目標は未だ達成出来ず異次元の金融緩和策を継続すると言う。17年度の成長率は1.2%、インフレ率は4月1.01%,5月0.5%だ。

世界経済は何処も2%物価目標を目指すが、何故2%でないといけないのか。

日銀の仕事は物価の安定、今だって物価は安定しているではないか。そして企業の景気も良い。日銀がドンドン市場にカネを流すが、従業員の賃金は伸びず内部留保は420兆円、海外投資に精を出している。

欧米の中央銀行は金融政策正常化(?)のために緩和の縮小をするという。米国は利上げのタイミングを狙っているし、資産の売却も始めるらしい。一方、日銀は政策の変更はあっても緩和を継続すると言う。市場では今後を警戒する声が強い。

各国中央銀行は枠組みの策定に迷っているようだが、経済構造が変わってきたのか。

朝日新聞(2017.9.15)「米国好景気でも賃金伸び鈍く」で天野経済部長が解説している。今までは雇用が改善すれば物価や賃金が上がると経済では教えられた。フィッリップ曲線は右肩下がりなのだが、2009年のリーマンショック後は平坦化しているという。米国の失業率は4.4%で改善しているが賃金は2.5%、個人消費の伸びは1.4%で2%を下回っているというのだ。

安倍総理はいろんな数値を上げて「経済は成長している。アベノミクスの成果だ」と言うが実感は今ひとつだ。

物価は上がっているのか。消費税増税、為替変動、天候不順で値が上がる経験はしているが、いつの間にか感じなくなる。小売店はポイントを上げてサービスするが最近では高齢者、消費者向けに値下げする動きが激しい。売り上げも減っているようで日常よく使う商品を値下げしサービス(?)しているようだ。

小売業、流通業が値下げだから、これでは物価上昇など期待出来ない。スーパーなどでは「本日の安売り」商品がアッという間に売り切れる。値段はジャパネットタカタのように9とか8の数字が目立つ。

以前は家電製品も量販店で買っていたが、通販のほうが安い。電車賃を払って買いに行かなくても送料無料でその日のうちに配達される。便利な社会になったものだと思うが、その裏では安い給料、重労働に泣いている人がいるのだ。

雇用も賃金の安いサービス業に集まる。介護分野が成長分野であるが賃金は時間給で表示される。福祉施設、介護施設は高齢者を雇わなくてはやっていけないのだ。

安倍総理は海外から企業を呼び寄せるために法人税などを下げているが、企業は余ったカネをM&Aで海外に投資する。一部生産施設を戻したというニュースは聞くがどうなっているのか。トランプ大統領のような「アメリカファースト」を言うのでどうしても輸出ではなく現地生産と言うことになる。日本人の雇用を確保するのではない。

給料の高い金融機関だって安泰ではない。日銀のマイナス金利政策で地方銀行は経営が大変らしい。

弁護士や公認会計士の資格を持てば高級で雇ってもらえるなんて昔の話だ。今は人員整理されているという。

中国、東南アジアなどから廉価な商品が輸入される。日本の従来からの生産者は生産縮小か廃業だ。
私の住んでいる東京・大田区は技術のある有名企業も多いが家内工業、零細企業も多い。苦しい時期を過ごしたようだが、最近は仕事が来だしたと聞いていたが工賃は昔のままで上がらないと聞いたことがある。裾野の広い産業にあっては末端企業も設備投資し儲かるシステムを築くことだ。

変わってきた経済構造、経済成長にあわせた金融政策、経済政策が必要ではないか。

BISのクラウデイオ・ボリオ氏も「過度なインフレでも景気減速でもない適度な経済状態に入った」と指摘している。

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2017.9.19掲載
気になった記事:BIS幹部曰く「低インフレが政策枠組みを決める大きな謎」と
yamotojapan.blogspot.jp/2017/09/blog-post_93.html

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