2022年9月2日金曜日

今日の新聞を読んで(566):安倍元総理を、本当はどう評価すればいいのか

 

今回の安倍元総理銃撃事件をどう理解するのか、メデイアや政治家は「民主主義への挑戦」とあおっているが、実際には山上容疑者の家族崩壊に対する復讐を旧統一教会のトップではなく、関連が深かった安倍元首相を選挙応援と言う場所で銃撃した事件だ。 

岸田総理は、8年間と言う長期政権、外交での数々の成果などを挙げて「国葬」をいち早く宣言したが、私たちが見る限り、森友事件では「民主政治」の根幹を揺るがす事態になったし、「桜を見る会」関連では総理ともあろうものが私利私欲に走った。公正な政治などほったらかしだったのだ。

こういう安倍元総理を本当にどう評価したらいいのか。 

安倍元総理は最近まれに見る強烈な保守派、一方の岸田総理はリベラル派と見られている。 

国民は憲法改正に強い要望はない。しかし一方で中国、ロシアによる脅威は強く、日米安保を強化し、日本の安全保障に帰することは要望している。 

しかしこの事件後に明らかになって来た安倍元総理を主とする旧統一教会とのズブズブな関係に対しては強い嫌悪感を持ち、岸田総理、自民党のあいまいな対応が内閣支持率を落とすけっかになり、「旧統一教会と一切の関係を断つ」とまで言い出した。 

安倍元総理の評価に関して朝日新聞(2022.8.27)のオピニオン&フォーラムでの佐伯・京大名誉教授の「異論のススメ 「社会秩序の崩壊と凶弾」」と朝日新聞(2022.9.2)の海外からの見方「安倍元首相は戦後日本の因習を破壊した」が目についたが、両者ともに安倍元総理の功罪について論じている。 

佐伯先生の内容は理解が追い付いていかなかった点はあるが、民主社会にあっては法や政治の理論と言う「リベラッルな価値」があり、リベラルな秩序の実現にはリベラルな価値が担保されなければならないと言い、文化、習慣などと言った「目に見えない価値」を重視する「保守の精神」が重要なのだ。 

これがグローバリゼーションで急激に変化させられた結果、「リベラル的価値」もなくなりうまくいかなくなったというのだ。 

安倍元首相は保守を強く打ち出したために、「目に見えない価値」「保守の精神」を崩壊させたのだ。 

つまり、人々の信頼関係、家族や地域のつながり、多様な組織、世代間の拘留、身近なものへの配慮、死者への思い、ある種の権威に対する敬意、正義や公正の間隔、共有される道徳意識などが「目に見えない価値」なのだという。

社会の土台、精神のよりどころが重要なのだ。 

一方、「安倍元首相は戦後の日本の因習を破壊した」と安倍さんの英語版伝記を書いたトバイアス・ハリス氏は言う。 

「戦後レジュームからの脱却」と戦後設けられた制度を壊した因習打破主義者で「アメリカに抑え込まれる」ことを嫌ったが、最後は安全保障で米国との同盟強化をめざしたという。日本と言う国、文化、歴史を大切にするナショナリストより日本、日本人を守る強い国をつくる国家主義者だというのだ。 

欧米では「保守」は個人の権利を重視するが安倍氏は欧米の潮流ではなく、バ期末の思想家の系譜に当たるともいう。 

後を継いだ岸田総理は「新しい方向に引っ張って行く」か「居場所のなくなったリベラル派にとらわれている」かと言うと後者だという。 

安倍元総理の功罪を論じるときは「日本社会の土台である文化、習慣、精神」を崩壊させたことをどう判断するかだ。

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