2024年3月27日水曜日

今日の新聞を読んで(672):日本の賃金は伸びない

朝日新聞 2024.3.27

この朝日新聞の「日本の賃金の伸び」グラフは度たび見る。1991年を基準にすると米国は2.8倍、英国2.7倍、ドイツは2.2倍ぐらいだ。ところが日本はなんと1.1倍という。先進国でもかなり離されている。

GDPでも米国、中国、ドイツ、日本でもうすぐインドに抜かれる運命にある。しかしこれは計算値で為替が変われば順位も変わるか。

33年前と言えば私も現役だ。当時は賃上げ、ボーナス時期が来ると経営者は「先行き不透明」と組合を脅す。組合の執行部経験者は会社の言うことを聞けば出世が約束されていた。当然組合も御用組合だ。

固定費に占める人件費の割合が高く、コスト削減のためにアウトソーシングが流行し、製造工程の一部に他の会社が入ってくる。

米国式の経営で実績を上げれば経営者は評価される。新聞記事でも目立った。

そして財政的にも「ぬるま湯」状態で経営者は比較的楽な経営環境にあったはずだ。

そしてグローバリゼーションで、賃金の安い東南アジアなどに工場を移す。したがって日本国内の賃金も比較されるようになり、低く抑えられる。

これじゃいいはずはない。日本の企業経営は労働者、従業員の犠牲の上に成り立っていたのだ。こんなことが長期間続けば企業の力も落ちる。一方、経営者は株主第一で評価されるのだ。

しかし、こんなことが長続きしない。米経済界から株主第一を止めて従業員、関連会社を優遇する方針を打ち出すと、日本も株主第一を止め従業員、地域、関連会社優遇措置に移った。

経営者が言い出したのだ。しかも異次元の量的緩和でのゼロ金利策から「利子のある経済」を目指すことになった。

アベノミクスも賃上げ、物価高の好循環を目指したが、今の賃上げは物価高に対応する措置ではないか。物価高の傾向が静まれば賃上げの勢いも落ちてくる。「好ましくないインフレ」ということか。

長い期間の間違った企業経営をすぐ修正することは難しい。





 

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