円為替に翻弄される企業業績、税収増は体力不足の「あぶく銭」になるのか。2016年3月期の上場企業の決算では円安が貢献し2008年来の最高を更新していると言うが、2017年3月期は円高基調は続くという見通しで反転し各企業が減益を予想している。
新聞報道によると、最高益を更新していたトヨタも2017年3月期の営業利益は40%減になると言い、組織強化を進めるとも言う。
アベノミクスによる円安は企業業績を回復させ、税収増でアベノミクスの底上げに寄与すると言われた。
しかし、そのシナリオも円高傾向で一気に吹っ飛んだことになり企業経営者、政府、日銀は一様に「将来の不透明さ」に言及する。
円高から円安に移り緩んだ感じになったが、再び円高に基調が替わると経営力の強化が謳われ出した。
円安効果は「あぶく銭」だったのだ。
政府はアベノミクスによる成果を「底上げ」として新しい政策の財源にしようとしたが、それも覚束なくなるのではないか。
経済財政諮問会議で「子育て支援、少子化対策」にアベノミクスの成果を使おうと提案があったが、麻生財務相は「底上げ分は中長期計画で織り込み済みで、新たな財源を見つける必要がある」と反論していた。
一体底上げ分にいくらを考えていたのか。
2012年の安倍政権後、税収は21兆円増えたという。消費税分を除けば国税で8兆円と言うことらしい。これはアベノミクスで企業が力を付けて企業や家計に所得が底上げされたという見方であるが、もっと丁寧な分析が必要とも言う。
しかし、円高に移ると業績不振で、そういう考えは一変に変わってくる。
それだけ、企業体質は強化されていないのだ。
円高→企業業績変動→先の見通し立たず→再び「縮み指向」になるシナリオだ。
市場も市場だ。金儲だけの為に日銀の金融緩和、追加緩和を要求、期待する。思うように行かなければ株安、円高に動く。
日銀は期待感を煽るために「躊躇なく追加緩和」というが金融政策の手は尽きている。
市場は、日銀が動いてくれるという期待で行動してはいけない。これからは市場がどう意識改革するかだ。
あぶく銭に頼っていては企業の体力も付かず2%物価目標達成、脱デフレなど期待出来ない。
市場、政府、日銀ともに何をすべきか真剣に考えられないか。
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2016.5.3掲載
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