G7伊勢志摩サミットも首脳宣言で終わるが、新聞報道を見ると安倍総理と各国首脳の思いの違いが鮮明になったのではないか。世界経済の成長強化で「財政出動」を協調したかった安倍総理だが、背景には自らのアベノミクスの評価、消費税増税への是非、宗教観(?)をアピールしたかったのではないか。
案の定、政局と思われていた衆参W選、消費税増税は回避されたようで、政局は落ち着きを取り戻したかに見えるが、舛添都知事の引責辞任で都知事選の可能性は出て来たのではないか。
海外、国内でもアベノミクスは破綻しているという見方が強い。その否定に反論するかのごとく、金融政策、財政政策、構造改革のG7版「3本の矢」を放ち各国首脳のお墨付きを得ようとした。
昨日の情報番組では、安倍総理は「世界経済は今まさに分岐点にある。対応を誤ると危機に陥るリスクがある」とリーマンショック時と2014~2016年のコモデイティ-価格の下落を比較し-5.5%と同じである事を強調し、意表を突く戦術に出たらしい。
安倍総理が提出した資料か 2016.5.26 日テレ ニュースZERO |
しかし、日本のご都合主義に合わせた提言と見透かされていたのだろう「デフレに戻る?」、「危機とは言えない」と安倍総理の危機感に異論も出たようだ。
ドイツやイギリスの財政規律の考えには納得も行く。
財政出動して需要が喚起でき税収が上がるのであれば一定の効果はあるが、今は需要不足で消費は増えず、設備投資も緩い。これでは赤字国債を発行して国や地方の借金が増えるばかりだ。
今までも財政出動を謳い、補正予算などを組んで対応してきたが借金は毎年増えて今では1050兆円という先進国一の悪さだ。安倍政権になっても増え続けている。一方でGDP成長率は民主党政権の法が高かったと国会で指摘されている。
おまけに安倍政権は財政出動と財政規律の相反する政策を両輪にしたのだからややこしくなる。
各国は議長国の顔を立てて「3本の矢」が果たす重要な役割を再確認し、各国の国内事情に合わせて機動的財政戦略を実施するための努力をするらしい。
とてもではないが世界経済の危機に対応しようという気持ちはなく、現状の世界経済について意見交換しただけなのだ。
リーマンショック時と今の世界経済の減速の違いは何なのか。
今は、原油価格や新興国、中国経済の減速、鉄鋼などの中国の安売り競争、各国の需要不足が世界経済の足を引っ張っている。特に日本はひどい。
一方、リーマンショック時は、米国のサブプライムローン問題などが引き金になった金融危機が発端だ。
朝日新聞(2012.10.11)の「カオスの深淵 危機が読めない経済学」は面白い。
それによると、2008年11月ロンドン大経済政治学院の開所式に出席したエリザベス女王が「どうして、危機が起きることを誰も分からなかったのですか」と尋ねたそうだ。
居合わせた経済学者は即答できず、後日学者や実務家が集まって討論し報告したという。それによると、金融市場、世界経済について多くの警告はあったが誰も全体を見ていなかったというのだ。
経済学者はよってたかって処方箋を書くが景気は良くならない。本当に役立っているのかというのだ。
私もリーマンショック前に警告する学者の記事を読んだことがある。日本の経済学者もいた。しかし、市場を動かしているのは一握りの金持ちだ。失敗も金儲けのチャンスなのだろう。
安倍総理の経済危機説にどんな経済学者がアドバイスしているのか。リフレ派が牛耳る日本の経済政策が海外で通用しているのか。そのために著名な経済学者を招きアドバイスを請うたのではないか。
宣言では取り繕っているが、デイスカッション内容は海外から漏れてくるだろう。注目したい。
国内経済の舵取りも難しいのに協調しての世界経済の舵取りなど期待薄の感じがする。
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