2016年5月26日木曜日

問われるトップの居住まい:悪の根源はトップのあり方とどっぷりの利権?

今ほどトップの居住まいが問題になっていることはないのではないか。悪の根源はトップのあり方とどっぷりの利権と思われる事件ばかりだ。舛添・東京都知事の「政治とカネ」疑惑は以前からケチ、言行不一致があったとしても自民党・谷垣幹事長が指摘しているようにトップの「居住まい」に問題があったことになる。

舛添さんだけでなく、都知事に推した自公も有権者、都民を裏切ったことに大きな責任があるのではないか。

過酷な競争に勝ってトップの座に着くと利権にどっぷり浸かって悪事を企てる誘惑に襲われる危険があり、それを制御出来なければトップとは言えない。

そんな時、思い出すのが東芝や経団連の会長を歴任し、行政改革を主導した土光敏夫さんだ。

経済誌で読んだことがあるのでどこまで真実かどうかは分からないが、土光さんのエピソードが紹介されていた。経済誌での評価も後に覆されることが多いが、土光さんに至ってはそのようなことはなかったようだ。

その経済誌によると、土光さんも経済事犯の疑惑が掛かったようだ。警察官が2名、土光さんの住所と思われるところに赴いたが、それらしい建物が見当たらなかった。仕方なく住所の家を伺ったら奥様が出て来て「主人は朝早く電車で出勤しました」という。

豪邸を考えていたが大した家ではなく、朝早くから電車で出勤したという土光さんに悪いことなど出来できるはずがないと警察官は納得したそうだ。

もう1つ、土光さんが東芝の会長(?)だったとき、子会社の社長と得意先に挨拶に行くことになりJRの駅で待ち合わせしたそうだ。

子会社の社長が、公用車で待っていると、遠くからトコトコ歩いてくる土光さんを見て赤っ恥をかいたという。トップになっても決して威張らない土光さんの居住まいが良く出ている例として忘れられない。

ところが現代のトップはどうしたことか。
利権にどっぷり浸かり公私混同でメデイアに連日叩かれている舛添都知事に至っては言語道断、説明責任が果たせなくて、素人の人民裁判で失脚することを恐れたのか、「法に精通した第三者による厳しい目で調査する」と時間稼ぎに出た。

結局は「法には違反していない」「調査に限界」で逃げ切るのではないか。「ルール通り」を主張しているが、そのルールを歪曲しているのは舛添さん本人ではないか。

オリンピック招致委員会が2億3000万円のワイロを送った疑惑では、JOCの竹田さんが二転三転する発言をしている。結局は自分も知っていたようだが、疑惑、責任には応えようとしない。JOC会長という地位の利権を離したくないのだ。

オリンピックエンブレム、新国立競技場問題で組織委員会も経過説明が不十分で、責任のありかをはっきりしていない。森さんはボランテイアでやっているというが、背後には大きな利権が存在する。

あっせん収賄疑惑が出て大臣を辞任した甘利さんも、第三者委員会で調査すると言ったまま体調不良で国会を休んでいる。国会での追及も不発に終わっているようで野党は手ぐすね引いている。

安倍総理は「任命責任はある」と言うが、そんな責任を取った例しがない。

理研のSTAP細胞疑惑事件は、調査をしたが「限界があった」と事件の本質には踏み込めなかった。当時の理事長は「現場の研究者に責任がアリ、組織のトップにはない」という独特の理屈で責任を回避した。後に辞職したが「責任を取ったわけではない」と強弁する始末だ。

三菱自動車の燃費偽装事件には呆れかえった。経営者は知らなかったと言うが、燃費問題は工業界の最優先課題だ。知らなかったはずはない。社長と副社長が辞任を表明した。

NHKの籾井会長も最悪のトップだ。こんな人間が放送界に君臨していること自体困った物だ。自民党官邸筋の人事だったと言うが下ろすことも出来ないで任期一杯我慢するのか。
ストーカー事件が相次いでいる。警察は多くの事例から未然防止をどうすべきか検討しているはずだが、事件後の検証で警察の措置が不十分だったことが上げられている。被害者の危機意識とは反対に重大視していなかったのだ。

子どものいじめ問題、自殺問題でも同じ事が言える。学校、教育委員会、児童相談所の連携がうまく行っていない。教育委員会や児童相談所は何時も「もう少し踏み込むべきだった」という。

考えてみれば、「ムラ社会」の弊害が出ているのではないか。ムラ社会の利権にどっぷり浸かるトップに居住まいを問うことは難しい。


第三者により風穴を開ける期待もあるが、踏む込みにくいところに粛清の難しさがある。

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