党首討論の極意は、党首が討論をする事によって停滞していた政局を動かすシーンが期待出来ることだったが、18日、今国会ではじめて実施された安倍―岡田の消費税増税をめぐる討論は分かりにくかった。
本来であれば消費税増税3党合意時の民主党にあって一体改革担当相で増税実施派であるべきと思われていた民進党・岡田代表が「消費税増税を2019年4月まで先送りしろ」と言うのだ。
アベノミクスは既に破綻し、個人消費も伸びず、今消費税を増税すれば景気は更に後退する危険もあり、増税先送りを提言したのだ。
安倍総理は、リーマンショック、大震災などの重大事態が生じない限り「適宜適切」に判断すると言うが、先に招聘した経済学者は皆「消費税増税先送り」を提案した。メデイア、市場も先送り論だが、増税派も健在だ。
想定している重大事態は起きていないし、3党合意、2014年の先送り時に安倍総理は「2017年には必ず消費税増税する」と発言していた。
こういった約束事、コメントを反故にすることは政治的責任を追及されやすい。
おまけに消費税増税が出来ないと言うことはアベノミクスが破綻していることを認めることになるので安倍政権としては認めにくい。
野党は、どちらにしても安倍政権、自民党を攻め込むテーマになる。
のらりくらりと言質を取られないように発言する安倍総理は一本取られたことになる。
安倍総理は消費税を増税するか、先送りするかの判断をサミット後に考えていたようだが、岡田さんに先を越されて先送りを先に言われてしまった。
原則週に一回の党首討論も変質し今国会は1階で終わるようだ。見直しを片山さんは提案したが安倍さんはもう100時間も国会で議論していると主張する。
記憶にある党首討論で停滞した政局を動かしたシーンは民主党政権末期の野田総理―安倍自民党総裁の党首討論だった。政権の根回しが続く中で、総理が「何時解散するか」が喫緊の政治課題だった。
国会改革などを約束してくれれば「明後日解散します」という野田総理の発言は追求していた安倍総裁も「解散ですか、解散ですね」と腰を抜かすほどの衝撃があった。
メデイアの政局ニュースは大きく転換したのだ。「さすが野田総理」と感心した物だ。「前に進める政治」を謳っていた野田総理の最後の決断だった。
その前の民主党・菅政権の時も厳しい政局に直面していた。「何時解散するのか」と注目される中で菅総理は、次から次に新しい政策を打ち出し達成後に退くと宣言した。
面白かったのは自民党政権時の福田総理―民主党・小沢代表の党首討論だった。当時小沢さんは野党で絶対的権力を持ち、政権から民主党に話を通そうとしても小沢さんに伝わらない状況が続いていた。
福田総理は「本当に困っているんです。どうすれば小沢さんに話が通るんですか」と困り切っていた。小沢さんは苦笑いして聞いていた。このときから民主党が政権を取った時の心配事は表面化していた。案の定、民主党政権は小沢さんとの権力の二重構造が顕著になり崩壊の道を進むことになった。
今回の消費税増税論争も、テレビの情報番組では舛添さんの「政治とカネ」の問題で片隅に押しやられた格好だ。
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