2016年5月22日日曜日

内需拡大、再分配、人口減問題をG7版「3本の矢」で推進するのか

停滞する世界経済から脱出するために伊勢志摩サミットではG7版「3本の矢」を放とうとしているが、G7財務相、中央銀行総裁会議でも財政出動で一致点が見いだせないままにG7サミットに突入することになる。

国内経済成長路線への要因は内需拡大、家計への再分配、人口減対策であることは中曽根内閣時代の前川レポートでも指摘されていたことだが、金融政策は別として財政政策、構造改革の成果が上がっていないことは明らかなのに、G7版3本の矢で世界経済をけん引していこうというのか。

日本らしさを出すにはどうしても「3本の矢」が必要なのだ。P→D→C→Aのサイクルで政策の質を向上する必要があるが、今までの政府のやり方はP→Dの繰り返しでC→Aがないから軌道修正し、成果を目指さないままに目くらましの政策を発信し続ける。

経済財政諮問会議などの議事録を見ていると時々PDCAサイクルで政策の達成を主張するのはトヨタの会長だった奥田さん位ではないか。それだけ政治経済の分野、行政の世界でPDCAサイクルを回す人間はいないのだ。

PDCAサイクルを回さなくても、政策の軌道修正のニュースを聞いたことがない。聞くのは国会審議で野党議員がアベノミクスは失敗だったのではないかと攻めているときだ。

政権は財政出動をやっているとばかりに予算の先走りだ。C→Aがないから無駄遣いだ。

伊勢志摩サミットでのテーマを新聞が伝える。金融政策、財政出動、構造改革、通貨安競争回避、タックスヘイブンの防止、テロ対策に英国のEU離脱問題等らしい。

財政出動はドイツやイギリスが異論を唱えている。それぞれの国で財政規律問題もあり日本、アメリカ、フランスと立場が違っている。

こんな事で世界経済をけん引する事は無理だろう。

リーマンショック後の世界経済を中国が52兆円の投資でけん引したが、今は過剰投資がたたって安売りの輸出攻勢で世界経済を混乱に巻き込んでいる。国内経済の減速を海外進出で乗り切ろうとしているし海外投資を有利に進めようとAIIBを設立し先進国と競合している。

その中国は巨大市場をもち、経済政策が世界経済に大きく影響するがG7メンバーではない。ロシアも経済制裁で仲間はずれになっている。日本は北方領土問題、エネルギー問題でロシアとの関係を重視しアメリカから危惧されている。

内需不足、家計への再分配は中曽根内閣時の前川レポート、福田内閣時の21世紀版前川レポートで以前から指摘されていることだが、人口減問題も含め難題のまま政策課題として残っている。

需要がなく企業は儲からないので家計への再分配がないのかと思ったら間違いなのだが、円為替で計算値で儲かっている傾向もあるらしい。

円安で輸出産業を中心に企業の仕事も増えてきたが、儲かった分は内部留保で今は350兆円になっている。国と地方の借金が1050兆円といわれているから大きなカネだ。

賃上げが先か、需要拡大が先か。企業は需要の先行きに不透明感を抱いている。

政府、日銀の「緩やかな回復基調」も、「必要なら躊躇なく追加緩和」も聞き飽きて新鮮みがなくなった。

政府はアベノミクスの成果、税収の底上げ謳っているが財政出動には赤字国債が必要な状況が続く。ドイツ、イギリスの財政規律重視の経済政策をどう考えるのか。

伊勢志摩サミットに向け現地にメデイアセンターが完成した。新設に28億円以上かけ、終わると3億円かけて解体するという。

サミットも各国首脳が集まり議論するが、終われば各国に帰ってサミットなどなかったように振る舞うのだろう。そして来年のサミットが近づくとまた同じようなテーマが話題に上る。


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