今回のプーチンのウクライナ侵攻の理由に「NATOが東方不拡大」の約束を破ったことが挙げっラえている。ロシアと国境を接する欧州でNATO化が進めばロシアの安全を脅かすことになるというのだ。
そのNATO拡大に関してどういう経緯があったのがわからなかったが、朝日新聞(2022.4.22)「NATO東方不拡大 約束はあったのか」(吉留神奈川大教授)とのインタビュー記事が目についた。
要は、東西ドイツ統一(1989年)の冷戦時の政治にまで遡るという。
東西ドイツ統一を「西側の勝利」と考える派と「東西対立の克服、融和」と考える派があり、どちらにするかでNATO拡大、不拡大の違いが出てくるのだ。
「1インチたりとも東に拡大しない」発言はブッシュ政権にのベーカー国務長官(対立克服、融和派)がゴルバチョフ(当時のロシアの大統領)におくったしょかんによる。
ところがブッシュ大統領(当時)は、それを骨抜きにしようとした(西側勝利派)。1990年2月の事。
1990年9月、東西ドイツ、米、ソ連、英、仏による最終規定条約で「ドイツは主権を回復、NATOへ帰属が認められたが、東方不拡大を禁ずる条項は盛り込まれなかったのだ。
ブッシュ(勝利派)とベーカー(対立克服、融和派)で相違が生じた。この時、ロシアは「1インチ発言」の言質を取ったという。
1993年、ロシアの当時のエリツイン大統領はクリントン大統領にNATO東方拡大制限の書簡を送ったという。ドイツ統一の東西融和精神がうたわれた。
こういういきさつがあってプーチン大統領は西側が不拡大の約束を破ったと主張するのだ。
「1インチ発言」も仮説的なものとみなされていた。一方、「東西融和克服」は相互に「信頼」をえ、不拡大の条項を主張しなかったというのだ。
ドイツ統一は西側の冷戦の勝利、ソ連は対立克服、融和を期待した。こう考えるとプーチンにも一理ある。
結局は曖昧さが政治に利用されたということか。
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