2018年5月31日木曜日

アメフトの危険タックルに見る:日大に「大学の自治」はなかったのか


今回の日大アメフトの危険タックル事件での対応を見ると日大には「大学の自治」はなかったのかと思う。該当選手の記者会見、それを追うように内田前監督、石井コーチの記者会見、更には学長の記者会見と後手後手でバラバラな対応に日大は一体どうなっているのかと疑問が出てくる。

これほど大きな事件にはならないだろうと高をくくっていた懸念もあるが自分の組織に発生した不祥事、傷害事件には組織ぐるみで守ろうとするモノだが「学生も守れず」、守ろうとしたのは「自らの立場」でしかなかったか。

「大学の自治」で言う大学とは一般の大学の概念ではなく高度の研究、教授をしている最高レベルの大学だ。日大がスポーツで名を馳せているが、スポーツ分野での教育でそのような大学とは思わないが、一応大学というからには「自治」というモノがあって欲しかった。

しかし今回の事件でテレビなどの情報番組が詳細な解説を繰り返しているが「大学の自治」という観点から今回の日大の対応を議論しているとは思えない。

組織として理事会があり理事長は田中さん、その下に大学があり学長が記者会見した。経営が二重構造になっている。「トップが出て謝罪会見を」というとトップは誰なのか。理事長なのか、学長なのか。学長は理事の一人でその上に5人の常務理事がおり内田前監督は人事権を持った常務理事だ。学長より権力があるのだ。

だから学長記者会見で「内田前監督の処分」を聞かれても上司の処分に言及することは出来ず第三者委員会の調査結果を見るという。

日大がモタモタしている間に該当学生が単独記者会見で謝罪、学連も調査し「内田さんの発言は信用できない」と言い切った。ほとんどの人が該当学生の会見内容が真実とみている。

そうこうするうちに選手が声明文を出した。

教職員組合が田中理事長、内田常務理事、学長の辞任を要求する署名運動を開始するという。
田中理事長や内田常務理事がいる限り改革は出来ないと日大の学生、職員は見ている。

どうなるかは第三者委員会の調査結果によると言うがその第三者委員会もくせ者だ。どんなメンバーになるか分からないらしい。なり手がないのだろう。弁護士を入れるからと言って公正な調査が行われるとは限らない。弁護士だって依頼者寄りの判断を下す可能性が高い。

日大という巨大組織を敵に回したくはない。年間予算2640億円、144億円の助成金をもらっている。

「大学の自治」でなくても「学生を守る」「大学の説明責任」「大学の危機管理」は大学にいる者としては常識だ。

これが出来ていないからスポーツ庁が調査に入るし、仕方ないことだが警察が傷害罪で捜査に着手した。

国家権力(?)に介入を許したことになる。日大の危機管理学部の人が「恥ずかしい」という。

大企業だって危機管理が出来ている組織はそんなにはない。メデイアで不祥事が発生しうまく切り抜けた会社を思い出せない。なかったのだろう。



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