2018年5月21日月曜日

今日の新聞を読んで(156):「米朝トップに北の国民の人権問題は聞こえない」と


アンネの日記の事を考えると米朝会談を控え「米朝トップの破顔の情報は報じられても北朝鮮国内の人権問題に関する話しはほとんど聞こえてこない」と朝日新聞(2018.5.20)「日曜に想う」で福島編集委員が記している。全く同感だ。

それによると4年前に国連の北朝鮮人権調査委員会は広範な抑圧の実体を国策に基づく「人道に対する罪」と断じたし、その時のカービー委員長は惨状はナチス・ドイツなどに匹敵すると位置づけたという。オバマ政権時代も国務省に「極めて残忍」と言わしめた程だという。

それを知ってか知らずか、トランプ大統領は「人権の影」がどうにも薄い印象だという。

そりゃそうだろう。トランプ大統領は「完全非核化なら体制保証」とまで言い出した。金委員長は伯父の張氏を拷問後銃殺刑に処したし、兄の正男氏をサリンで薬殺した。国内では政治犯を収容所送り、保衛部などのスパイ組織を全国に張り巡らし国民を監視している。国策に基づく「人道に対する罪」と批判されている。

日本の抱えている拉致問題も非道な行為である。「8人は死亡、1人は入国なし」と言う。安倍総理がトランプ大統領に口添えを懇願しているが「解決済み」と反論されればどうしようもない。

アメリカだって3年ほどアメリカ人3人が拘束されていたが今回釈放され米国は真夜中であるにもかかわらず大イベントを世界中に放映した。しかし、先には学生が拘束され釈放されたが死亡した。この時はトランプ大統領は激しく批判した。

「核、ミサイル」と「人権」とどちらが大事か。北の国民の人権を考えるとどうなのか。

トランプ大統領の「完全非核化なら体制保証」とは、人権問題はしばらく棚上げするということか。なぜなら金体制を維持するためには従来の非人道的人権侵害が必要だからだ。

報道されている北朝鮮の現状から、金委員長はこのままでは国民の不満は高まりクーデターが起きるかも知れない。軍人の生活も疲弊し軍部の統制も乱れている。このままでは金体制は維持できない。そこでお金が欲しいので命とも言われる核・ミサイルを廃棄するので制裁解除、経済支援をしてくれないかと言うことなのだ。

そのカネは金一族の蓄財になるし、党幹部や軍幹部、軍人にバラ巻き体制の維持に役立てるのだ。

国民の生活向上にも回されるだろうが、そのためには食料配布などのシステムの改善が必要だ。任せていては何をするか分からないので監視団も必要だ。

優秀な人材をスパイ活動に使ってはいけない。スパイ活動、美人応援団、海外飲食店での美人従業員、金一族、軍幹部への奉仕などではなく、国の復興のために優秀な人材を活かすことだ。

政治犯収容所も解体、スパイ活動の保衛部などの組織も当然解体だ。

まだ詳細な所までは詰められていない「非核化」は無理せず先送りし会談は中止で十分だ。このまま制裁を続ければ早晩金体制は行き詰まる。その時は金一族は国外脱出だろう。

金体制崩壊は核ミサイル廃棄、人道問題も改善に向かうだろう。そういう意味から考えると安倍総理は今も言うように制裁強化が一番効果的である。日朝会談などがテーマに上がってきているが、日本に対しては「全てはカネ」だ。慌てて事を進めると巻き上げられて終わりだ。

私も3才まで江原道で生まれ育った。朝鮮の問題は他人事ではない。南北融和までは良いかもしれないが南北統一など可能なのか。そもそも政治体制が違うではないか。

そして記事は言う。「近隣国の住民として歴史的な平和達成を切望するが、それと共に人間の尊厳へ向けるまなざしを曇らせたくはない」と。

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