2018年3月29日木曜日

中朝会談の波紋:金正恩委員長は一人では何も出来ないのか


あれだけ口汚くののしり合っていた北とトランプ大統領に金委員長は滅多に見せない笑顔でエールを送り米朝会談を提案していたが、意外にもトランプ大統領が受ける意向を示したために金委員長は焦ったのではないか。しばらく何のニュースも北から流れなかったのは「どうしようか」と迷ったあげく中国訪問し習主席と会談し今までの経緯と今後の了解をとり背後に中国がついていることをトランプ大統領に示したのではないか。

北の金委員長は一人では何も出来ないことを示したようなものだ。

従来の6者協議の議長国の中国が何故、中朝首脳会談に応じたのか。米朝会談の話題で中国は蚊帳の外に置かれたような状態に中国は焦っていたのではないか。

国連の経済制裁では中国の役割が大きかったが、徐々に制裁の効果が出て来た。一時北は中国を批判する事もあったが中国との関係は国境を接し、経済制裁緩和でも重要な立場に有り、中朝関係改善は喫緊の課題だったのだ。

会談でどんなことが話されたか知らないが、習主席の発言をしっかりメモする金委員長の姿は北の国民に取っては異常な姿だったのだろう。北の流すニュース画面では金委員長が身振り手振りで話す内容(?)をメモしている幹部連中の姿しか見ていないのだから驚くだろう。中国のテレビ局だから映せたのだろう。

ところで何が課題だったのだろうか。

北は「朝鮮半島の非核化」、「金体制の安全」が保障出来れば核・ミサイル開発は止めるというのか。

最近の新聞報道では核実験場で坑道建設に従事する労働者が半減されていると言う。でも核実験場は度重なる実験で山崩れが発生したりするトラブルに遭っている。労働者の半分に当てる1000人を移動させたとも言われている。

でも過去に実験を止めると宣言し冷水塔を破壊する映像を世界に流したが、その後再開したという過去がある。だから鵜呑みには出来ない。
非核化の監視も問題だ。IAREAの専門家を国外退去させた経緯がある。

更に要求しているのは朝鮮半島の「非核化」だ。在韓米軍の核兵器はどうなるのか。これもダメというならトランプ大統領は直ぐには「非核化」に賛成は出来ないだろう。在韓米軍の縮小には日本での米軍の補強が関連すれば日本への影響も大きい。

また「金体制の安全」では中国は同意しても米国はどう判断するか。体制に反する行為をすれば虐殺、人権無視、監視社会、テロ国家、日本とは拉致問題と抱えている人権問題は余りにも大きすぎる。

トランプ大統領が安易(?)に会談OKを出した傾向があるが、実際に実務者レベルで詰めていくと米朝会談の危うさが見えてくる。

小国の北朝鮮が一人で大国のアメリカを相手にするのは難しい。そこで中国が背後にいることを見せつけたが、今度はロシアがどう出てくるか。北に金王朝を創ったのはソ連だ。主導権争いに出てくるかも知れない。

日本はどうか。メデイアは蚊帳の外に置かれたという。今まで制裁強化をリードしてきたのは日本で、北も批判していた。遅れを取り戻そうと政府は朝鮮総連のルートを通じて北に接触をしているようだが、日朝会談はモット先になるか。更にはおカネ次第と言うことにもなりかねない。「お土産は何か」と問われそうだ。

「南北融和」→「中朝会談」→「米朝会談」→「日朝会談」、その間にロ朝会談。幾多のハードルを越え「南北統一」を目指すのだろうが政治体制も大きく異なる南北がどうして統一できるのか。

トランプ政権の対北政策は閣僚人事などから対話から強行策に移っているように見えるが、まずアメリカが体制を整え同盟国へ説明する事が必要ではないか。

会って会談しただけでも意義があるのか。



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