2018年4月11日水曜日

今日の新聞を読んで(149):東電15.7m津波対策の見送りはトップの判断か


東電が15.7mの防潮堤建設を見送った原因は当時の経営トップの判断だったのか。その結果3.11東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津波であってはならない取り返しのつかない甚大は被害を及ぼした。

原発事業に関するリーデイングカンパニーである東電経営者の驕りが招いた企業の存亡がかかった大惨事だ。当時の東電は国の決めた指針にも文句を付けるほどの権勢を振る舞っていたのだ。

新聞報道によると、福島第一原発事故に関し業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣元会長ら旧経営陣での公判で、事故前に津波対策を検討していた社員が出廷し、防潮堤見送りの判断が武藤副社長(当時)から示され、担当者は予想もつかない結論にその後のことは覚えていないと証言した。

今まで新聞に出た情報のうち記憶している内容は①もし建設するとなると80億円の投資が必要、②検討されたのは正式な会議ではなく試算程度の内容、③下請けに再検討を依頼したが拒否されたという内容だった。

従って当時、より高い防潮堤を築くには80億円かかると試算されていたので、投資をケチったのかと思ったほどだ。

確かに高い防潮堤を築いても本当に効果があるのかも疑問だった。完全に津波を回避することは出来ないが被害を軽減する効果はあると思っていた。

でも被害を軽減する効果があれば国の長期評価を採用し経営に生かすべきだった。

そこを安易に考えたのは東電という企業の驕りだ。リーデイングカンパニーとしてのプライドはみじんもないのだ。

ところで社員は武藤副社長(当時)から見送りする判断が示されたと言うが、武藤さんは誰かの判断をあおったのか。独自の判断だったのか。恐らく当時権勢を振るっていた会長の判断を仰いだと思う。

また旧経営陣は「タダの試算に過ぎない」と公判で主張しているようだが旧原子力安全・保安院から原発の地震対策を見直すように求められていたことも考えると旧経営陣の傲慢すぎる判断だ。

今、大企業の安全、品質に関する重大な事例が続出している。JR西日本の新幹線台車の亀裂、神鋼、三菱マテリアルの製品品質問題、自動車メーカーの無資格検査の問題などだ。

事件発覚後、社長が記者会見で頭を下げて謝罪、頭を下げる時間が争われている。

要因に経営トップに安全、品質に関する「業務上」の責任がないことだ。今までの判例では社長ではなく、高くても副社長、担当課長、実際の担当者が責任を問われている

更には「検査時は異常が見つからなかった」という発言が多いのにも驚く。1週間前に検査したときは異常が無かったがトンネルの天井が落ちたという。だったら検査法、検査員の意識に問題があったのではないか。

「安全第一」がおろそかになっている。「安全」とは「危険であること」を知っていることだ。今、危険に対する意識が劣化しているのだ。

東電の津波対策を検討した技術屋さんはさぞかし無念だっただろう。もしやっていればこれほど甚大な被害は軽減されたはずだ。その気持ちは十分に分かる。


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