2018年7月26日木曜日

どうなっている地球温暖化論争:IPCC 2040年気温1.5度上昇、豪雨増加と

地球温暖化と気候変化の予測 ーIPCC報告ー
JGL,Vol3,No2 2007
上図:自然影響のみでは気温の観測値と会わないが、下図のように
人為的要因を加味すると気温の観測値とあってくる

技術的な検証が進まないうちに政治マターになった地球温暖化問題の論争はどうなったのか。IPCCの最終報告案が出た。このままでは2040年には気温が1.5℃上昇、世界全体が極端な高温、異常気象は避けられないという。

「パリ協定」では1.5℃未満を目指し世界のCO2排出量を今世紀半ばまでに実質ゼロにする必要があるとしている。風力発電など再生可能エネルギーを増やし、石炭など化石燃料発電を減らす必要があるのだが、現実感に乏しいと日本国内でも議論が低調だ。

私も環境問題には興味があり新聞記事を保管しているが久しぶりにIPCCの最終報告案を新聞で知った。以前は異常気象が発生すると地球温暖化のせいだと騒ぎ立てるが今はなぜか低調ではないか。

その要因には地球温暖化の技術的検証の難しさと私たちの活動で生じるCO2など温暖化原因物質の削減の難しさにある。最大のCO2排出国のアメリカは地球温暖化に懐疑的で研究費の大幅削減をトランプ大統領は訴えているし、中国は新興国並みの扱いだ。中国はGDP世界第2位、一帯一路政策では世界中に拠点づくりをやっているが都合の悪いときは発展途上の新興国だという。

会議のたびに先進国vs新興国の構図で経済支援が中心になる。すべてがおカネなのだ。

ところが最近、世界の平均気温は100年で0.74℃上昇しているというが、人工衛星のマイクロ波データから2016年CO2排出量が過去最高の中で最近最大の-1.2℃という気温急落が見られ人的活動とは関係ないというのだ(デイリーメール2017.11.14)。

1998年以来エルニーニョで気温上昇、ラ・ニーニャで気温低下というように気温の変動はエルニーニョによって導かれたものに過ぎない。地球の気象は人的な影響は受けていない。今は氷河期に向かって寒冷化が200年続くという。

ところであの地球温暖化論争はどうなったか。人為的要因か自然現象か、そしていま明らかになっているハイエイタス(CO2は増加しているが気温は上がっていない)をどう評価するか。

地球温暖化の要因は人為的起源で温室効果ガスが原因である可能性が高いというのが主流である。IPCCもこの説に立っている。太陽変動や火山噴火など自然影響のみを考慮した場合平均地上気温の実際とは合わないが、これに人為的要因を加味すると観測値と計算結果が合うという。

ところが2000年に入って1997/1998年の強いエルニーニョ以降10年当たりで0.03~0.05℃とわずかな気温上昇はあるが地球温暖化の停滞現象(ハイエイタス)が見られるのだ。

近年の地球温暖化の「停滞」
JGL,Vol10,No3 2014
Co2排出量は増えているが観測では気温上昇が停滞している
しかし温暖化が止まっているわけではなくCO2排出量は変わらず増えている。原因は海洋の700m以深で蓄熱量が増え海水温の上昇が緩やかになっているというのだ。しかし専門家の間では10~20年すればまた海水温が上昇してくるとみている。

このハイエイタス現象は地球シミュレーションでは予測できない。CO2増が機構全体にどういう影響を与えるかは不明という。「わからないことが分かった」ということか。

そこでCO2人為説に疑問を投げかけるアラスカ大の赤祖父先生も自然現象説を主張する。

地球温暖化:その科学的真実を問う
エネルギー・資源Vol30No1 2009
新春Eメール討論
CO2排出量は増加しているのに気温の上昇が2001年ごろから止まっている(ハイエイタス)。IPCCに言わせれば気温は上昇し続けているはずであるので気温上昇は大部分炭酸ガスの温室効果ガスによるとする彼らの仮定が間違っている可能性が高い。「温室効果より大きい何か」が作用しているということになる。この「何か」は「自然変動」しかないというのだ(「地球温暖化:その科学的真実を問う」20世紀後半の気温上昇の原因は? 導入討論・・エネルギー・資源 Vol30No1(2009))。

赤祖父先生は1000年の研究から「小氷河期」からの回復過程にあるというのだ。

環境問題はその時その時でテーマが変わる。何やら「地球温暖化ムラ」の人たちが利権行動をしているようにも思えるが、人間活動に伴うCO2など温暖化物質が関係しているとすれば問題は大きすぎる。簡単には調整できない。



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