2018年7月14日土曜日

7月西日本豪雨被害を見る:水で大きく違う大洪水と地震との被害の特異点


災害も水が絡んでくると甚大な被害を生じる。7月西日本豪雨の被害を見ると異常気象、前線停滞という特異な例ではあるが、今までの豪雨による被害の想定を大きく越え、地震による被害を大きく上回る状況になっている。その特異点は水(土石)の介在だ。

亡くなった方200人、行方の分からない方50人、避難所に退避している方は5800人、亡くなられた方、被害に遭った方々に心からお見舞い申し上げます。

私たちは今まで甚大な被害を及ぼす災害とは地震のことが主だった。勿論3.11東北地方太平洋沖地震は巨大地震だったがその被害を大きくしたのは巨大津波だ。天災の中でも洪水、水が関わる事例には特段の注意が必要だ。

今回の岡山県真備町の洪水被害は高梁川と小田川の合流点でのバックウォター現象が起き小田川の堤防が決壊したことが被害を大きくしているが、小田川はそこから矢掛町、井原市とさかのぼる。私は井原市出身で街の中を小田川が流れ桜の名所でもある。親戚に被害を確認したが被害はそうでもなく、寧ろ矢掛町のほうが酷い。誰かが「忘れられている」とツイッターしたそうだが、あまりにも真備町がひどかったし、井原市の隣の広島県の神辺町もため池の決壊の危険が報告されていた。

亡くなられた方の数も岡山県、広島県、愛媛県が圧倒的の多く瀬戸内海をはさんでの広域での水害となった。

洪水、土石流は恐ろしい。家屋、インフラを倒壊するのではなく流出、埋没させてしまうのだ。

今回の豪雨被害とあの辺で仮定する地震の被害を比べてみた(人的被害、経済的被害などは除く)。



地    震
水    害
仮 定/特 徴
中央構造線断層帯の北縁
安芸灘~伊予灘~豊後水道プレート内M7.4
異常気象 前線停滞
複数の線状降水帯
継 続 時 間
長くて1~2分
ひどいときは数週間
被 害 域
断層帯の長さによる 10km程度か
気圧配置 前線停滞域
最近は線状降水帯発生で広域
一般家屋 建物
倒壊 半壊 屋根瓦
長周期地震動では遠方の高層ビルも揺れる
短周期地震動では家屋に被害多い
家具などの転倒防止で空間が確保できれば助かる率が高い
倒壊、流出、埋没
早めに逃げるしか助かる方法はない
洪水/土石流
ダム決壊の場合は洪水も
豪雨被害では特徴
洪水で流木による被害多
インフラ
地下埋設の水道菅、下水配管に損傷
堤防決壊 鉄橋・橋脚流出 
橋脚の下の水道菅、ガス管に損傷、流出
火   災
地震発生の時間による
電気、ガスでは火災防止の対策が進められている
一軒一軒確認して回るのでは復旧に時間がかかる
浸水だから火災は少ない
感 染 症

あまりニュースにはなっていないが浄化槽破壊で危険が大きい
震災廃棄物
一時置き場所の確保
分別廃棄すれば処理も楽で、早い
建材などはペレットなどにして再利用可能か
水にぬれ泥で汚れているので処理は大変
ダム・ため池・山崩れ
可能性あり
可能性大
山崩れによる流木は被害を拡大している
原発
伊方原発
伊方原発
豪雨による被害はなかったのか
緊急用補助電源の確保?
今回は情報なし
予知/避難
地震予知 
過去の実績で規模、確率の予測はできるが予知まではいかない
気象情報により予知はできるが、今回は避難に時間的余裕なし
夜間、高齢者対策は問題あり
警報
緊急地震警報がでるが、震源域近くでは警報が遅れる欠点がある
気象庁から特別警報が出る

地震も豪雨災害も突然の出来事、今までの生活を台無しにし、今後の生活設計も途方に暮れる事態になる。人口減少の傾向にある過疎地域では町の消滅の危機だ。

さらに2040年までには働き手世代の激減で少子高齢化が進むが、自治体の減少、自治体職員も減少し、いざ災害発生となると復興の中心となるべき自治体組織が弱体化することになるのだ。

当然に救援活動してくれる自衛隊だって人員確保が難しくなる。

働き手が減れば税収減、インフラなどの増強、公共事業費の確保もままならない事態に陥る。

安倍総理は震災が起きると現地に入って人気取りのパフォーマンス、復興のための交付金の約束をしているが、そんなこともできなくなる日が来るのだ。

洪水を伴う災害は厄介だ。地球温暖化→日本近海の海水面温度は27℃→異常気象→豪雨はすでにどうしようもない自然現象なのだ。

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2014.8.22掲載
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