2018年7月1日日曜日

働き方改革:賛否両論はあるだろうが、何故まとまらないのか


働き方改革、重要な法案と言うが賛否両論、当事者に反論もあるが何故、まとまらないのか。この世の中は物理法則にしたがっていることで物質があれば反物質、+があれば-がある。賛否両論があるのは当然だろうが、大事な問題がどうしてまとまらないのか。

法案の名称は素人受けし、労働の多様性に答えるとの政府の説明もわかりやすいが、その内容はドロドロしており理解に苦しむ。

政府、経済界vs労働者、グローバリゼーションで古き良き日本式経営は崩れ、経営者はアメリカかぶれ、社員を大事にするより社員を犠牲にしてでも配当を上げる経営者が評価される。

そんな風潮も自民党政権が政党支持の票田を経済界に頼っているのが現実だ。

本質は過重労働で犠牲になった若者のような事が発生しないよう労働を改善することではなかったのか。その犠牲になった家族の反対を目前に強行採決する安倍政権だ。

リーマンショック後、人員整理で固定費を削減、その後景気は回復し仕事量は増えてきたが人員は減ったままでは過重労働になるのは当たり前なのに人手不足(?)に託けて人員増はやらない。それでも企業業績を上げるために経営者は「モット働け」という。

人数減で仕事量が増えれば労働生産性も上がる。人件費は東南アジアの労働者の賃金と競争になる。田舎で農業をやっていた人間が都会で工場勤務するのだから賃金は安い。そんな賃金と競争しなければならないのか。

労使交渉に頼っていた労働条件の確立も、政府が関与する法案の改正で逆に面倒な利害関係が出て来た。欧州では既に実施されている制度も日本ではこれからなのだ。

日本の経済も低成長、低労働生産性で伸び悩んでいる。欧州との差は広がるばかりだ。

年収1075万円以上の社員は裁量労働制で会社と自分の働き方を交渉すること出来るとみているが、会社と従業員との間に信頼感はなくなっているので、そんな事は出来ない。

残業を上限規制、月45時間、年360時間、悪質な違反には罰則を設けるとしているが「これが過労死ライン」なのか。人間らしい生活を保障しなければならないのではないか。子育て、家庭環境、休日には家庭サービスで英気を養い次の良質な労働力の再生産に益する事が大事ではないのか。

今、企業は空前の収益を上げている大企業もあるが従業員の犠牲の上に立った収益構造であり、決して長続きする者ではない。

私も現役を退いて久しいが新聞で「働き方改革」を読んでみた。

残業制限すると成り立ちにくい仕事がある事は分かる。自動車運転手、建設業従業員、医師などに残業上限を設けるとどうなるのか。仕事が成り立たない場合がある。中小企業もどうか。それぞれについて実施時期が5年後、1年後となっている。

更に残業を制限すると所得減になるので何らかの成果を労働者に還元する事も大事と指摘されている。残業ゼロは企業には収益向上になるのだ。

業務効率も上がらないだろう。事実、ソフト開発では70%が上がっていないという。一方、部下の残業を上司が肩代わりするために管理者の過重労働の問題に発展するだろう。

新聞報道では改革でも満足は得られなかったと言う上場企業238社の調査で44%に上っている。

終業から始業までのインターバル制度の導入に努力せよという。生産性を高め子育ての時間も確保せよというのだ。すでに欧州では採用されており11時間と決まっているようだ。

同一労働同一賃金は言われ出して久しい。正規と非正規の待遇改善を目指しているのだが全労働者の40%、2036万人が非正規労働者だ。これは大変な事だ。企業は固定費に占める人件費は決まっているから限界がある。正規の待遇を下げて対応する企業が出てくるかも知れない。逆効果になる。

更にはこの「働き方改革」で旗振りをする厚労省に大きな失点が見つかった。不正データの使用、官僚の失言は、厚労省も仕事は多い。税金の使い道も官庁ではトップだ。医療、年金、労働を仕事は増えたが人員不足で過重労働にかかっているのではない。だからミスが出てくると言われている。

お粗末な厚労省の政策策定、国会は十分な審議時間が取れず、被害者家族も反対し、経済界だけが評価するこの法案は廃案すべきだ。

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