2018年7月10日火曜日

7月西日本豪雨:なかなか進まない災害に強い街造り


正式名称は「平成30年7月豪雨」、災害を見るたびになかなか進まない災害に強い町づくりの感がする。今回も特異で非常にまれな気圧配置、前線の停滞が広域に甚大な被害をもたらせた。こういう天災(災害)が発生すると思い出すのは寺田寅彦博士の随筆だ。

災害が起きればその時は皆、高台に逃げるがそのうちに規制をやっていた役人も変わり、住民も便利さを求めて被災地の方に降りてくる。そこでまた、同じ災害に会い、被害を出すことを繰り返す。時代が進めば生活も高度になり被害の程度は大きくなる。

言えることは地震、火山噴火の天災に限らず水害も繰り返すのだ。良く調べれば過去に同じ被害が出ているのだが、被災地でのインタビューを見ると「ここに○○年住んでいるがこんなの初めてだ」という感想が多い。

そして、素人目には珍しい初めての現象と思っていても専門家の間ではその現象はすでに知られているのだ。今回の岡山県真備町の小田川の堤防が切れ町が水没したのも大きい河川と小さい河川が合流しているところで大きい河川の水かさが増えると小さい河川に水が逆流するのだ。バックウォーターというらしい。

そういえば以前にもそういう事例があったような気がする。

小田川のこの個所も危険が指摘され対策工事が予定されていた矢先のことらしい。「もっと早く手を付けていれば・・」と悔しがられるのだ。

東京の多摩川だって氾濫の危険がある。河川敷には家庭菜園やっている人もいれば不法住居、目にはつかないだろうが動物などによる堤防の穴開けは堤防を弱体化し災害の発生が心配される。最近堤防をかさ上げし背後ののり面を緩やかにとり宅地開発する事業(スーパー堤防)が行われているが所々でいつ完成するかは未定らしい。また高額な事業になるのでコストパフォーマンスに問題がありそうだ。

今回の広島、岡山などの災害を見ると、特異な気圧配置での前線の停滞、南から湿った空気の流入で豪雨となった。そして山からすぐ平地という形状で一気に水かさが上がり避難などが遅れた。バックウォーター現象で小さい河川へ水の逆流による堤防破壊、沢の山崩れで土石流の発生、樹木の流れ込みで洪水の流れに支障をきたし橋の流出につながったか。

山間部を通る高速道への山崩れ、国道の通行止めなどは流通に支障をきたし復旧のめどが立たないところもある。ある企業は工場稼働ができない事態も発生している。トヨタ自動車の工場が生産中止になった事例ではトヨタの生産システムであるかんばん方式に見直しの機運があったが今はどうなのか。

緊急事態での住民の避難については専門家が水平移動、垂直移動を提唱している。

逃げ遅れた人が被災するが、この家には誰々が住み、家の中のどこで生活していたかを近隣住民が情報を持っていたために大変な捜索活動に役立った例が多い。都会では考えられない事態だ。

自治体でハザードマップを作成し家庭に配っているところもある。私も東京久が原に住んでいて近くを呑川が通っているのでハザードマップを見てどの辺が浸水するか確かめた。今までも局所豪雨の時、道路から30cmのところまで水位が上がったことがある。近くで事業をやっていた会社が移転した。

また、どこでもそうだが高齢者が犠牲になった。情報もわからない、動きも取れないでは犠牲にもなるだろう。助けようとした若者が犠牲になることもある。どう考えるかだ。

また、こういう災害が起きると失敗例ばかりメデイアは報道するが、普段からの対策でうまく言った事例はないのか。

どこか忘れたが、古い民家の軒先に舟(ボート)がつりさげられているのを見たことがある。庄屋などの家だったと思うが、以前に水害にあって対策に舟を備えていたのだ。

実際にこういう水害に会うと怖い。私も子供のころ橋がつかりそうなところまで水かさが上がって消防団や警察が警戒したシーンを経験したことがあるが「水位が下がってきた」という大人の話にほっとした経験がある。

寺田虎彦博士の話を思い出さなくていいような時代になってほしい。

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