2018年7月17日火曜日

今日の新聞を読んで(167):求められるアベノミクスに代わる経済政策とは


朝日新聞(2018.7.14)の経済気象台「自立せよ日本経済」には全く同感であるが求められるのはアベノミクスに代わる経済政策と言うが、一体どんな政策があるのだろうか。前提条件は安倍総理の退陣、リフレ派から正統派経済政策の実現だろう。

主張は、グローバル経済からの脱出、非正規雇用から正規雇用への安定雇用と真っ当な賃金、家計への再分配と以前の日本式経営を取り戻し自立を高め中小季語湯や地方経済を軽んじて日本経済の脆弱性を高めたアベノミクスに代わる政策の必要性を訴えている。

米の保護主義の台頭で世界経済は縮小へ向かうが日本経済への影響も大きいだろう。政府ばかりでなく経済界もどんな日本社会を目指そうとしているのか、「おねだり経団連」から脱却し日本式経営を省みるときではないか。

5年前の安倍、黒田ラインによる日本再生は華々しかった。確か「2年で成長率2%、物価上昇2%」を打ち上げ国民、市場に期待感を持たせた。しかしいずれも1%前後、達成時期は6度も先送りされ今は「明記せず」だ。日銀の期待感に応じる国民、市場は少なくなった。

法人税下げ、富裕層への優遇税制は海外からの企業誘致を狙ったが結果は格差拡大につながった。市場に大量にカネを流す異次元の金融緩和策は海外投資家の動きとも相まって当初は円高→円安、株安→株高と輸出企業を中心に景気回復に寄与したが内需拡大には結びつかず外需頼み、M&A、海外投資おまけに企業の内部留保を積みます結果になった。

最近発表されたIMFの成長率見通しも日本は2018年1%、2019年0.9%ととてもではないが世界をリードする立場にはない。安倍総理や麻生財務相がG7, G20に出席しているが他国の首脳は誰が日本の主張に耳を貸しているのか。名目3%、実質2%の目指す目標は未だかってない成長率で本気度を疑う。

成長分野へ規制改革、戦略特区構想で既得権益に果敢に取り組み風穴をあけようとしているが、あけてみたら安倍総理の親友、仲間内が新しく権益者に名を連ねる結果になり「モリカケ」問題も引き起こした。
景気は緩やかに回復していると言うが、何時もコメントには「消費が伸びない」という。GDPの6割を占める個人消費が伸びないのだから今の500兆円から
600兆円を目指すのも大変だ。計算法を変更するらしいがそこまでして達成したいのだ。家計への再分配をめざして安倍政権は経済界に3%の賃上げを要求したが実際には2%チョットで終わったようだ。

企業の経営者も大変らしい。

政府は設備投資を要請するが、ある経営者は「需要があれば借金してでも投資するという。日銀が今ゼロ金利を維持し企業に投資を誘っているようだが金利が問題ではなく、仕事があるかどうかなのだ。

ある中小企業の経営者は、仕事は増えてきたが工賃はリーマンショック後と余り変わっていないという。値上げを要求すると仕事が来なくなるから無理してでも引き受けるという。

又、企業の業績は労働者の犠牲の上に成り立っていると専門家は見ている。人件費は東南アジアの国々と競争することになるから低賃金になる。東南アジアは農村から工場へ出てくるので当然賃金は安い。

「それと競争しなければならないのか」と専門家は嘆く。国内で高賃金にするには高品質の製品で内需拡大すべきだが、なかなか需要が見つからないようだ。

逆に最先端技術、製品で勝負してきた日本を代表する企業がM&Aの失敗などで経営不振になり東芝は切り裂かれてバラバラで身売り、シャープも台湾企業に買収され業績が回復したという。

日産もそうだったが、経営不振の大企業を国内企業が手を差し伸べることが出来なかったのか。このままでは折角開発した高度技術が海外の企業に安く叩かれて流出する事になる。

そして日本企業復活は「物つくり」からだ。サービス業の比率が高まってきているが、低賃金、過酷な労働、労働環境の悪さなどが以前は指摘されていたが、今はどうなのか。IT事業の躍進は凄い。今上場している企業はほとんどがIT関連だ。若い企業家が証券取引所で鐘を鳴らしていた。

何やら紙くずになる時が来ないかと心配になる。

そこでアベノミクスに代わる経済政策にはどんな内容があるのか。ポスト安倍の石破さん、岸田さん、野田さんは「アベノミクスを見直す」という。どんな経済政策を掲げて自民党総裁選を戦うのか。

労働者の生活の不安を払拭し結婚、子作りを促進するには雇用の安定(非正規から正規へ)、内需拡大は出来るのか。日本市場は少子高齢化で縮小気味、外食産業の社長が言っていたが「これからは人口も減り、高齢者が増えると胃袋も小さくなってくる。外食産業に未来はない」と。

金融機関、銀行もしっかりしなければならない。何時もハゲタカのように振る舞うがブームが過ぎると経営不振で救済を迫る。銀行は潰れないだろと鷹を食っていると大変な事になる。何時も悪いことをするのは銀行だ。

預金金利だってゼロ近くだ。普通預金で4~5%の金利がつく日は来るのか。銀行の女性の新入社員がパンフレットを持ってきた。「金利が10倍つく物があります。どうでしょうか」という。それでも0.いくらだ。

普通で4~5%、定期で7%付くと年金生活者も消費があがるのではないか。預金者の犠牲に上に立っての銀行経営だ。貸し出す先、投資事業がなければ銀行も困るのだ。

「外需に頼らぬ内需拡大」、それに尽きるのだが・・。

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