2020年8月29日土曜日

安倍総理辞任表明(1):今さら「負託にこたえられない」とは

 

             朝日新聞 2020.8.29

安倍総理が体調不良理由に「持病再発で、このままでは負託にこたえられない」と最長記録達成直後の辞任表明となった。昨夜のテレビニュースでは詳細が分からなかったので今朝の新聞で状況を確認した。 

「まさかの辞任」という閣僚、議員や経済団体トップの談話が載っているが、本当に辞任想定が出来なかったのか。議員連中は「当然の辞任」などとコメントすると「冷たいやつ」と批判されるのを恐れての「まさか」発言だったのだろう。

27日までのメデイアの報道でも「辞任」を臭わす記事は見当たらなかった。道半ば、後1年ということで何とかなるだろうとでも思っていたのか。 

ここで辞任を表明した理由は「やる気を無くした」のではなかろうか。安倍総理自身の病気の説明では8月に入って潰瘍性大腸炎が再発し、今後の治療法を検討していたという。確かに官邸での安倍総理の動きをテレビ画面で見ると体調不良は良く分かる。 

でもやっぱり「やる気の問題だ」。新型コロナウィルスの対策では失敗が続く。国民が喜ぶだろうと思っていたマスクの配布も「アベノマスク」と揶揄され、税金の無駄遣いが批判された。 

打つ手は小池都知事に後れを取り、小池知事が「やってる姿」を見せるたびに政府に政策に支障をきたした。緊急事態宣言発出が遅れたのも小池知事がロックアウトなど過激な政策を臭わせたため、混乱を防ぐためだったようだ。 

更に悪いことに、官邸内、自民党内で主導権争いが出てきた。今まで安倍政権を支えた連中がいがみ合いを始めたのだ。「今は、菅長官で政権が動いている」などの報道は安倍総理にとっては頭に来たのではないか。 

総理として3選目、1年の任期を残して道半ばでの辞任という。選挙にも強く、一強独裁安定政権を気づいた安倍総理に「もう1期」ということで自民党は総裁任期を2期から3期に延長した。 

本来なら在位最長記録など考えられないことなのだ。すでに政権から去っている身なのだ。 

ところで安倍総理は「在位日数ではなく何をやったかが問題」レガシーを重視する発言をしていたが、第1期、第2期、第3期でどんなレガシーを残したのか。 

安倍総理は、「国民が判断するのか、歴史が判断するのか」というが、「東北地方の復興無くして日本の再生なし」を掲げた東北復興計画、円高、株安から円安、株高への異次元の金融緩和のアベノミクスの3本の矢、400万人の雇用の創出、集団的自衛権などを上げた。 

しかし、3.11東北地方太平洋沖地震、津波、福島第一原発事故で民主党政権時、当時の菅総理が野党の自民党に副総理格、復興担当相の就任を打診したときに、自民党は「民主党に手を貸すことはない」と谷垣総裁の就任を拒否した経緯がある。ところが政権に復帰した安倍総理は事あるごとに被災地を訪問し復興に力を入れていることをアピールする。 

アベノミクスの3本の矢の一つ、「異次元の金融緩和」により「2年で物価上昇2%」を掲げたが、実態は1%程度で未達だ。これには触れず、「雇用が改善したのだから良いじゃないか」と言い出した。 

3期目で何をやったのか。最長在位がレガシーか。寧ろ「負のレガシー」が大きい。更には「政権の私物化」は安倍総理夫婦そろっての疑惑事件は憲政史上まれなる疑惑事件だった。 

安倍総理には民意が分かっていないし、今後は裁判が待っている。

森友事件は、安倍総理が関連する内容の載った文書は隠蔽、改ざんされる公文書管理に重大な欠陥を出し、民主政治の根幹を揺るがしている。総理は国会で十分に説明責任を果たしたと考えているようだが、国民はそうは思っていない。 

加計学園問題での獣医学部開設は規制緩和に名を借りた重要人物の権益付与に協力した。四国からの受験者は全員不合格、学部の施設も先端技術には不十分な施設だという。

安倍総理の後援会活動での「桜を見る会」、「夕食会」は政権の私物化、公職選挙法、政治資金規正法違反容疑がかかり法務関係者660人が東京地検に告発している。東京地検が受理するかどうか分からないが、受理して安倍後援会の悪事を暴露すべきだ。 

また、参院選広島選挙区での河井陣営に1億5000万円を自民党から資金提供したことが河井陣営の裁判でどう解明できるか。安倍総理が関与していることは間違いないが安倍総理は否定しているし、河井陣営は「党勢拡大にため」と投票依頼を否定している。二階さんを人事で無碍に出来ないのはその辺を知っているからだろう。 

辞任後の安倍総理を待っているのは裁判だ。

しかし、最後には「やってる姿」を見せるのを忘れなかった。新型コロナウィルス対策では「政策パッケージ」を、北朝鮮対策では安全保障対策を打ち出した。 

次期政権にも「コロナ対策に全力を」と訴えた。 

一国のトップが「マスクをし弱々しい姿」を海外に見せること、ポスト安倍が政局になっている内政を残り1年続けることは誰が見ても「国益」に反する。 

寧ろ遅すぎた辞任だ。

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