1960年の岸内閣による日米安保条約強行採決、それに反対する大規模な国会包囲デモから60年の節目を迎え、米国を取り巻く1991年の湾岸戦争、2001年の同時多発テロで日米同盟に基づくアメリカの要求は強硬になり、その都度日本の時の政権は憲法、自衛隊の在り方で苦悩にじませた。その結果はアメリカ追随で日米同盟も変質してきた。
朝日新聞(2020.6.22)「集団的自衛権への道 米同時テロから」はアメリカの「わかっているにもかかわらず(?)無理やりな要求に日本政府が振り回されている状況がよくわかる。
GHQが日本側に新憲法の草案を指示し、日本側の案では民主政治にほど遠いと感じたGHQが独自に草案作成に踏み切ったが、当時の幣原総理は大戦後の日本が世界に認められるには戦争放棄、軍備を持たないことを約束するしかないと判断、マッカーサーに要求した結果憲法9条が規定された。
そして今、憲法9条、自衛隊の在り方が海外における同盟国での安全確保の共同行為に足かせになっている弊害(?)に何とか対応しようと自衛隊派遣の際の防衛庁設置法の「調査研究に基づく警戒監視」であり、安倍政権での「集団的自衛権の憲法解釈変更」だ。
1991年の湾岸戦争では、今までことあるごとに復興支援で巨額の資金を出していたが「カネは出すが人は出さない」と批判され、親日派と言われたアーミテージ氏は「ショー・ザ・フラッグ」と発言し、日本政府は何のことか迷った。「カネよりも人を出して貢献しろ」ということだった。
アーミテージ氏は今でも親日派を言われているが本当か。アメリカの言い分を日本に伝え日本をアメリカ側に引き寄せるだけの人間で、日本の立場をアメリカ政府に説明できていたのか。
湾岸戦争は日米同盟を変質させるきっかけになった。
そして、2001年の同時テロ事件だ。国際テロ組織のアルカイダが米の航空機をハイジャックし世界貿易センタービルに自爆攻撃したのだ。当時のブッシュ大統領は「テロとの戦い」を宣言した。
米国はこれにより米国の軍施設、軍艦船へのテロの攻撃を回避に日本にも共同行動を要求するようになった。
その始まりが、横須賀を基地とする米空母キテイーホークが出港する際に護衛を要求してきたのだ。防衛庁の事務方は「日本が危機に瀕しているわけではない」と慎重だったようだが、海自は「やらなければ日本同盟崩壊」を心配していた。この時、自衛艦などの行動基準は「調査、研究にもとずく警戒監視」(防衛庁設置法)だ。今でも中東に派遣される自衛隊艦船の派遣根拠になっているが苦しい説明だ。
実際の行動は、キテイーホークの前後に自衛隊の護衛艦が1隻ずつ付き、浦賀水道を通過したという。公海ではなく日本国内の海域だから護衛しても不思議ではないが、随伴する空母が攻撃されたときに自らへの攻撃とみなし武器を使うことができるかどうかだ。
アフガン戦争ではインド洋に海自艦を派遣し給油作業に当たった。
イラク戦争は問題が残った。米国が自ら選択した戦争だ。大量破壊兵器を持っていると米国が主張するが国際調査団でも見つからず、結局はなかったことになるが、フセイン元大統領を追放したが、ISなど今の中東の混乱の原因になった。
NATOは集団的自衛権の発動をしたがドイツ、フランスはアメリカと距離を置くようになった。
日本政府の考えは「日米同盟で国民の安全を保っている」という考え方だ。
しかし、中国の尖閣諸島周辺の領海侵犯に苦しめられて日本政府は米政権に「尖閣も含む」発言を期待していたが、オバマ政権でやっと「尖閣も日本の施政権下にある」と認めさせた。しかし今、トランプ大統領はどう考えているのか。年間2000億円もの「思いやり予算」を5倍に増額しろという。
さもなくば、米軍撤退か縮小だという。野党や識者には「丁度いいじゃないか、交渉したらどうか」、「とりあえず辺野古移設反対」というのだ。
トランプ大統領は、日米同盟で「アメリカが日本を守っている」片方義務を嫌っているようだが、米軍は決して日本を守っているわけではない。むしろ米国の世界戦略に基づき存在しており中東紛争の時は第7艦隊が派遣される。中国、北朝鮮にもにらみを利かしているがこれも米国の世界戦略の一環だ。
アメリカが巻き込まれた世界的テロ、中東の安全を脅かす紛争に日米同盟が変質し、世界で同盟国との共同行為ができるように日本が巻き込まれている。安倍総理のいう憲法9条改正もその一環だ。
岸内閣で新日米同盟を締結し、安倍内閣で同盟を強化し世界で貢献できる自衛隊にすれば外交での日本の立場も向上するとみているのだろう。
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