2020年6月6日土曜日

頻発する内陸地震:首都直下、海溝型巨大地震が切迫か、それとももっと先か


気象庁の地震情報に地震調査委員会
が公表した海溝型地震ランク(30年以内の
発生確率)を記入、ほかにひずみがたまっていると
思われる地域も記入してみた
なにやら日本列島が地震で騒々しい。長野県中部、岐阜県飛騨を震源とする地震は上高地周辺の群発地震、この辺には今も煙を吐く焼岳があるし近くを糸魚川・静岡構造線が走っており、それが中央構造線断層帯とも交差する。

他にも、東京湾、千葉県北西部、茨城県南部、北部を震源とする地震は首都直下地震との関連、更には近くを中央構造線断層帯の東側部分が太平洋に抜けていると見られている。

北海道も不穏だ。十勝沖地震、国後島地震、根室沖は今、危険視されている千島海溝巨大地震の震源域だ。「切迫している」とメデイアは報じる。

そして、南海トラフ巨大地震の震源域内では、紀伊半島、三重県南東沖、静岡県西部が騒がしい。南海トラフ関係ではM9が想定され、震源域も内陸部へ拡大しているし、東海、東南海、南海、日向灘と3~4連動まで想定されている。2019728日に発生した三重県南東沖地震はM6.5だったが、420kmと深い深発地震で遠く宮城県でも最大震度4で揺れた。

通常は10~40kmの深さだが100kmより深くなると広い範囲で揺れる。更に長周期地震動は日本のいたるところで発生する地震が東京など首都圏を揺らすのだ。東京近辺で地震が発生しなくても超高層ビル、タワーマンションがゆっくり揺れるのだ。

ところがその巨大地震などが「何時」「どこで」「どの程度の規模」で発生するのか、あれほど言われていた地震予知はどうなったのか。

地震調査委員会など専門家は見直しし、「千島海溝地震」は30年以内のM8.8の発生確率は26%、「南海トラフ巨大地震」はM8~9が26%以上、「相模トラフ」はM726%以上、M8~8.6なら3~26%という。

首都直下地震は30年以内にM7.3が70%という。70%の確率は今日かもしれないし、明日かもしれない。確か兵庫県南部地震の確率が0~8%といわれていたのがすでに発生したことを考えると「何時おきても不思議ではない」のだ。

30年といえば人生では長く生きているうちに経験することは無いかもしれないが、地球の歴史からするとほんの一瞬だ。「切迫している」「10年以内」「数年以内~10数年」「50年以内」「数百年いない」と専門家に予測する人もいるが「分かるはずがない」が本音ではないか。

要は、「地震発生のメカニズムも分かっていないのに余地など出来るはずがない」というのだ。

年に10cmほど動いているプレートとプレートの接する面に「固着域」があるが動きに耐え切れなくてはねる。岩盤が破壊され発生した地震波が地表面に達して地面が揺れる。

破壊されることは「確率の現象」だから予知など不可能という。

それでも地震予知に知恵を絞っている専門家もいるのだ。井戸水の水位は古くからある指標で専門家の間でも信頼されており今でも地震発生後に検証したら井戸水の水位に異常が見つかったという例があるが、では予知に使えるかというとそうでもないらしい。

以前、京大防災研が常時観測していた井戸の水位の変動が止まったということで地震の発生を警告する情報を学会やHPで公開した。万一地震が発生すれば東海道の主要幹線でもあり被害は甚大だという考えもあり公開したらしいが、何時までたっても地震は発生せず、いつの間にかHPからもデータが消えた。

首都圏直下地震の予知として児童の自然観察の一環として学校にある井戸の水位、水質調査を継続し異状の検知が予知につながらないかと思っているが、どうか。

GPSの利用が盛んになってきた。パイオニアは測地学の村井先生でMEGAで情報を公開している。私たちは週刊ポストで知ることが出来る。地殻変動が4cmを超えると危険と見ているのだ。最近号では、第1位が東北地方の警戒オーン、地震多発地帯だ。第2位が首都圏の危険ゾーンで3.11東北地方太平洋沖地震の状況に似てきたと警告している。第3は北信越警戒ゾーン、第4位が南西諸島という。

気象庁の地震情報でもこのゾーンは地震が多発している。GPS測量とスロースリップ観測などで地震の予知ができないかと期待しているが。

FM電波異状、大気中のラドン濃度、イオン濃度も候補に挙っているが、FM電波、イオン濃度の異状が出たために地震発生の危険を大々的に公開したが、何時までたっても地震の発生は無く、そのうちに信用を落とす結果になった。

そんなときに神沼克伊先生の「あしたの地震学」(青土社 2020.3)が目に付いた。

先生も地震現象は「確率の現象」なので地震予知など不可能という。あの寺田寅彦博士の考えともあっているのだ。統計学を重視し巨大地震の発生間隔(周期)を重要視しているようだ。そうすると「切迫している」「M9」などの発言はおかしいという。

読み進むとどうも「すぐにはおきない」というが地震に対する備えは大事なのだ。先生は「抗震力」という。

あれほど騒がれた東海地震がどうしてまだ起きないのか。そのうちに南海トラフ巨大地震は34連動の可能性も出てきて規模も9クラス、更に震源域は内陸部に大きく食い込んできている。その境界付近で内陸型地震が多発しているから、巨大地震の前兆かとみなされる。

また、統計学的に巨大地震の発生周期が重要だが、古文書や沼の堆積物調査などから発生間隔が疑わしい地震も出てきて見直しがされ巨大地震発生時期が「切迫」ではなく、「もっと先」という結果になっている。

その結果はこうだ。

関東地震は200250年間隔で発生は2150年頃だが21302180年と見る。2050年ごろから南関東でM7クラスの地震が発生する可能性があり此れが東京直下地震になるのか。過去の事例から見るとその間に直下地震、横浜地震、龍ヶ崎地震、浦賀水道地震が発生、M7クラスだ。

南海トラフ巨大地震はM9の巨大地震、震源域の拡大、6841945年の1300年間で9回発生している。周期も90年から200年と幅があるのはそれぞれの地震で間違って含まれている可能性もあるのだ。

京大の鎌田先生は、南海地震について、港の地震波生後の沈降、隆起曲線から次は2030年の中ごろと予測している。

また、東大地震研の瀬野先生は数々の南海トラフでの地震を解析した結果、次の発生は200300年後と結論付けた。

神沼先生も22世紀の後半、数年から20年程度で首都、中部、関西で相互に巨大地震の発生の可能性を指摘している。「22世紀問題」という。

首都直下地震は「30年以内にM7.3クラスが70%の確率で」は大きな反響を生んだという。発表されてまだ10年もたっていないので後20年で本当に首都でM7クラスが起きるのか。東京の下はプレートが複雑に入り込み、最近では第4のプレートの存在が報告された。調査も手つかずで活動周期も分かっていない。

堆積物の厚さが厚いので活断層の発見もままならないらしい。

でも、巨大地震は決まったところに繰り返し発生すると寺田寅彦博士も言う。生きて経験することは少ないだろうが、必ず発生するのだ。今、免震構造を売りにしているタワーマンションが多いが、役に立つときが来るのか。

東京のマンションに住んで、田舎の一戸建ても東京が地震で破壊されたときの避難場所と考えていたが、生きている間にそういう事態は来ないということを考えると、どちらかを処分ということになる。

難しい選択だ。こうしている間にも居間のテレビが揺れだす。地震の発生だ。でも通常は20秒ほどでやむ。しばらくしてテレビのテロップで地震情報が流れる。時々緊急地震速報で「関東地方地震発生、強い揺れに注意」と喚起する。そのたびに我が家の地震対策を見直す。

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