2020年6月22日月曜日

今日の新聞を読んで(369):「オポジーボ」開発で対価をめぐり研究者と企業対立


画期的で1兆円にもなる売り上げの医薬の開発における対価をめぐり大学の研究者と製薬会社が訴訟を起こすことになったらしい。企業にはトラブルに備え顧問弁護士を抱えているが当時の大学は研究者個人にまかせられていたこともあり、「大学の無知を悪用された」と製薬会社を批判している。

新聞によるとノーベル生理学・医学賞を受賞で「オポジーボ」開発者の京大・本庶教授が製薬会社の小野薬品を相手取り約226億円の支払いを求める訴訟を起こしたという。

その背景には類似薬を販売した米製薬大手メルクが小野薬品に支払う特許使用料の配分、特許侵害訴訟において小野薬品の受け取る金額の40%を本庶先生に支払う口約束の履行がある。

小野薬品社長は40%といったことは事実だが、本庶先生側が受諾しなかったために撤回、1%に減らしたという。このために薬200億円が5.3億円になったらしい。

さらに本庶先生は売り上げに応じた対価を06年当時0.75%としたが、「不当に低い」ので上乗せを交渉したが決裂したという。

小野薬品はこれらのことがあり京大に300億円の寄付をすることを申し出たそうだが、いずれも受け取りを拒否されたという。

こういうもめごとは製薬会社にとっても痛手だ。「司法の場で正当性を主張する」というが、おそらく「和解」で解決するのではないか。

本庶先生の研究は当初どの製薬会社も理解されず、小野薬品だけが手を挙げたようだ。御多分の漏れずがん治療薬の開発には巨額の資金が必要だ。小野薬品が経営不振にさらされた記事も読んだことがある。

一方で、小野薬品にとっても訴訟では本庶先生に頼ることが多かったようだ。相手側の多大な資料を読み込み相当の時間を割いて対応、本庶先生の助けがなかったら負けていただろうと競合会社は認めている。

そして、当初は海のものとも山のものともわからなかった市場は1兆円というし、がん免疫治療薬の市場は4.5兆円とも言われている。それに比べれば売り上げの0.75%はあまりにも安すぎるのだ。

この訴訟のポイントは小野薬品の社長が、本庶先生に協力を依頼した時「特許侵害で小野薬品が受け取る金額の40%を支払う」と口約束したことだ。

小野薬品側も事実と認めているが本庶先生が承認しなかったので1%に減らしたという。なぜ、本庶先生の承諾なしに減らしたのか。小野薬品の誠実さに欠ける面がある。

両者の関係はうまくいっているときはいいが、こじれてくると修復が不可能になる。

小野薬品は会社のメンツもあるだろうが、こじれれば企業イメージも悪くなる。おそらく裁判所は「和解」を提案するだろう。

注目だ。

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