2020年6月27日土曜日

リニア新幹線で静岡県対JR東海:大井川水量への影響を危惧する県のほうが正論か

朝日新聞 2020.6.27

リニア中央新幹線での静岡県とJR東海のトンネル工事に伴う地下水の「大井川に戻せるか」、「県外へ流出するか」の大井川の水保全に関する問題は静岡県内のトンネル工事着工の大きな障害になっていたが、新聞報道では26日の静岡県知事とJR東海のトップ会談でも歩み寄りは無かったようだ。

2027年開業を目指すリニア中央新幹線事業は現東海道新幹線を保管する大動脈維持のための重要な工事とみなされ、JR東海が9兆円、国も財政投融資で3兆円をつぎ込む一大事業だ。

東京品川から現在のリニア新幹線の実験線を利用し最短距離で名古屋を目指すが、その中で南アルプスの下をトンネルで通る静岡県内の8.9kmの区間がある。一番の難関工事が予想される。

中学生のころ、関西電力が黒四ダム建設時に80mほどの破砕帯に出くわし大量の出水対策で2年ほど工事が滞ったことを思い出す。黒四ダムに行くときの途中に今も見ることが出来る。

この地下水を大井川に戻し大井川の推量を確保できるかどうかが静岡県の主張するところだ。62万人の県民が飲料水、工業用水、お茶産業に利用されているのだ。静岡県民にとっては死活問題になるのは当然だ。

記憶が確かではないが、当初JR東海は大井川に戻せるといっていたが、後で準備作業、工事中は戻せないと発言した経緯がある。静岡県にとっては準備作業であろうが、工事中であろうが一体工事だと見るのは当然だ。工事後、導水路を造るとは言うが。

当初から静岡県内には駅もなく、この工事からは何の恩恵も受けないのだ。万一、静岡県内に駅を造っていたとしても大井川の水量問題はついてくる。その時、どう判断するか。

この工事に着工するには環境保全協定を締結しなければならないし、河川法では県知事の許可が必要だ。

新聞報道では、会談で県知事がそういう手続きもあると発言したことでJR東海は「一歩前進か」と思ったようだが、県知事は「工事着工などとんでもない」と否定した。

県や国土交通省はそれぞれの有識者会議で検討というが、専門家でも誰も判断できないだろう。やってみなければわからない自然現象だ。こういう場合は反対者の意見が正しい場合が多い。

すでに他の工事区では工事が始まっているし、品川、名古屋では都市開発も進んでいるらしい。

新型コロナウィルスで新幹線の利用客も減ったようだが見通しはどうか。更には大量の地下水を抜くことになる地殻変動で地震の発生はどうなるか。

南海トラフ巨大地震により東海道新幹線が被害を受けた場合の代替の大動脈になることを考えているようだが、巨大地震の発生は22世紀と考えられている。今完成してもそのころには老朽化していないか。莫大な維持費をかけて運行しているかもしれないのだ。

誰か調整できる政治家が出てくるか、工事推進派の県知事が出てくるか、何かのアメを与えて妥協に持っていくか。


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