2020年6月18日木曜日

何だったのか「安倍長期政権」:モリカケ問題から新型コロナウィルス対策まで


第201通常国会が150日の会期を終え 新型コロナ対策での課題が多い中、安倍総理は国会を閉めた。野党は会期延長を主張していたが「閉会中審査」もあるといわれ譲歩した。歴史上著名な政治家を追い越して日本憲政史上まれな長期政権を築いたが、7年がたってみて「この悪夢のような安倍政権」と揶揄されるような事態に至った。

安倍第2次政権の始まりは民主党の野田政権との党首討論で、「いつ解散総選挙か」と聞かれ野田総理は「約束を守ってくれれば明後日解散します」と発言、安倍総理はいったん腰を浮かすほど驚いていたのを覚えている。

しかし、その後野田さんが国会審議で安倍総理に「約束は守っていない」と追及した。国会改革が進んでいなかったのだ。約束を守らないのは安倍総理の常とう手段だ。

総裁に就いた安倍さんは、総理として長期デフレから脱却すべくリフレ派経済学者を重用しアベノミクスで第一の矢を放ち円高、株安から円安、株高へ日本経済の再生へ一歩進めたかに見えた。

大きな政策課題を勝ち抜き安倍総理の信認を高めたが、これ以降憲政史上まれなる総理夫妻による不祥事のモリカケ問題に始まり「桜を見る会」で利権誘導の政治に手を染めた。

何やら日産のゴーン元会長と重なるところがある。日産の窮状を打破するためにルノーが得たいのしれないカリスマ経営者と言われたゴーンさんを送り込み、コストカットで2年で2兆円という借金を返済し日産の再建に成果を示したと思えたが、平時の経営では手腕を発揮することもなく利権誘導に走り多大な資金を日産から自分や自分の人脈につぎ込み、経営者独特の悪事で起訴されたが密出国という手に出た。

2人に通じるところは成果を目くらましに利権に走る構図だ。

安倍総理はことあるごとに「あの悪夢のような民主党政権」と、3.11東北地方太平洋沖地震、津波災害と福島第一原発事故の対応を批判し、野党の追及をそらせてきたが、今、「あの悪夢のような安倍政権」と揶揄される事態になるほど悪行を重ねてきた。

法治国家で民主政治の日本で、やってはいけないオンパレードの7年間ではなかったか。そして野党のだらしなさが永田町に緊張感をなくさせる結果になって言う。

利権誘導とも思われる総理夫妻による不祥事のモリカケ問題、桜を見る会は安倍総理自身の後援会活動は公職選挙法、政治資金規正法違反疑惑で識者により検察に告発された。

森友学園での国有地格安払い下げ問題は財務省の公文書偽造、隠ぺい事件まで発展し、民主政治の根幹を揺るがす事件となったが、いまだ真相は不明で、担当官僚が自殺し、その奥様が元理財局長と財務省を相手に訴訟を起こす事態になった。

政敵つぶし、野党つぶしの行為は安倍長期政権を築く元になったが、国会を無視した民主政治の根幹を揺るがす。

集団的自衛権の閣議解釈は国会審議を無視し、法制局長官を更迭してまで強引にやってのけた。検察庁法改正に絡む黒川検事長の定年延長も過去の政府解釈を覆してまでやってのけようとした。

アベノミクスの異次元の金融緩和も渋る当時の白川総裁を任期途中で辞任させる強硬策に出た。自分の政策遂行には何でもやってのける無法行為だ。

初めての国民の生命、身体にかかわる新型コロナウィルス感染拡大に遭遇し、危機管理にたけていたと思われていた政権も後手後手の対応で批判が集中、生活、事業支援のための給付金問題では国会提出直前に政策の変更をする右往左往だ。

緊急事態に官邸の官僚の意見を重視しアベノマスクの失敗もあり、安倍総理は「官邸に民意が上がってきていない」と嘆いた。政権運営を考えると自業自得だ。

新型コロナウィルス対策での後手後手の対応は支持率低下に大きく影響した。習主席の訪日、経済再開のことを考えての入国制限、緊急事態宣言の発動遅れを招いた。その間独走する小池都知事のパフォーマンスに完全に負けていた。

得意とする外交も問題が多い。北方4島では平和条約締結という癖球を投げられ停滞。一方でロシアは4島の開発に力を入れる。極東開発に資金を出させるプーチン大統領の手に乗ってしまった。会談ごとに2人だけの会談をやっているが、何を話しているのか。国会で野党が追及しても「相手のある約束事」と詳細は説明されないのが常識になっている。

アメリカ追随は見ていて恥ずかしい。確かに日米関係維持は政権の重要課題であるが安倍総理は大統領との寄り添いを重要視しすぎだ。オバマ元大統領は伊勢湾サミットで訪日し、最終日に広島訪問で平和メッセージを世界に発信するというと、何を思ったのか急遽付き添い花輪贈呈までした。

トランプさんが大統領に決まると、土産物を持って誰よりも早くあいさつに行き、友好関係を築こうとした。北朝鮮の拉致問題ではトランプ大統領に口添えを頼んだ見返りに米国から巨額な兵器の購入を約束してしまった。今回イージスアショアの計画「停止」を河野防衛大臣が公表したが、巨額な経費の一部は支払いされている。

安倍政権にとっては政治主導の政策で「中止」は痛手だ。トランプ大統領が選挙を控えどういう手に出るか。

不祥事のたびに「私に責任がある」と繰り返すが何ら説明はせず、責任を取ったことがない。だからこそ、長期政権が可能だったのだ。責任を取り辞任していればとっくに政治は変わっていただろう。

不思議なほどメデイアのトップ、著名なジャーナリストらとの会食を重ねている。これでメデイアは政権批判ができるのかと海外から不思議がられているが、安倍総理は政権批判を回避しようとしているのか。

国会答弁も批判の的だ。本人は「丁寧な説明」に徹しているというが、野党はモリカケ問題でもいまだ追及を続けている。真相がわからないのだ。「桜を見る会」問題では証人喚問も自民党国対が反対する。安倍総理は「要求があれば出て言って説明する」というが、裏では出たくないのだ。

安倍総理は最近元気がないことはテレビ画面でもわかるほどだ。あと1年ちょっと、どういう政権運営をするのか。メデイアは解散や内閣改造の可能性を言うが、政治を変えるにはトップを変えることだ。

もうすでに安倍総理の賞味期限は過ぎている。



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