2022年2月1日火曜日

今日の新聞を読んで(524):急激な量的緩和に抵抗した白川元日銀総裁、どう評価するか

 

新聞に日銀金融政策決定会合の議事録(2011.7~12月)掲載されたのを見た。東北地方太平洋沖震災後、民主党野田政権から自民党安倍政権への移行期、欧州ではギリシャ債務問題が発生、円高に対して為替介入、白川日銀の追加緩和が行われたが、一向に円高は改善しなかったのだ。 

欧州危機も相まって円高が進む。為替介入で円売り、ドル買いをする。一時は円安に進むが、直ぐに75円台に戻る。10兆円規模の追加緩和も円高には効果なし。 

当時の白川さんの考えが載っている。曰く「金融面での量的制限があるわけではない。緩和だけで経済が持ちあがっていくわけではない」と。金融政策の専門家らしいコメントだ。そしてそのとおりになっている。 

「政策の目的はあくまでも物価の安定で日銀が議論のダイナミックスに組み込まれることのないように」と日銀の独立性を訴えていた。 

自民党、市場、世の中は大胆な緩和策で円高を円安に、脱デフレへの期待が高まっていた。 

一方、政局はどうだったのか。 

白川さんのように追加緩和ではダメで、大量のカネを市場に流せば、当然に円高、デフレから脱することが出来るというリフレ派経済が声を上げていた。

民主党・野田政権も前原財務相が決定会合に出席し「思い切った量的緩和」を要望したが、白川さんはウンといわなかった。政局も「何時、政権交代か」で持ちきりになり混沌としていた。 

衆院選で「量的緩和を主張する自民党」が圧勝し、安倍政権が誕生すると、日銀政策委員にリフレ派委員を送り込む。白川さんは6ヶ月の任期を残し辞任、安倍総理は黒田さんを日銀総裁に登用した。

黒田さんは颯爽と「2年で2%」の目標を記者会見で発表、「2年で物価上昇2%達成」を掲げたが、異次元の量的緩和も効果なしか。

今、FRBは緩和縮小、利上げの意向、欧州の中央銀行も同調するが、日銀だけは安定した物価上昇2%が維持できるまでは量的緩和を継続と言う。

長期金利も0%程度に誘導していたが、市場は日銀も大規模金融緩和政策を変更するのではないかとの憶測もあり、長期金利は0.185%まで上昇、住宅ローンも引き上げの動きも出てきた。

アベノミクスで円高から円安に転じ日本経済も改善したかに見えたが、輸入品の値上がりで生活必需品も値上がり「悪い円安」といわれている。

白川さんも円高が批判されるが、当時原油の購入費が円高で抑えられていることから「円高のメリット」を誰も言及しないと不満を述べていた。

安倍前総理のアベノミクスによる「異次元の量的緩和」か、白川さんの「緩和な量的緩和」か。金融政策としてどちらに軍配が上がるか。見直そう!日銀の独立性を。

 

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