2022年2月19日土曜日

グテーレス国連事務総長の寄稿「グローバルな意思決定、手詰まり状態」に思う

 

地球温暖化問題、新型コロナパンデミック、南北格差そしてウクライナへのロシア進攻の危険など私たち人類が作る出した問題は私たちが解決すべき一蓮托生の運命にある。 

そして今、世界を脅かしている問題にロシアによるウクライナ進攻の危険だ。英仏独そして米は外交により何とか戦争になるのは避けようとしている。日本の岸田総理もプーチン大統領と電話会談した。 

こんなときに一番頼りにならなければならないのが国連の安全保障理事会だ。17日の国連安全保障理事会に米国はブリンケン国務長官、ロシアはセルゲイ・ベルシー人外務次官が出席し、米国がいろんな情報からロシアのウクライナ進攻のために準備は整えていると主張すればロシアは「緊張を高めるもので危険だと米国のシナリオに反論したようだ。ブリンケン長官は「戦争を始めるためにここへ来たのではない、戦争を避けるためだ」と主張する。 

こういうときに調停に乗り出すのが国連だが、何の働きかけ、動きも見当たらない。やっている会議の開催だけだ。決議文を出すのもすんなりは決まらない。 

そんなときのグテーレス国連事務総長の朝日新聞への寄稿文だ。誰が見れも国連が機能を果たしていないと思うので読んでみた。 

事務総長は「グローバルガバナンスは世界が団結すべきときに失敗している」と言い2つのことをあげている。一つ目は権限を持つ国際組織、国連安保理事会のように分断により無力化、非民主的だという。 

2つ目は、外交政策が国内政治の投影になりがちで、国益が世界的利益に勝っていることを挙げている。 

正論ではないか。国連など国際機関が機能不全で解体し、新しく構築しなおす必要がないか。国連から脱退する国はないが、米国のように負担金の納入を嫌がっている。日本だって負担金は大きいが、権限はない国なのだ。 

安全保障理事会が機能していない要因に米vs中ロの構図がある。しかも中ロは今注目されている国際紛争の当事国だ。批判決議が上がってもお互いの拒否していれば何の役にも立たない。「専制主義vs民主主義」の戦いだ。お互いに自国の安全保障を口実にする。 

アジさ、アフリカ諸国が国連に加盟するので新興国の議席が増える。だから国連組織で活動しようと思うと、こういったアフリカ勢へ働きかけ支持票を得なければならない。当然に見返りにカネが動く。経済支援にかこつけての表の獲得競争だ。 

国際機関での発言力を高めるには出資金を多く出し、トップの座を目指すことだ。中国の手法がこれだ。新型コロナでバンデミック対策が遅れたのは中国の意向を汲んでWHOトップのテロドスさんがエチオピアでの中国の経済支援に答えたためだ。 

地球温暖化対策では先進国vs新興国の戦いだ。新興国は先進国から経済支援の名にかけた金の分捕り合戦だ。これじゃ対策にならない。 

グローバルゼーションも見直し時期だ。理想的といわれたEUも英国が離脱した。同一経済圏としても自由の行き来も自国の政策が活かせないことで綻び始めた。 

その裏をかいて、中国は一帯一路構想でアジア、アフリカに経済支援と銘打って経済支援に乗り出した。債務返済が難しくなると港周辺の地域を99年間借用できることになるらしい。

一方、遅ればせながら米国と同盟国は「開かれたインド太平洋」構想を打つ上げ対抗している。

自国安全保障、領土問題では自国第一だ。中国、ロシアがそうだ。さらに多国間交渉から二国間交渉でアメリカの利益を守ろうとしたトランプ前大統領もいるが、バイデン大統領は多国間交渉に軸足を変えたが、米国内ではいまだ賛同者が多いという。 

グテレス事務総長は不公平、不平等、不信、人種主義、差別はあらゆる社会に暗い影を落とすが、我々は声を上げて火を消し止めるために行動する義務があると指摘する。

まず、中国やロシアが世界的利益のためでなく、国益を優先して行動する限り望めないことだ。

国連に変わる新しい組織の構築を考えるべきではないか。

 

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