今回の円安(126円台)は、本質的に日本経済の弱さをあらわしているのか、「市場の見えざる手」が働いているのか。新聞に載る対ドルレート変動率を見るとルーブル-9.8%に次日本円は-8.65%だ。
ところがルーブルは制裁前の水準に戻しているが、日本円は126円台に下落し、今後戻す可能性は低く、寧ろ130円まで下落と見ている。ロシアはウクライナ侵攻で世界中から制裁を受けているが、地下資源として天然ガスを持っており、制裁は続くが輸出は出来ているという。ロシア経済の強さだ。
今まで何か欧米で事があると日本円が買われ「円は安全資産」と見られていたが、今回は様子が変わる。市場が日本経済の質を重視するようになったのか。
成長率が低い、物価も上がらない、2%の安定達成まで量的緩和を継続、国地方合わせての借金は対GDP比200%を超える先進国一悪い状況だ。
金融政策も欧米に比べ遅れを取っている。欧米派インフレ回避のために量的緩和を縮小、利上げへ。米国の利上げは、金利差を招きドル買い、円売りで円安が進む。理由がはっきりしているのだから為替介入や金融政策に効果があるのか。
民主党政権前から日本は円高に苦しんでいた。75円と円高が進むと政府は為替介入を試みたが一瞬の効果はあっても長続きしない。そのうちに米国から介入を警戒する動きも出で「市場に任せる」動きになった。
民主党政権から自民党政権に移るとき、「市場にカネを流せば円安になる」とリフレ派経済の異次元の量的緩和政策採用で円安に動き、安倍総理(当時)は大きな信頼を得た。
100円台、110円台と進むが、コロナ禍、ウクライナ侵攻で124円、126円台に下落した。
金利差も大きく影響している。日銀の無作為に市場が反応しているのだ。
今回の円安も日銀・黒田総裁はプラス効果と言うが、商工会議所会頭はマイナス効果と言う。よく考えると大企業と中小企業との立場の違いだ。日銀は何時もプラス効果を主張する。何時だったか、メディアはマイナス効果ばかり主張していたときに黒田さんは「何故プラス効果」を言わないのかと不満だったことがある。
しかし消費者はどうか。
毎日スーパーに行っているが、「値上げ」のムードはない。値上げすれば客離れを心配し、出来るだけ何処かで吸収しているのか。こういうときは消費者が泣かされる。コストを反映させなければ限界があると思うが、イオン・岡田会長は「直ぐに値上げすること」に疑問を呈した。「自分の給料を下げてでも値段を下げる」と(朝日新聞2022.4.16)。
今後の円為替を市場はどう見るか。政府いや日銀の動向しだいか、注目だ。
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