12日の財政金融委員会で麻生財務相が2%物価目標に関して、「もう少し柔軟にやってもおかしくない」「少なくとも2%にいっていないからと言って、怒っている一般庶民がいるかと言うと一人もいないと思う」と発言したそうだが、その通りだろう。困っているのは「2%に拘る」安倍総理であり、忖度する黒田・日銀総裁だ。麻生さんが総理だったらどうなっているか。
「2年で2%」と華々しく打ち上げた黒田・日銀だが6年たっても物価上昇は0.9%程度、当てが外れても「2%達成」が大前提の安倍総理だ。だから緩和縮小、出口戦略、金融正常化に向けて欧米中央銀行に後れを取っている。
異次元の金融緩和策は当初市場に出回っている国債を日銀が年80兆円購入する策に出たが国債発行残高の4割にも達し今は30兆円程度、ETF購入で官製株高を演じたが株安で含み損の危険も出てきた。いつまで低金利政策を続けるのかわからないが銀行経営にも影響が出ている。
日銀は今の景気を「緩やかな回復」と評しているが世界経済は下降リスクだ。景気下振れがわかれば「緩和を加速する」と言う。どんな緩和策があるのか。
一方で、金融正常化に向け先行している欧米中央銀行も試練に立っている。
FRBは金利2.5%(?)で打ち止め、予定していた利上げも先送りした。世界経済の低迷が予測されているためだが、トランプ大統領の利上げ反対もあるだろう。今後の経済局面では再び緩和に向かうかもしれない。
ECBも予定していた利上げを先送りするという。昨年12月に量的緩和を終了したばかりだ。0%金利を2019年末まで継続、銀行にも低金利で金貸しをするらしい。これも物価を上げるためだという。
こう考えてくると日銀の「2%物価目標達成」が正しかったのかと思うが、日銀だってダラダラ緩和をやっていたら大変なことになる。日銀経営にも大きく影響するのだが、政府と一体だから倒産することはない安心感があるのか。
そこで2%物価目標に当初から疑問を持っていた麻生さんが総理だったらどうなっていたか。IMFの専務理事も「2%はグローバルスタンダードだが、各国の実情に合わせばこだわらない」と発言したことがある。「拘る」必要はないのだ。
財務相経験者だから安倍総理とは違った判断をしていたはずだ。2%物価目標未達でも緩和縮小し金融政策正常化に向け利上げを狙っていたのではないか。
消費税10%への増税をやっていただろう。今確実に税収増が期待できるのは消費増税しかない。税収増分は社会保障制度の維持に使うだろう。
どうして物価2%が必要なのか。アベノミクスによるトリクルダウンで経済の好循環を期待してのことだろうが、賃金が上がらなければ消費も伸びない。社会保障では弱者に負担がかかっている。
安倍総理は民主党政権を「悪夢」と表現したが、安倍政権での経済運営は当時の民主党政権と比べても劣るのだ。慌てて経済好転、支持率維持のために統計不正、計算の見直しをやりだした。
そんな体たらくの安倍政権をさらに継続すべく安倍4選を訴える動きが出てきた。安倍政権が伸びれば物価は上がるのか。
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