3.11東北地方太平洋沖地震および巨大津波の被害の教訓から「てんでんこ」が注目を浴びている。「一人一人がめいめいに自分の安全を確保し、他人を気使うあまり逃げるチャンスを失うな」と言うことらしい。
先人は大きな災害から身を守る術を後世に伝えているのだ。その教訓を生かすか生かさないかが生存の境目になるのだ。
当時の津波来襲時のテレビ映像を見ると、年配の女性が自分の力でひたすらに高台に向け坂道を上がっていく様子、生徒の集団避難だろう。上級生が下級生の手を引いて坂道を駆け上る様子を見るたびに涙が出そうになる。
年配の女性は親たちから「地震の後、津波が来るから高台へ避難せよ」と教えられ忠実に実行したのだ。
子どもたちはおそらく平素の防災教育を受けていたのだろう。しかしただ教育ばかりではだめだろう。先生が大声で「上級生は下級生と手をつなぎ、あっちの道を高台に向かえ」と指示しているはずだ。
先生の判断も重要なのだ。一度決められた高台のお寺に避難したが、「ここも危ない」と判断しもっと高い場所に子供たちを誘導し一人の犠牲者も出さなかった例もあるのだ。
逆に職務や住民のために活動していて命を絶った方々もおられる。
「津波が来ます。高台へ避難してください」と放送を続けた女性職員、見回りの消防団の方々、住民に避難をするよう声をかけて回っていた自治会の役員の人たち、近所の高齢者に付き添っていた住民の方々、そのために逃げるチャンスを見失って犠牲になった方々のご冥福を祈ります。
その後の検討会で「まず自分の安全を」と意思統一されたようだが、咄嗟の判断は難しい。
大船渡小学校で268人の児童を無事に高台へ避難させた当時の校長先生の話が、磯田道史さんの「天災から日本史を読み直す」に記載されている。参考になる。
これによると、注意すべきことは ①避難に躊躇は禁物 ②一人一人めいめいに安全な場所に逃げる ③他の人の安全を気にして逃げるのをやめてはいけないのだ。
このような巨大な津波を経験していないので「まだ大したことはないだろう」と思いがちだ。「今までもオオカミ少年のようなこともあった」と疑心暗鬼で海辺に様子見に行く人もいただろう。避難は大変なことだが躊躇せず「まず安全なところに逃げる」ことだ。
先の年配の女性のように一人一人が行動しなければならない。そのためには先人の教えを良く知ること。平成からどこが避難場所か決めておくことだろう。しかし今回の巨大な津波では避難場所と指定された場所も危険だったのだ。でもそこに行くと新しい情報が入り、「もっと高い場所へ」と決断することになるのだ。
「他の人のことは気にするな」は」は苦情のように思えるが一人でも多くの人が助かるにはこれしかないのだ。
お年寄りがよく言う「私のことは気にせずあんたたちこそ逃げろ」と。弱者を助けることは大事なことだが、津波被害では考えさせられる。
それからこんなことも言っておられた。「避難路を選ぶな」と。裏山へ逃げるのはグランドのフェンスが邪魔になる。大回りして避難していては津波が追っかけてくる。少々の障害物は気にするなと言うことだ。
自治会の役員の方々、消防団の方々もまず自分の安全を確保することだ。「津波が来るから高台へ逃げろ」と大声で叫びながら自分も逃げることだろう。
迫りくる首都直下地震では大きな被害が出ることはわかっている。場所によっては津波対策が必要だろう。
私も一度、防災の日に孫と一緒に避難先である多摩川河川敷への道、場所を確認したことがある。問題なのは広報では「自治会、町内会」ごとに集合することになっているがあの広大は河川敷のどこが自分たちの集合場所かわからない。2年前に自治会の防災訓練に参加したことがあるが、他の自治会の役員もそのことをしてきしていた。
船着き場なども用意され緊急時には物資の輸送に使うのだろう。下の方に行くと避難場所が変更になって、それを知らせる標識ができていた。おそらく津波が逆流し河川敷が水没する危険が出たためだろう。検討はされているのだ。
私もマンションに暮らしているが問題もある。
セキュリテイーも万全(?)で停電時はエントランスの入り口は閉になる。キーがなければマンション内に入れないのだが、キーを持たずに外出している住民がいる。急いで帰ってきてもキーがなければ入れない。携帯で家族に連絡しようにも非常時の場合は使えない場合が多い。
自転車置き場が狭いために自分の玄関先に数台置いているものがいる。地震の揺れで倒れてドアーを開くことができなかったらどうするのか。逃げ場もなくなる。
家族の安全確認をすることになるが地震後家を空けるときはドアーにタオルを掛けて周りの人に「安全です」と伝える運動を自治会はやっているが防災訓練では実施者が少ない。
30年以内のM7クラスの地震の発生率が70%と言われているが、役所の担当者は頑張っているのだろうが、住民には切迫感がない。津波が押し寄せてくる場所(海抜17m)ではないが、もしそうなら全員犠牲になる雰囲気だ。
太平洋沿いで高い津波が来襲する地域は、この教訓を生かすべきだ。
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