検察の捜査は法による罪状成立要件に合うかどうかも大事だろうが市民の批判の目にも耐える捜査をしてほしいものだ。捜査不十分で証拠が不足していれば立件は難しい。それでは国民は許さないのだ。
森友学園の国有地格安払い下げ、公文書改ざん容疑で告発された佐川氏ら10人を大阪検察審査会は「不起訴不当」の議決をし再度大阪地検が捜査することになった。今回の事件では大阪地検特捜部の「不起訴」処分に多くの専門家、国民が批判していた。
おまけに「不起訴処分」を発表した特捜部長は函館地検検事正にご栄転だ。官邸や内閣人事局の御褒美か。
ところで検察審査会の議決は「不起訴不当」であって「起訴相当」ではなかった。なぜか。この弱い議決に大阪地検は安堵しているらしいが、検察審査会のアドバイサーである弁護人の意向が働いたのか。
そこで30日の朝刊で「森友問題 検察審の議決(要旨)」を読んでみた。
大幅値引き売却―背任罪について
見積もりにある工事の必要性、他業者による合い見積もりなど捜査をつくせという。管理官が幹部職員に詳細を報告し判断を仰いでいないのはおかしい。売り払いをとめることができると思っていたのではないか。また大阪航空局に埋め立て物の撤去費の積算金の上積みするように指示している。さらに政治家による働きかけも不明のままだ。
決裁文書改ざん、有印公文書変造、同行使罪について
決裁文書の作成権限があいまい、いったん作成した決裁文書を修正するには再度決裁が必要ではないか。大幅な削減は内容が変わるのだから変造に当たらないか。
さらに佐川さんは実質的に指揮命令権を有するが「指示していない」とは信用できない。総務課長、国有財産審理室長にも重大な責任がある。作業を進めるに深い関与があったのではないか。
公文書毀棄罪について
事案終了、学園側との応接記録の破棄は公文書毀棄罪に該当する。売却契約が終了しても事案の終了とはいえない。公文書保管は国民の知る権利、残っている以上は公文書に該当する。
佐川局長の「支持していない」は信用できない。万一指示していないとしても責任は重大だ。総務課長、審理室長も深く関与していることが認められる。職員は「命令に逆らえない」として責任は問えない。
以上が審査会議決の要旨から要点をピックアップした。
改めて考えると「不起訴不当」の議決が妥当で「起訴相当」まで持っていくのはチョッと無理かとも考えられる。
犯罪を立件するためには本人に「意思があったかどうか」が重要だが、悪事を働くのに「素直に認める」役人はいない。
役人が仕事をするときは「勝手な判断はしない」はずだ。必ず上司に報告、指示を仰ぐはずだ。しかし、上司に報告することは組織の幹部が関与していることになり今回で言うと財務省理財局の関与だ。森友事案は「総理案件」ともなると末端の担当者の独断で逃げるしかないのではないか。
工事見積もり、埋設廃棄物の量の推定となると広い場所だから数箇所のボーリング(少なくとも5箇所)で廃棄物の混入状態をチェックすべきだ。それがやられていない。
文書改ざん、公文書の変造は民主政治の根幹を揺るがす大事件だ。公文書保管意力を入れた福田元総理の怒り心頭は当然だ。
そして今回の問題のポイントは「安倍総理夫妻の関与」だ。それに言及されていない。国民の80%は関与があったと疑っている。説明不十分なのだ。
恐らく表向きは指揮権発動はなかっただろうが、ことがことだけに総理側近連中が関係者に「あれはどうなったか」と探りを入れれば地検は忖度するだろう。
「起訴相当」の議決できなかったということはアドバイサーの弁護人の意向が働いていたためではないか。
何かしら総理夫妻が関与する大疑惑事件になると思えるが、なんとなく「やる気」の起こらない事件にも思える。
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