2019年4月30日火曜日

今日の新聞を読んで(243):市場デザインを忘れた規制緩和を過大評価していないか


規制改革を声高に言うが規制を減らすのではなく市場(業界)をどう育てていくかというデザイン構築をおろそかにしていないか。安倍政権に限らず既得権益者のもつ強固な規制岩盤に風穴を開けようとしているが、逆に新たな権益者を作る規制改革が横行していないか。

大事なのは規制数を減らすのではなく、市場(業界)をどう育てていくか。グランドデザインの大切さをカリフォルニア大ステイイーブン・ボーゲル教授が朝日新聞2019.4.30「私の視点「規制緩和の罠」」で指摘している。同感だ。

身近な事例ではタクシー業への参入をしやすくした規制改革が実施されたが、いろいろな弊害が出て来て再び規制強化の方針に代わった。問題は「タクシー業界」をどう改革すれば「業界も利益」になり「国民の利がかなえられるか」ということが十分に検討されていなかったのだ。

ボーゲル教授は、「生産性向上」という点から考えると規制緩和との相関はなかったと言うし、自由市場への障壁を取り除く規制緩和も「規制が増えるか減るか」ではなく、政策目標を達成できるかどうかだと説く。

競争を促進するなら規制を減らすだけでなく、競争を促進するための規制が必要なのだともいう。実際に免許や許認可の規制数は0210621件だったのが17年には15475件に増え、規制を減らすことになっていないのだ。

逆に市場競争の推進には規制が必要なことがわかる。

タクシー業界への参入を自由化した。規制を減らし参入をしやすくするはずだった。確かに業者数は増えたが、過当競争のために運転手の収入は減り生活が苦しくなった。サービスも低下、いろいろあった末に再び規制を強化した。

当時、小泉政権(?)だったと思うが政府は「失業率を低く抑えることが出来た」と評価したものだ。タクシー業界のグランドデザインが描かれていなかった。

最近ではモリカケ問題だ。

森友問題では、小学校開設に異業種の幼稚園経営者が参入しようとした。籠池さんはなかなか進まない申請手続きに安倍総理夫妻と懇意で事業に協力されていることを説明、夫人を挟んだスリーショット写真を役所に見せたら、トントン拍子に計画が進んだ。官僚が「安倍総理事案」として忖度したのだ。

いろんなことがあって、国有地の格安払い下げになって国会で追及された。記録資料は改ざん、破棄され民主政治の根幹を揺るがすことになった。計画はとん挫し、土地は国に買い戻しされた。その後のテレビ映像を見ると小学校建設は完成をまじかに止まったままだ。

一方、獣医学部新設では加計学園が50年ぶりに新獣医学部新設を申請した。獣医学会、獣医業界の反対もあったが政府は規制緩和では遅々として進まないと判断、戦略特区構想で強引に進め、新獣医学部は校舎も完成、新入生を迎え入れることが出来た。

しかし、設備、教員など不十分なことが指摘されている。こんなことで優秀な獣医を育てることが出来るかということなのだ。

ここでも愛媛県と文科省、農水省でいろんな問題が指摘されている。

いずれのプロジェクトも目指すグランドデザインがかけているのだ。とりあえず作れば実績として残るということなのだろうが、特記すべきはいずれも安倍総理の友人に便宜を図ったことだ。

公平、公明は行政の在り方が問題になっている。

こういった規制改革は折角、既得権益者を打ち破っても新たな権益者は蔓延り、自民党支持者になるのだ。

2019年4月29日月曜日

新しい元号「令和」始まる:あまりにも見えすぎた安倍総理の「美しい国づくり」の一環か


新しい元号も決まり後2日で新時代が始まる。NHKの世論調査でも大いに好感、ある程度好感が81%を占めるが、これが決まる過程で安倍総理の意向が大きく影響しているのではないか。有識者だって好感を示したがその程度の人選だったのだ。

安倍総理、自民党政権は「美しい国づくり」に執着していた。2009年には「美しい国づくり」プロジェクトが始まり経済財政諮問会議も2009年基本方針に「美しい国づくり」へのシナリオを作成した。そして10年後のいま、年号だけ早く「美しい国づくり」を達成したのだ。

安倍総理の著書
新聞報道では当初5つの案があったが、安倍総理の意向で新しく一つを加えたという。その案が左端に置かれていたという。

新年号発表時、英訳、解説がついていなかったので海外メデイアは令和を「order and peace(命令と平和)」と訳した。安倍政権の国粋主義を象徴している」と海外メデイアは解説したために安倍官邸はカンカンに怒こったという。

それから出てきたのが「beautiful and harmony(美しい調和)」が正式な訳語になった。安倍総理の主張する「美しい日本」に附合しすぎないか。

安倍内閣が国民とともに目指すと宣言した国家像が「美しい日本」なのだ。

安倍総理も「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が育つ・・一人一人の日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることが出来る、そうした日本でありたい」と期待を滲ませた。安倍総理にとっては最高に叶った年号なのだ。

発案者を公表しないと言っていたがいつのまにか万葉学者の中西さんが出て来て令和の解説をして見せた。令和に込める「平和への祈り」、令は形が整って美しい、麗しい和の精神だという。出典も麗しい風景をうたったのだ。

安倍総理は出典を中国の漢詩ではなく日本の古典にもこだわった。しかし中国は「万葉集は古代中国の詩の表現、様式、テーまから影響を受けている」と主張し保守的な安倍政権の下での日本政治に懸念を示した。当然の動きだろう。

この新年号が始まるのを受けて、平成は安倍一強政治で自衛隊の問題、国家安全保障などで超保守的政治は「戦争への道」を推進してきた。多くの国民はこれからどうなるのか懸念が大きいはずだ。

安倍総理はそういうことが分かっているから国民の懸念を払しょくするためにも「令和」でなければいけなかったのだろう。

今のところ安倍政治に「美しく調和のある」政治課題は見当たらない。


中国は「一帯一路」で世界制覇できるか

朝日新聞 2019.4.27

トランプ大統領が「保護主義」で世界の協調路線を崩す時に、中国は「一帯一路」政策で世界を制覇しようとしているのではないか。2015年には60か国だった「一帯一路」参加国が今、126か国になり今回、2回目の国際フォーラムが開催された。

共産圏、アフリカ、中東、非共産圏そしてG7の一角まで食い込んできた。国内財政危機で悩む諸国が経済成長をめざしインフラ整備をする財政支援を中国が担っているのだ。その「一帯一路」構想のプロジェクト請負契約は2000件以上、請負残高は13兆円と言われる。

中国だってGDP1200兆円の世界第2位の経済大国であるが借金は対GDP比255%と言われている。どこに資金があるのか。

シルクロード基金の他に参加国に資金拠出を要請している。融資金利を下げるために国際開発金融機関や参加国の金融機関に参加を要請、悪評だった「ひもつき融資」も制限するという。

さらに「債務の罠」とか不透明な事業計画には、国際ルールや標準を幅広くいけ入れると言う。逆に言うと今までは中国の意向に沿った高利率での資金提供で、債務返済ができないときは関連港湾周辺の土地を中国に99年間運営権を譲るというか、奪われた結果も出ていた。

今回参加企業は約7兆円の事業を契約したというから各国の要望は大きいのだ。それだけ経済成長の支援を求めているのだが、港湾施設が整備されても船は横図家せず、中国の艦船が停泊する光景が見られるらしい。

要は中国が世界制覇のために要所を自国の軍港化に仕立てているのだ。

慌てたトランプ大統領は「インド太平洋インフラ構想」を建て、約7兆円を出資するという。日本にも協力を要請しているが、安倍政権は「一帯一路」にも理解を示し今回は二階さんを代表に送り込んだ。

「事業の透明化」が日本参加の条件らしいが、日本企業は東南アジアなどのインフラ整備事業は欲しいだろう。今まで日本企業が丁寧な事業協力をしていたが、ある時突然に事業主体が中国に寝返って苦い経験もしている。資金の貸し付けで中国が優位な条件を出したらしい。ところが工事は途中で頓挫するケースもあるらしい。

最近習主席が欧州を訪問した。G7メンバーのイタリアが参加することになりEU,フランス、ドイツも驚く。EUの中心国フランスのマクロン大統領は警戒感を強める。マクロン大統領はEU改革を訴えている。圏内の国の財政支援の在り方など見直さないと、困った国がすべて中国を頼るようになりかねない。

トランプ大統領も「保護主義」「アメリカNO1」「多国間交渉から2国間交渉」など自説を強引に押し通し今までアメリカが築いてきた協調路線を崩すことを続けると中国の思うつぼだ。世界地図が中国寄りの国で埋め尽くされることにもなりかねない。

しかし、中国が世界制覇、世界のリーダー国になるためには現政治体制ではダメだろう。自由貿易を訴えるのであれば政治も自由主義でなければ付いてくる国も減ってくるのではないか。

2019年4月28日日曜日

今日の新聞を読んで(242):安倍ートランプの友好関係の源泉? 高額兵器購入?

安倍総理ートランプ大統領の友好関係の源泉は何かと考えると多額な高額兵器購入を条件に成り立っているだけの関係ではないか。何時も得意な外交というときは、トランプ大統領との友好関係が前提になる。何を思っているのかトランプ大統領もゴルフや夫人の誕生会で特別の優遇を醸し出す。日米関係の親密さを世界にアピールしているのだ。

国民は大したものだ、他人にはまねできないと感心する。しかし、実際には会談内容になると当てが外れる。

記者会見でも、後の国会での野党追及でも一生懸命に繕う発言をする。追及が続くと外交案件なので詳細は言えないと隠そうとするが、そうはいかない。トランプ大統領が漏らすのだ。

安倍総理は国益を害する会談内容でもトランプ大統領にとっては国益を守り、自らの選挙用に安倍総理のことなど考えていないのだ。

会うときは必ずお願い事をする。いつも米朝会談では拉致問題で口添えを頼む。米朝会談が物別れに終わっても拉致問題には言及したそうだ。「シンゾウ 言っといたよ」と電話連絡が来ると安倍総理は記者会見で披露するがその内容、言ったかどうかは不明のままだ。

「次は私が直接金委員長と会談する」が口癖だが北は相手にしない。北のメデイアは「すでに解決済み」と会談など考えられないというのだ。

それでもお土産になる戦闘機やミサイルの高額兵器の購入だけは確実に実績を作る。後年度負担の残高は18年度5兆768億円、19年度は5兆3372億円で1年間の防衛費に該当する。

19年度はF35A(6機916億円)、E2D(2機544億円)、イージスアジョア(2基2352億円)、F35Aはさらに105機購入が閣議決定しているし、すでに決まっている42機を加えると147機になる。

F35Bステルス42機は「いずも」の空母化計画なのだ。

対日貿易赤字を兵器売り込みで対応しようとトランプ大統領は考えているようだが新聞報道ではF35は部品不足で3割が飛べない状況だしF35Aステルスは青森沖で墜落した。原因はわからないまま訓練を再開しているらしい。

アメリカではゴルフ、夫人の誕生会出席でもてなされたが、トランプ大統領の機嫌を損ねないように「抱き着き外交」を繰り返している。

だから5月末までの日米貿易交渉の合意まで飛び出したが、これには安倍さんも首をかしげて断ったとか。

北問題としては拉致問題というと日本特有の問題と考えられるが、本来なら人権問題としてとらえるべきではないか。そうすると北の国内問題にもなるしアメリカの問題にもなるし世界的課題になるのだ。

またトランプ大統領の「保護主義」「多国間交渉より2国間交渉」の外交スタンスは、今まで米国が築いた世界的協調路線を崩す結果になっている。

国際会議ごとにアメリカの保護主義に振り回されている。先進国の不調和に付け込んでアフリカ、非共産圏(ギリシャ)そしてG7(イタリア)まで中国が「一帯一路」構想でくさびを打ち込んできた。国内の財政危機を乗り越えようと中国に支援を求めたのだ。

中国がどのくらいの資金をつぎ込んでいるかわからないが、請負残高は13兆円、2000件以上のプロジェクトだという。中国のGDPは1200兆円、借金は対GDP比255%と言われているので財政は厳しいのではないか。

だから今回の「一帯一路」の会議では参加国銀行の拠出を促しているし、評判が悪かった「債務の罠」には「国際ルールや標準を幅広く受け入れることを支持する」と習主席は言うし、参加企業が役7兆円の協力事業に合意したともいう。

一方慌てたトランプ大統領はインド太平洋インフラ整備構想6.7兆円を打ち出し、日本にも参加を要求した。安倍総理は一帯一路に理解を示す条件として「事業の透明性と公平性」を訴えた。

安倍総理の当面のトランプ大統領対策は大阪でのG20首脳会議を無事に終わらせることだろう。

そのためにはトランプ大統領の「保護主義」のトーンを落とさせ、自由貿易を確保することだ。そして共同会見、合意文書にサインすることだ。そのためにはご機嫌をとるために新天皇との初会見、相撲での祝杯があるが、ほかに平和的なイベントがあるか。オバマさんの時は広島訪問に同行など最大限にアメリカ大統領を利用した。

今後世界はどう動くか。アメリカ大統領選でトランプ大統領が再選されるかどうかにかかっていないか。再選後に世界の動きがはっきりしてくるのではないか。





「京大変人講座」は一番役立つ講座(3):皆と同じことをやっていては存在価値がない、「ナマコ理論」で


皆と同じことをやっていては存在価値がない。酒井先生曰「ナマコ理論」で行くしかない。自ら変人と言われこの「京大変人講座」を開講した地球物理学者の酒井先生は、本講座で「ぼちぼちが一番いい」「未来などわかろうはずがない」「なるようになるんだ」と最強の生存戦略を説いた。

そして先生が「上等変人」とした数学者の森先生の「軽やかに生きる金言」を紹介している。

それによると、「20年先のことはわからない。体の物質は入れ替わっている。だから20年先は赤の他人だ」という。今はパットしないけれど20年先は別人のように変わっている可能性があるというのか。でも細胞にはDNAがあり、生まれたときからに遺伝子情報を伝えている。だから赤の他人とは言えないがそれを言うのが森先生の「変人」振りか。

他にも「一番気楽で一番安全なのはビリから2番目という。でも前の人が脱落していくと自分が一番前になる。その時は覚悟するんだな」ともいう。森先生は世界でもトップクラスの数学者だ。「心ならずもトップになったと覚悟していたのか」。偉い学者のいうことは謙遜もあるだろうが凡人にはまねができない。

その講座の終わりに「これからも京大は変人製造所として」世界を変えていくという。

変人であることは厳しいこともあるが、そのためには「人と同じことをやっているようではつまらない」のだ。

今は、みんなと仲良く足並みをそろえて、皆で想定する結果を出すという価値観が大きくなっていると指摘する。

先生はコンプライアンスやリスクマネージメントなど叫ぶ価値観に真っ向から異を唱える本だという。でも今批判されている自動車産業の検査不正や建設会社の施工不良、日産に見る経営者不正などを認めたわけではないだろう。

変人という存在は大切なのを「ナマコ理論」で説明する。

それによると、10人の農家があって自分たちで10人分の米を作っていたが、作業効率が上がり5人で10人分の米を作ることが出来るようになるとコメが余ってくる。そこで3人あるいは5人が海に出て漁師になりナマコを取って農家に高く売ればいい。それで米を買うこともできるというのだ。

米つくりの多数派に対してナマコをとる漁師は少数派だ。先生は「あえてナマコを取りに行くリスクを取りたい」という。

私はナマコが大好きだが、あのグロテスクなかっこうしたナマコを最初に食べようとしたのは誰だ。食中毒を起こしたり死んだりするリスクをとって食材としての地位を獲得した。フグだってそうだろう。そういうリスクを取りながら道を開いていくのは変人なのだ。凡人は危険でできない。ビリから2番目が安全なのだ。

今、「人任せ」「無関心」が広がっている。「権威者」「専門家」に任せておけば安心だというのか。

ところが専門家のやることはおかしい。「教科書を疑え」「専門家や権威者の言うことを信じるな」とはノーベル賞受賞者の口癖ではないか。周りの研究者には変人扱いされながらも強い意志をもって研究を続け定説を覆したり貴重な研究結果を世に問う研究者が多い。

凡人の世界でも「専門家任せ」で無関心な例がある。私はマンションの理事会の仕事をやっていたが、管理会社に任せっきりだった。マンション管理の適正化がうたわれているので改善を提案するとほかの理事連中は「そんなことまでしなくても」と思うのだろう。「管理会社に任せているからいいんだ」と思うのだろう。

改善提案すると反対したり、無言だ。総会で提案すると「○○(管理会社)のどこが悪いんですか」という。正論を言っても「変人扱い」なのだ。専門家、専門会社に弱い。

理解されないことに頭にくるが、今も異常を見つけてマンションの設計施工の問題点を洗い出している。大変だが自分の資産を守るためだ。

2019年4月27日土曜日

朝日新聞政治意識調査から:安倍総理は信頼できないが政権交代より「安定」を望むか

4月27日、朝日新聞政治意識世論調査から、各メデイアの結果と同じで安倍は信頼できない(60%)が、今望むのは政権交代ではなく(53%)、安定政権を期待する(60%)結果だ。

世界経済の下降リスク、中国経済の下降下げ止まり(?)、欧州内政の混乱、国内では格差拡大で賃金上がらず、購買も控えデフレマインドは続く。財政支出か財政再建かで消費税増税の是非が問われている。

今の政治のリーダーは安倍総理であるが、その言葉には60%の人が信頼を置いていない。「政治家は言葉が大事」というが「焦点ぼかし」「繕い」「大風呂敷」の安倍総理こそ責任を追及されるべきだが野党は攻めあぐねる。その根源は安倍総理の発言であって何回国会で質問しても真意が不明、おまけに国会出席日数が多すぎると言い出す。

だから安倍総理への期待も57%があまり/まったく期待しないのだ。

だからと言って政権交代を望むかというと53%は望まない。政権交代が繰り返すのを期待しないのだ。

では、細川連合政権、民主党政権は何だったのか。細川政権はさっそうと現れた細川前熊本県知事の「日本新党」に新風を感じ期待したが、唐突な国民福祉税、細川さん自身にかかった政治資金問題で早期に辞任した。あの時国民福祉税が採用されたら今どうなっていたか。

民主党政権も長い自民党政権での腐敗、年金問題で「政権交代してみませんか」のキャッチフレーズに乗って民主党政権になった。税源の見えない大風呂敷の政策、「コンクリートから人へ」の政策転換、事業仕分けは国民に政策の是非を問うことになったが、権力の二重構造、財源不足で折角の政策も日の目を見なかった。

いつの間にか政局は「いつ解散総選挙か」に移って野党自民党は政権奪取しか頭になかったのだ。

運悪く東電・福島第一原発の事故対策はどの政権、だれがやってもうまくは運ばない超難問政策だった。当時の菅総理が自民党総裁の谷垣さんに「副総理格、復興担当相」での入閣を打診したが自民党は拒否した。その理由が「民主党政権に手を貸すことはない」だった。そんな自民党政権だからインフラの復興は進むが人間の復興は進んでいない。

こういった民主党政権でのいろんなことがあって、安倍政権を「他の政権に比べてマシ」と判断される根拠になり、選挙のたびに旧民進党の勢力まで持っていけない野党の悲劇が続く。

政党支持率も自民43%、立憲民主17%だ。野党第一党がこの調子では参院選、衆院選には勝てないと気が付いた枝野さんは各野党と共闘などの協議に入ったと新聞は伝える。

ということは、与野党間での政権交代でなく、政党支持率の高い自民党内での政権交代(いわゆる政権のたらいまわし」しかないのか。

安倍政権に代わるリーダーは誰なのか。菅さんが「令和」を紹介したため知名度が上がり突如ポスト安倍に躍り出た。岸田さん、石破さんはどうなるか。野田さん、河野さん、加藤さんらは論外か。

政権与党もごたごたしてきた。公明党は憲法改正で自民に距離を置いている。公明の代わりに憲法改正の必要性を説く維新の会が与党に加わるという話も出てきた。

安倍総理の任期も2021年まで、国政、外交で点数の稼げない時はレームダックしかない。G20会談に参加するトランプ大統領をどう利用しようとしているのだろうか。そのトランプ大統領もロシア疑惑ではかなり黒に近い報告書が出た。これから下院でいろんなことがあばかれるだろう。

モリカケ問題での安倍総理と並んで問題を抱えた日米両首脳だ。世界にどう評価されているのか。


2019年4月26日金曜日

遠のく「2%物価目標」:2%に拘るあまり日銀は自分の首を絞めていないか


安定的な「2%物価目標」にこだわり、日銀は自らの首を絞めている状況にないか。日本経済は「緩やかな回復基調」というが2%物価目標は遠く低金利政策を当分の間継続としていたが今回は「2020年春ごろ」まで継続というが、2021年度の物価見通しは1.6%、ではいつまで異次元の金融緩和を続けるのか。

2021年は特に政変らしいものがなければ安倍総理の任期が来る。安倍総理がリーダーシップを取りどうするか決めるのか。

日銀法(234条)では日銀は通貨、金融の調整に自主性を持ち、政府と意思疎通し物価を安定させ国民経済に資することとなっている。

ところが各国中央銀行が独自性を持っているかというと疑問だ。アメリカでもトランプ大統領がFRBの利上げに猛反対し、FRBは金利を据え置いた。

日本はどうか。白川元総裁の「緩やかな金融緩和」に安倍総理は我慢できず日銀総裁を更迭してまで「異次元の金融緩和」を強行し、替わった黒田総裁が「2年で2%」を打ち出したが先送りの連続だ。

白川さんは「とりあえず1%をめざし、次の目標を考える」と主張したが政権は認めなかった。

何故、2%でなければならないのか、1%、1.5%ではダメなのか。

以前国会で民進党の前原さんが、安倍総理に「何故2%なのか」と質問したとき、安倍総理は「2,3,4%といろんな数値を専門家は言っているが、一番達成の可能性がある2%にした」と答えた。前原さんは「その程度の理由か」と呆れ返り「今後も追及する」と締めたが、その後2%について議論したのを聞いたことがない。

その後、国民民主党の議員が「緩和縮小、出口戦略」について安倍総理に質問した時、安倍総理は「私の任期中(2021年)に方向性を出したい」と言いながら「黒田総裁に任せている」と責任逃れの感じだ。

その2021年の物価予想は前述の1.6%なのだ。安倍政権にとってもアベノミクスの是非が問われるのだ。

デフレ脱却→インフレ→物価上昇→経済の好循環のパターンも崩れる。消費者は購買を控える。価格は下がる。給料は上がらない。いつも言われていることだ。

企業のもうけを家計に再分配する。そのために税制の抜本的見直しが必要だ。法人税下げ、法人、富裕層への優遇措置など広く見直すべきではないか。それは有権者が行動すべきだ。一時政権交代で民主党が政権に着いたとき「コンクリートから人へ」、事業仕分けなどチャンスもあったが大風呂敷は信頼を失い、旧民進党の不調が続いている。

一方、欧米の先進国の中央銀行と日銀のこれからの世界経済下降のリスクに対する対応が違っている。欧米中銀は利上げを控え、場合によっては緩和の方向も出てくるという。しかし、日銀には選択肢が少ない。今でも副作用が目立ってきた。国債市場、株式市場、銀行経営に大きな影響が出てくるのだ。

日銀はいつも「緩和策の継続」で市場の安心感を誘っているがいつまで通用するか。

関連記事
2019.4.17掲載
「量的緩和」の検証しない日銀:黒田総裁の本音は「効果なし」か
yamotojapan.blogspot.com/2019/04/blog-post_58.html

2019.4.15掲載
中央銀行の独立性:金融政策の信頼性の確保のため、FRB?日銀?
yamotojapan.blogspot.com/2019/04/blog-post_87.html


2019.4.5掲載
2%物価への日銀の手詰まり金融政策:「物価上昇」→「景気回復」ではなく、その逆では
yamotojapan.blogspot.com/2019/04/blog-post_81.html


ゴーン被告の特別背任(10):東京地裁の「苦し紛れ」の保釈で一区切りか

ゴーン被告の一連の「経営者不正」の起訴は、東京地裁の「苦し紛れ」の保釈で一区切りしたが、後味の悪い結果に終わったのではないか。度重なる弁護団による保釈請求、海外メデイアに向けての長期拘留の批判で「人質司法」が明るみになった。

最高裁への特別抗告までして弁護団が闘ったが、そこまでして「無罪請負」「保釈のエキスパート」の名声がほしかったのか。

検察は「証拠隠滅」「関係者との口裏合わせ」など公判維持に支障をきたす恐れがあり保釈に反発した。

しかし、地裁は「ゴーン被告は証拠隠滅を行うと疑う理由はある」としながら「公判の準備」などを理由に保釈を決定した。

問題は「関係者との接触禁止」をどう守らせるかだ。オマーンルートは中東の知人、企業を通じて夫人や息子の会社に私的流用された疑いがあるため夫人は関係者になり接触ができないのだ。

では保釈されたらどうなるのか。15項目の条件が弁護側から提出されているというが、同居はできず別居になるのか。さらに面会、連絡はあらかじめ裁判所の許可が必要と言う。そのうちに人権問題として騒がれるのではないか。

だったら拘置所にいるのと同じではないか。相当自由も束縛される。それが公判が始まるまで長いときは1年も続くのか。

今回の保釈は検察が言うように「自己矛盾」と批判されても仕方がない。地裁は強力弁護団の前に「苦し紛れの判断」をしたことになる。一方検察も司法取引しての捜査だったので相当数の証拠物件を難なく日産から受け取っているのではないか。

保釈闘争に明け暮れた「後味の悪い」事案だった。


25日のロ朝会談は何だったのか:イベント、政治ショーから見た米朝会談との差

25日のプーチン大統領と金委員長との露朝会談は何だったのか。イベント、政治ショー華々しかったハノイでの米朝会談に比べて低調さが目立った。もちろん表面的な対応ではなく会談の中身が重要だが、その中身も低調ではないか。

金委員長がプーチン大統領に多くは期待していない表れではなかったか。共同声明、合意文書のサインもなかったことを考えれば中身がなかったことになる。

新聞報道では、金委員長は北の非核化、朝鮮半島情勢の共同管理を訴えた。米への段階的制裁解除求めることではロシアも同調し米や中国に働きかけるらしい。自分の考えを米に伝えてほしいというのだろう。

でも第3回目の米朝会談を期待しているようだが、「米国が譲歩すること」が条件ではどうだろうか。

プーチン大統領も朝鮮半島問題で外交的解決に取り組むという。非核化にも積極的に取り組むらしい。要は将来の主導権、権益を守りたいだけだ。

しかし、あの6か国協議はどうなったのか。非核化で北が態度を硬化させたことで進んでいない。

米国とは直接会談を持っているが、最近今まで交渉の相手だった閣僚の交代を言い出す荒手に出た。中国とは親密な関係、強力な後ろ盾の立場だが米国とは米中貿易摩擦の解決に向け米国に気を使っている。制裁解除での支援がどうなるか。韓国とは文大統領はキーパーソンになることが出来ない。あまりにも北寄りの姿勢は米国から批判されている。日本とは一向に日朝会談の兆しも見えない。北メデイアは日本批判を繰り返す。

ロシアは、世界で孤立化し、国内経済も不振だ。自ら経済支援などできないだろう。結局は北が主張する「段階的経済制裁解除」を中国、米国、国連で働きかけることしかできないのではないか。


2019年4月25日木曜日

ゴーン被告の特別背任(9):無実の主張、巧妙な手口、経済事件、そして保釈闘争か


自らの報酬を少なく見せる金融商品取引法違反、そして日産の資金を私物化し流用した会社法での特別背任事件そして経産省も絡む経済事件は数々の問題を提起しながらオマーンルートでの5.5億円の流用での追起訴を受け、一区切りするらしい。

追起訴後保釈請求され25日、5億円の保証金を振り込んで認められたが、検察が準抗告するらしい。保釈請求時ゴーン被告は「保釈条件を守っている。体調がすぐれない」と訴えたと新聞は報道する。5億円を即振り込むなど驚きだ。

これでゴーン被告に課せられた「典型的な経営者不正」事件捜査も5か月で終わり捜査体制は縮小、後は公判前手続きに進むという。

今回のゴーン日産前会長の捜査、拘留過程でいろんな問題が明らかになった。それが海外のメデイアまで動かしたのだ。

まず、「司法取引」、半年前に制度化された。それを利用してゴーン被告の不正行為に関連する資料を検察に提出した。検察は家宅捜索しただろうが日産から必要な証拠を難なく手に入れたはずだ。

それでも事件を立証するため身柄拘束して取り調べを続けた。「推定無罪」の欧米から長期の拘留に批判がわいた。日本の司法の時代遅れが明らかにされた。被疑者の権利をないがしろにすると批判されたが、裁判所が拘留の是非を審査するのだから人権蹂躙の批判は当たらないが、「無罪」を主張している限り拘束されるのは無理かもしれない。

ゴーン被告が日産の「陰謀」「策略」だと無実を訴えている背景に、ルノーと日産の間で経営統合の話が持ち上がり日産の現経営陣らが日産の主体性がなくなると経営統合に反対していることだ。

その背後に経営統合を潰そうとする経産省の意向もあるし、反対にルノー側にはフランス政府の意向が働く。日仏経済事件になってきたのだ。

それを裏付けるかのように今、フランスを訪問している安倍総理がマクロン大統領との会談で、この問題に触れ「相互に納得のいく解決を」と訴えたらしい。

疑惑内容はゴーン被告の巧妙な手口が垣間見られるようだ。特に日産の多額の資金を中東日産を経由してサウジアラビア、オマーンの知人の会社を通じ最終的にはその一部が私的流用された。マネーロンダリングはそレだけの知識がないとやれない。

臨時株主総会で現経営陣の責任が追及されたとき、「少人数で計画し、手口が巧妙で見破られなかった」という発言は本心だろう。そして絶対的権力を持ったゴーン会長には逆らえなかったのだ。

日産の過去を見ると、その時のカリスマに会社が私物化される歴史があるのだ。一時は労働組合の委員長が絶対的権力を握っていたこともある。

ゴーン被告も用心深い。自分は危ないことをやっていると認識していたのではないか。資金を流用する手口は必ず弁護士の資格を持つ部下に検討させていたという。日本の実情に欠ける海外の弁護士だったからグレーも「OK」したのだろう。

ゴーン被告が一貫して無実を主張することの根拠にもなっているのではないか。

そして際立ったのは保釈請求だった。

前主任弁護士に代わって無罪請負人を自負する弁護士になってから急に裁判所が今までの姿勢を変えて保釈を認めることになった。欧米での人質司法への批判、記者会見でのたびたびの保釈請求発言が功を奏したのか。

しかし、オマーンルートでの再逮捕は保釈の在り方に疑問を呈した。弁護人は「一連の行為だから特に身柄拘束する必要はない」と主張するが裁判所は拘留を認めた。弁護団は最高裁に特別抗告したが「抗告に理由なし」で棄却された経緯がる。

だから今回の追起訴後の保釈請求もどうなるかと注目していた。特にオマーンルートは妻や息子への流用が問題になっている。家族が関係者なのだ。自宅に帰って妻と接触することは「関係者との接触」の禁止条件に反しないのか。

公判が始まるまで相当月数がかかる。外国人であるゴーン家族がフランスに帰れない日々が続くのだ。「一時帰りたい」と主張していたがどうなるのか。フランス政府が救済に動くのか。

そのフランス政府もルノーと日産の経営統合をルノー経営者に押しつけている。日産は当然拒否だろう。そんなことをしているからに日産の業績は落ちている。配当が減るので困るのはルノーも同じだ。

ここは経営統合を棚上げにしてグループの信頼を取り戻し、業績を回復するのが一番の課題ではないのか。

そしてこれだけ日産に損失を与えているのだから株主代表訴訟もあるだろう。ゴーン被告、現経営陣の責任が問われる。

原発に対する「安心・安全」:規制委、テロ対策未完なら運転停止命令


原発施設に対する規制委の考え方が厳しくなってきた。期間内にテロ対策を実施できなければ運転中の原発の停止を命じるというのだ。これにより再稼働中の9基が運転停止しなければならなくなる。原発再稼働を進める安倍政権にとっては痛手だ。

原発に対する「安全・安心」では福島第一原発の放射能事故を思い出す。未だかって解決できていない問題が多い。政府の地震調査委員会が15mの巨大津波の危険を予測した時、東電は率先して防潮堤強化対策を実施すべきだったが、土木学会に検討を依頼したり、業界内へ「東電は対策せず」の情報を流し主導(?)した経緯がある。その結果があってはならない大事故を招いた。

そのこともあってか規制委は厳しい決定をした。当然だろう。

テロ対策の現状は、期間が来年に迫る原発もあるが対応できず1年の延期を要望したらしい。それに対して規制委は「不適合状態を見逃すことは到底できない」と言うし、「差し迫って訴えれば何とかなるだろう」という業者の姿勢を厳しく批判した。

委員全員が延長反対だったことを受け、業界は「早期完成に向け最大の努力をする」と言わざるを得なかったのだろう。

今までは業者の要望を聞き入れることが多かった。問題は安倍官邸がどう動くか。

原発と言う巨大技術の「安全・安心」に対して私たちはどう向き合えばいいのか。ちょうど今読んでいる「京大変人講座」で「人間はおおざっぱがちょうどいいーー安心・安全は人類を滅ぼす(那須耕介)」を読んでみた。

食品不正を主に論じているが、原発の安全・安心にも通じるものがある。

安心、安全を確保するために国にルール作り、法制化を頼っている。特に高度の専門性を有する原発については当然のことだろうが、ルールを守っていれば「安全・安心」になり、守っていなければ「危険」と言うことになりかねない。

先生は「自分で確かめて判断することを放棄したことにならないか」と警告する。食品だったらそうかもしれないが、原発だったらどうか。国や原発事業者に重要な情報を握られ、隠されていては判断もできない。

特に原発の場合は原子力三原則があり、「情報公開」が重要になるがここが不十分だ。あの時、NHK解説者が早い時期に「メルトダウン」の発生を警告していたがいつの間にか映像から消えた。誰かの主導で情報隠しを企てたのだ。

当時の民主党の菅政権だったが、菅首相が官邸にいては現場の状況がわからないと自衛隊のヘリコプターで現地に飛んだことが批判されていたが、責任者としては現地の状況を把握することは大事なのだ。

どうしても専門家任せ、国任せになる。安全性を見極めたいために原子力規制委員会ができ検討している。

でも、安全を確保しようと思うとキリがないのも確かだ。専門家に言わせると100%は無理だが60%は可能らしい。

専門家や国が保証してくれたところでその信憑性、信頼性すら判断することができないと無限に不安が広がるというのだ。

だから「本当に気になること」「どうでもいいこと」の取捨選択をやらなければならないが、自然にやっているのだという。

福島第一原発事故に触れ、「本当に心配することは何か」「追及すべき安全とは何か」選択する力が大事なのだという。

原子力発電の安全・安心については原発事業者、規制委員会委員、経済産業省、設置自治体など関連する機関、担当者に如何に信頼を置くかだ。「○○村」間隔はご法度だ。

その意味では今回の規制員会の判断は正しい。


2019年4月24日水曜日

今日の新聞を読んで(241):財政政策の失敗、「公の再創造」とは


長く地方財政審議会会長をやっていた財政学者の神野直彦東大名誉教授は、平成を振りかえり経済成長を目指し減税したのは失敗、今後は「公の再創造」が必要と言うが、何のことか。

日本の財政政策は減税→経済成長→税収増→財政再建のパターンを狙っていたが、成長も期待できず、税収増もわずか、それでも成長を期待して財政出動するので借金は増える一方だ。「大きい政府」から「小さい政府」へ、支出削減をしたが社会保障制度はいびつになり貧富の拡大を招く結果になった。

アベノミクスで狙ったトリクルダウンなど当初から正統派学者は否定していた。

思い出してみよう。レーガン大統領の唱えた「レーガノミクス」は減税すれば税収が上がるという内容だった。放物線を逆にした逆放物線でx軸を税率、y軸を税収とする(南カリフォルニア大のラファ―教授が提案したのでラファ―曲線と言い、当時出版までされた)。凸の部分が税率、税収がベストの点だ。

今の税率がピーク時の右側にあれば税率を下げれば税収は上がるが、ピーク時の左側にあれば税率を下げれば当然に税収も下がる。

問題は税率が税収がピーク時の右側か、左側かが問題だが、当時はどちらともいっていない。

レーガン大統領は税率を下げれば税収が増加するといったのだから当然に右側を想定していたのだろうが実際には税収も下がった。左側に税率があったのだ。当然に税収は減り、財政は赤字の積み上げになった。

当時は税率を上げることで税収増が期待できたのだが、増税はいつの政権でも回避したいところだ。それは日本でも同じだ。

「減税すれば経済は成長する」とは間違っていたのだ。所得税、法人税の課税ベースを他の先進国と同じようにもっと広げるべきだったと神野先生は言う。

財政再建で支出を減らし「大きい政府」から「小さい政府」を政策の最上段に掲げたが、財政規模では「大きい政府」でも生活保障機能では「小さい政府」だと神野先生は言う。

サービスは抑制され、貧富の差が拡大した。安倍総理はいろんな経済指標を掲げて成果を主張するが、街かでのアンケートでは「実感がない」と否定的だ。

借金が増えれば返済公債費が増え、公共サービスも支障が出る。悪いことに悪性インフレを指摘する専門家もいるのだ。

神野先生は所得税や法人税の控除や優遇措置には抜け穴が多い一方で、消費税だけが上がる。これでは誰だって財政のありがたみがわからないのは当然だ。

国民自身が参加し、財政を有効に機能させ、経済を活性化させ「心を豊かにする」ことこそ大事なのだという。民主党政権になり自民党の硬直化した財政政策にくさびを打ち込んだと思ったが「コンクリートから人へ」、「事業仕分け」と理想は良かったが中途半端に終わってしまった。

将来の生活不安を払しょくし、貧富の格差を是正し「豊かさ」を追及できる財政政策には法人税、所得税など大企業、富裕層などへの優遇税制の見直しなど「富の再分配」政策を積極的に取り入れなければならない。

企業、富裕層だけが生き残る日本社会をどう考えるか。


「京大変人講座」は一番役立つ講座(2):地球温暖化が続くが今は「氷河期」の流れ

今は「間氷期」で地球の流れは「氷河期」の中だが、なぜか温暖化が続く。今回は京大変人講座の小木曽哲先生の「毒ガスに満ちた奇妙な惑星へようこそ・・学校では教えてくれないが! 恐怖の地球46億年史」の中で地球は3度の「全地球凍結」があったのをはじめ5回の大事件があったという。

思い出すのは55年ほど前、学生時代にこれからは寒冷化に向かうので就職は東洋レーヨンのような繊維企業がいいと先輩たちが言っていた。ところがなんだ、今、温暖化に窮しているではないか。あの時は京都も寒かった。

地球の長い歴史の中でテームズ川が凍結している写真を見て知ってはいたが、その地球凍結のスケールに驚く。本講座は紙面に限りがあるがよく読むと、良くまとまっていることに感心する。

地球46億円のうちには大きな出来事が5回起きた。

   生命の危機 嫌気性の環境下で酸素と言う猛毒が発生、27億年前

   全地球凍結 赤道付近まで凍結 6億5000万年まえ

   海の超酸欠事件 海で酸素がなくなった 2億5000万年前

   恐竜絶滅 6500万年前

   現在進行中の「氷河期」 1万年前に終了し今は「間氷期」

それぞれ地球の一大事だったが、不思議に生命は種は違っても生きながらえたのだ。

その中で地球温暖化に関する記述を見てみた。

「全地球凍結」は、23億年前、7億年前、6億5000万年前と3回地球の海面すべてが氷で覆われたという。赤道付近まで氷河が流れた。氷河が流れると周りの岩を削って角張った石ができるが赤道直下の海底にそのような石が存在するのだそうだ。

何故、こんなことが起こったのかと言うと、銀河宇宙線が原因のようだ。宇宙線が大気と衝突し雲が発生する。これは知られていることだが、その厚い雲に覆われて地球がドンドン冷えたらしい。今までは氷河といっても日本ぐらいまでと思われていたので赤道までとは驚く。でも生命は氷の下でも生き延びていたのだ。

現在、地球温暖化の要因にCO2人為説が有力だが、シミュレーションでも雲の影響を十分に考慮しているかどうかと言うと疑問らしい。

ところで地球温暖化について、46億年の地球の歴史で2~10万年間隔で気温が上がったり下がったりしている。地球の気温が上がるときにCO2もあがる間氷期、その後どんどん気温が下がりCO2量も下がるときが氷河期で1万年前だった。

ところが今、氷河期の流れの中にいると地球の気温は下がっていき、次の氷河期を迎えうると言うのだが奇妙な現象が起きているのだという。

現在の間氷期は気温が上がったまま1万年たとうとしている。過去の傾向と違うが例外的に長く続く間氷期の原因がわかっていないのだという。

一般に言われているのはCO2の濃度が上がり気温が上がっているのは、ここ200年のスパンだ。CO2人為説、自然変動説と原因はわかれているが、世界の主流はCO2など地球温暖化ガスによる影響だ。

でもここにきてCO2は上昇しているが平均気温は横ばいの状況が続いている。自然変動説を唱える専門家は「それ見たことか」と意気軒高だが、CO2人為説を唱える専門家は「10~15年すると、再び気温は上昇に転ずる」と予測している。

地球で私たちが生きることができるのは、たまたま太陽からの距離がH2Oが液体の状態で存在できる「ハビタブルゾーン」にあったためだ。この範囲に位置するのは地球と火星だ。火星には水がない。その理由は「太陽風」から地球を守る「地球磁場」にあるのだ。地球磁場が太陽風を外側に大きく飛ばしているのだ。

ところが地球の未来も楽観は許されない。

太陽がどんどん明るくなり、遠ざかって行き(?)「ハビタブルゾーン」から外れそうになるのだ。そうなると水は一気に蒸発し「暴走温室効果」が起きるぎりぎりのところにあるという。

では人間の将来どうなるのか。

どんな環境下でも人間でなくても生命は生き延びるということが地球46億年の歴史が証明しているということなのだろう。



 

2019年4月23日火曜日

「京大変人講座」は一番役立つ講座(1):「不便さ」の効用、「便利さ」が人間をダメにしていないか

今、「京大変人講座」が注目されている。何故だ。思えば一番役立つ講座ではないか。今読み始めたばかりだが、「便利さ」が人間をダメにしていないかと反省する。今の世の中にあって「不便さ」の効用がうたわれているのだ。

京大は「あの人変人だよね」と呼ばれれば「立派な褒め言葉」というし、京大の「常識」は世間の「非常識」と言われているらしい。そういえば京大出身のノーベル賞受賞者の口癖は「専門家、権威者の言うことを疑え」、「教科書を信じるな」だった。学問の常識、定説にとらわれていてはいい研究結果は得られないというのだろう。

アマゾンで「京大変人講座」を注文して3週間後にやっと届いた。読み始めたが、今回は第4章「何故、遠足のおやつは300円いないか・・人は不便でないと萌えない(川上浩司)」に注目した。

確かに世の中は「便利さ」を追及する反面、「不便」が解消されてるように見えるが、「それで社会は豊かなのか」「何かを失っていないか」「モチベーション?」と問う。今流行りの「自動化」にも落とし穴があり、「不便でも人は楽しめるのだ」と言う。

講座の内容を読むに従い実生活で「そうなんだ」「経験したじゃないか」と相槌を打つ。「不便」でもいいものだと感じられるようになるし、警告にも理解が広がる。

「不便なもの」が社会を豊かにする(川上浩司)。年を取ると実感できるのだがそれでは遅すぎないか。

孫が面白いお菓子を買ってきた。いくつかに区切られたプラスチック容器の区分毎に何種類かの材料が入っていて、比較的大きな区分に粉と水を入れてかき混ぜると粘っこい飴状のお菓子ができる。確か色が均一になったところでかき混ぜは終わり箸などに巻き付けて舐めるのだ。満足げな顔で皆に分け与えて舐めている。

かき混ぜるという手間をかける「不便さ」はあるが面白いらしい。ヒット商品らしかったが今はどうか。

日々自動化が進んでいる。特に車の安全確保システムの進化は早い。12年乗っている車の買い替えを考え、デイ―ラ―に行ったが、フロントガラスに速度、ナビ情報が移り、目を下にやり計器類を確認しなくても前方見ていると当時に情報を得ることができる。車線変更するときは首を左右に振り安全を確保しなければならないが、ドアーミラーに後続車の情報が警告されるようになっている。もちろん追突防止の自動ブレーキもついている。GPSとガードレールなどへのセンサー取り付けなどインフラ整備で自動運転までできそうだ。

しかし、考えてみよう。運転者へ要求される安全確認能力はどうなるのか。運転するときは車の周囲の安全を確認しなければならないがこれではその能力も必要としないのでは劣化するばかりではないか。「便利さ」を追求するあまり大切なものを失う結果にならないか。

自動化で気になるのは、マンションでのエントランスなどのエントリーキーなどによる自動開閉だ。今、首都直下地震の切迫性が言われているが、地震により停電するとエントランスでのキーによる開閉ができなくなる。その時は非常階段などでドアーをキイで開け閉めしなければならないが、多くの場合平常時はキーを持たずに外出している場合が多い。そうなると万一の時にマンションに入る手立てがないのだ。だから外出するときは必ずキーを持つことが大事なのだが、私の住んでいるマンションでは「誰かが部屋にいる」ことを前提に行動している。

自動化には落とし穴がある。「便利さ」になれているとイザと言うときにどうしていいかわからないのだ。

乗り物も便利になった。歩く代わりに自転車、車に乗り移動する。移動するスピードが速ければ街の情報が十分に得られない。歩くと周辺の状況が丸見えだ。「こんなところに喫茶店が」とわかると入ってみようという気になる。「街角の喫茶店」は雰囲気もいい。

面白いのは「300円以内」という絶妙なウキウキ気分だ。

孫が明日遠足で「300円以内で」お菓子を持ってきてもいいということになった。コンビニかスーパーへ行くのだが、お菓子の数が多く、しかも値段が安いということでコンビニに行った。目を輝かせてお菓子を選ぶ。おカネの計算もしながらオーバーすると返品しほかのお菓子を組み合わせる。「300円」と制約されることは確かに不便だがお菓子選びは良い思い出になるようだ。京大変人講座では物の価値を上げモチベーションを高める効果が「不便さ」にあると説く。

介護施設でのバリアフリーにも問題があるという。危険なので階段や急こう配を避ける傾向にあるが、それを逆手にとってむしろ介護や素行訓練に活かす手段を取った介護施設が評判になっている。「不便さ」を逆手に取ったよい事例として評判になっているのだ。以前にテレビの情報番組で紹介されていたので思い出す。

AIとか完全自動化などで世の中は「便利」になりそうだが一概にそうとは言えない。「不便さ」は手間をかけることに役立つ。AIを利用し受付をロボット化し省力化したホテルが出現したが、評判が今一つらしい。決められたことは処理できるがお客さんの要望に応えきれないのだ。そこでロボットを縮小することにしたらしい。いろんな要求事項を処理するにはロボットでは無理なのだ。「人間の手間」が要求されるのだ。

「不便」は手間だが役に立つという。「製品が進化するとうつ病にかかる人が多くなる」と警告している。「不便」を取り入れ工夫する、考えることが大事なのだ。

確か、川上先生は「素数物差し」を考案したと聞いたことがあるが「京大変人講座」でも紹介されている。物差しに2,3,5,7・・・と素数しか記されていないのだ。それが評判で売れているらしい。例えば普通の物差しなら4cmを測ろうとすると0-4を線引きすればいいが「素数物差し」だと3-7を線引きするのだ。「不便」だが一度頭の中で計算する必要がある。

面白そうだ、次に京都に行ったとき京大の生協によって買うことにしようと思う。

私も京大出身だ。共感する点が多くある。変人かもしれない。孫に聞くと「大いに変人」だという。


2019年4月22日月曜日

ゴーン被告の特別背任(8):これだけの「経営者不正行為」で何故、「無実」の主張か

ゴーン被告の特別背任罪で上がってくる数々の「経営者不正行為」だが、何故、ゴーン被告は「無実」が主張できるのか。4度目の逮捕でオマーンルートでの「中東人脈」がかかわるマネーロンダリングでは日産からの資金が妻や息子の会社に流用されていることが分かった。私的流用が確定的になったのだ。

さらにはルノーの調査でも私的流用が見つかりフランス当局に通報したという。

4件目の追起訴されたが、一連の行為は関連性があり逮捕の必要はなかったと主張していた弁護団は保釈請求をしたというが、先の特別抗告では最高裁が「抗告の理由なし」として却下された経緯がある。今回東京地裁がどう判断するかだ。

オマーンルートでの私的流用は妻や息子が関係者として重要になってきた。関係者との接触を禁じた保釈ではどうなるか。証拠ねつ造なども考えられる。

それにしてもこれほどの不正行為をしながらゴーン被告は「無実」を主張している。「会社のため、業務のため」と反論し日産と戦う姿勢だ。資金も手続きを経て取締役会にも図っている。「正当な行為なのになぜ、違法なのだ」と言うことか。

ゴーン被告も危ないことをやっているという認識があったのだろう、やる前に弁護士資格を持つ部下に検討させ「OK」を得てから実行していたのだ。

ゴーン被告が「無実」を主張するのは、日産、中東日産での資金の流れとその後のマネーロンダリング行為、妻や、息子などに私的流用することとを区別しているのではないか。前半だけで「無実」を主張しているようにしか思えない。

おまけに陰謀、策略だという。身を引き上げてやった連中に追い落としを食らっていることに反論しているのだ。最近はルノー、日産の経営統合に対して経産省が異議を唱えていることが報道された。弘中弁護士は背後に経産省がいると言っていたのを思い出す。

ここは日本だ。裁判官も日本人、外国人的考えは通用しないのではないか。認めるべきところは素直に認めた方が裁判官の心証はいいのだが。




大阪、沖縄衆院2補選:与党は敗北というが、野党も素直には喜べない


2019.4.22
 民放テレビニュースより
統一地方選後半の注目だった大阪12区、沖縄3区の衆院補選は与党の敗北に終わったが、野党だって素直には喜べない状況だ。

衆院大阪12区は藤田さん60,341票、北川さん47,025票、維新の牙城である選挙なので維新の会が勝利するのは当然だろうが、維新vs非維新の構図で考えると北川さんと樽床さんの得票を合計が82,383票になり、やり方によっては維新を倒すこともできたのだ。

沖縄3区は屋良さん77,156票、島尻さん59,428票で「辺野古NO」での選挙だったので屋良さん勝利は当然だろう。でも特殊事情があったとしても自民系は善戦したのではないか。

投票率は47%程度だったが、もっと上がっていれば勝敗はどうなったか。有権者も今回はただの補選、国政に大きな影響はないと思ったのだろう。

自民党は一応敗北を認めるが、そう「やわ」ではない。二階さんは「大変残念な結果だ。謙虚に受け止め敗因分析を急ぎ今後に備えたい」という一方で「選挙だから多少の影響はあるが、即政権の成否が問われるとは思はない」と強気の発言だ。敗因分析というがすでに分かっていること。安倍一強政権への「飽き」「おごり」へのしっぺ返しだ。

公明党も「それぞれ選挙事情があった」とは言え「政権に緩みがあった」と指摘する。政権与党として自民党を応援すべきだったのだろうが、今回は特別な事情がある支援できなかったのだ。

一方の野党は正直言って勝ったとは言えない。旧民主党としての党勢回復は無理だったのだ。

当然に参院選に向けての協調、統一候補が必要になるが、あまり進んでいないのだ。全国32の一人区で一本化できたのは愛媛、熊本、沖縄だけ、立憲は5区、国民は6区で独自候補を擁立するらしい。これに共産が24区に候補者を擁立、前回のように「おろす」ことは考えていないとけん制する。

立憲の枝野さんが主導権を取りたいために国民との共闘を嫌っていたが政党支持率が伸びないとわかり方針転換してきた。

その衆参同日選挙も二階さんは「今のところ考えていない」というが、ANNの世論調査では賛成54%、反対28%で同日選挙に国民は共感している。自民党を一気に落とすことが出来るというのか、安倍政権への「飽き」「驕り」が出てきたのか。

今まで多くの議席を得ていたために衆参同日選挙では議席数を落とすことは確実だがどれぐらいの減になるか。

もうすぐ週刊誌などが調査結果を発表するだろう。自民党も独自調査し決行するかどうかを判断するのではないか。

血圧改定130-80:治療目標値というがまたまた厳しいく、健康値は

読売新聞 2019.4.20

予定されていた高血圧の数値が日本高血圧学会から発表され130-80は現行指針より10も厳しくなった。治療するときの指針値と健康値(?)を区別し、今まで改定のたびに問題になった医者、製薬会社が儲かる数値批判に対応したのか。

90年代は160-95、年齢プラス90の時もあったが、140-90に緩和され今回は治療目標130-80に強化された。

これにより今まで高血圧患者が4300万人と言われていたのが6300万人に増加することになるのか。高血圧患者が数値で生産(?)されるのだ。患者が増えれば医者や製薬会社、薬局が儲かる。新しい降圧剤開発に製薬会社は大学病院など医療機関と組んでデータねつ造する。

それほど高血圧治療薬は両者にとって「おいしい」薬剤なのだ。

一方で、人間ドック学会、健保連は統一的な健康基準を発表している(2014.4)。

最高血圧129~147、最低は51~94だ。病気の基準はあったが、健康の基準はなかった。健康の物差しであって病気のリスクではない。これに対して日本高血圧学会は批判する。他の病気との関係、脳梗塞、心筋症などへの予防を訴える。

当然のことで薬に頼らず食事、運動、ストレスの回避など重要であることを指摘している。

でも考えるに、年齢が高くなると血管も老化し硬くなる、血圧も上がるのが常識だ。それを薬で血圧を落とすと体に回る血液量が不足する。それによる病気が怖いのだという説には納得が行き。

血流が悪くなると認知症になりやすい。治療している医師が言っていた。降圧剤を投与しているのに脳梗塞のリスクが2倍になることにきずいたというし、知人の奥さんがなくなったので手伝いに行くと「今日医者に行く日だった」と言う。起きてこないので寝室に行くと亡くなっていたのだそうだ。夜寝ている間に血圧が下がりすぎたのか。

私も他人ごとではない。医者の前で血圧を測られると血圧が上がるのだ。白衣高血圧と言うらしい。だからもう10年近く血圧測定したことがある。

健康診断で血圧が高いと指摘されたら最近の血圧測定値を示すことにしている。135-85付近を維持しているのだ。「これでいいでしょう」と言う医者もいれば、「家庭で測定する場合は130-80を指導している」という医者もいる。

私は、160-90を一応の基準にしこれを超えるようだと医者に行くことにしている。でも、風邪などで内科に行くと必ず「血圧を測りましょう」という。「高いですね」が次の言葉だ。その時はもう10年も血圧測定していて結果は135-85だと説明することにしている。

家庭での血圧測定も医者によって指導が違う。一日に数回測ると血圧はしょっちゅう動いているので一回でいいという。でも朝、晩と2回決められた時間付近では測っている。「寝起きてすぐ」と言う医者もいるが、ある程度落ち着いてからと言うことにしている。

測定回数は少なくとも2回だ。最初は高めに出る。平均値を取れという医者もいるがどうか。

測定器は上腕式だ。家電量販店でいろんな血圧計を試してきたが数値にばらつきが大きい。

また、5年後の改定時にどんな数値が出るか。高血圧患者は医者によって簡単に作られる。注意が必要だ。