2019年6月12日水曜日

2000万円生活費不足(1):安倍政権は大企業、富裕層寄り、庶民生活は二の次?


読売新聞 2019.6.12
老後の生活費が2000万円不足するという金融庁の審議会がまとめた報告書が批判の的になり、選挙を控えて与党は火消しに必死で麻生大臣は報告書を受け取らないと言い出した。

新聞報道によると、17年の家計調査から夫65歳、妻60歳の高齢無職の所帯では毎月5万円の赤字が出、20~30年人生で1300~2000万円の赤字になるから「100歳生きるには自分たちで工夫せよ」と警鐘を鳴らしているのだ。

「チョッと待った」、つい先ごろまでは「年金100歳安心」と言っていたのではないか。

野党からの批判を受け、参院選も控えて麻生大臣は報告書を受け取らないといいだした。安倍総理も不正確な表現と謝罪したが、全体の内容は変わったのか。

新聞報道では民間の研究機関も試算しているが、18年度では必要額が1500万円に減るという試算もあるが、年収によってはもっと不足するという報告もある。要は金融庁の諮問機関の報告は概ねあっているのだ。

そもそも自民党政権は、安倍政権に限らず大企業、富裕層向けの政策が多く、庶民の生活などは後回しでお零れにあずかる程度なのだ。

安倍総理は国内に企業を呼ぶために「世界で一番経済活動がし易い国」を謳い法人税、実行税率の下げたり優遇税制を打ち出した。

大企業、富裕層向けの政策を「甘い言葉」でセールスし、メデイアはメリット、デメリットを説明するが販売期限(法案成立)が迫り押し切られる。「買わされた」一般国民は欠陥商品(欠陥政策)に当たったようなもので、反省しても後の祭り、だんだん政治から離れていく。今の選挙の投票率を見るとわかる。

第一次安倍内閣は「消えた年金問題」で政権が倒れた。

民主党が政権を取っで3年後、6年前に第2次安倍内閣が発足した時、経済政策として3本の矢を放すアベノミクスを打ち出した。

第1の矢の金融緩和で円高→円安、株安→株高へ。時の流れにも乗ったが輸出産業の大企業は潤った。2%物価上昇目標を掲げ年80兆円の国債買い入れ、ゼロ金利で投資を誘ったが内需拡大、消費促進の投資には至らず不動産投資などで法人の内部留保は446兆円、株の買い入れも29兆円に達した。金利ゼロは銀行預金金利も上がらず、タンス預金に回った。

国民の実質賃金はマイナスだ。国会やメデイアがこの点を追及すると安倍政権は総雇用者所得は上がっていると反論する。同じ土俵で議論しないのだからどうしようもない。

さらに、社会保障の負担は増える一方だ。「弱者いじめ」と批判されるが一向に安倍政権は動じない。

これが、安倍政権の6年間の実績だ。

第2の矢の財政出動も経済成長を目指しての政策だが税収は増えるも予算執行には不足で19年度予算では32兆円の赤字国債が必要になる。財政健全化と財政出動は経済成長の両輪と言うが、そもそも正反対の政策だ。うまく行くはずがない。

国、地方合わせての債務残高1122兆円になるというが安倍政権でも赤字は増えている。だから消費税増税は社会保障制度の維持のためにも必要なのだ。増税延期となると19年度の予算はどうなるのか。

一方で資産も5~600兆円あるので問題ないという専門家もいるが、国会でも十分に審議されていない。

そもそも2年で2%物価目標、脱デフレを目指すと言っていたのがどうなったか。今、1%程度で推移しとてもではないが達成は無理だ。

年金生活者にとっては物価は低い方がいい。いま流通業では値下げの傾向にある。値上げすると客が減るのだそうだ。

そこで問題は「何故2%か」と言うことになる。この点は国会審議でよく覚えている。民主党(民進党だったかもしれない)の前原さんが予算委員会で安倍総理に「何故2%か」と質問した時に安倍総理は「2,3,4,5%といろんな数値が叫ばれているが一番達成可能な2%にした」と言うのだ。前原さんも「その程度の根拠か」と驚いて「今後も追及する」と言っていたがどうなったのか。

2%はグローバルスタンダードでどの国も目指しているがアメリカが達成したといっても安定的でない。日本も安定的に2%が維持できるまで異次元の金融緩和を続けるというのだ。

フランスではガソリンの値上げに端を発してマクロン政権は富裕者寄りと批判され大規模なデモが続いている。マクロン政権は国民に懐柔政策を提案しているがデモの勢いが続く。

ところで日本はどうなんだ。国民はフランス国民と同じような環境にありながら何故、おとなしいのか。

迫る参院選で国民の怒りを爆発させたらどうか。

立憲民主党の枝野さんがやる気を出したのか、参院選公約で国家ビジョンを発表した。①家計所得を起点とする経済の転換、②多様性を認め合う社会、③お任せ民主主義から参加型民主主義へという。

人口減少、高齢化、年金問題を抱え家計への再分配、価値観、ライフスタイルは多様化し大きなテーマだが、大企業、富裕層向けの政策では不可能だ。

国民が政権に物を言うのは選挙だ。安倍政権の政策に「疎外を感じている」国民は奮い立て。


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