2019年6月6日木曜日

今日の新聞を読んで(256):景気はいいのにインフレ目標未達、低成長を抜け出せないか


政府、中央銀行はインフレターゲット2%をグローバルスタンダードにしているが、いまだ安定的に2%達成は難しい。「景気は好調なのに何故だ」とFRBパウエル議長は物価上昇への期待が急速に落ちるのを危惧する一方で、「もはや輝かしい過去の再現はない。経済指標を超えた思考が必要だ」とロバート.ゴードン・ノースカロライナ大教授は言う。

世界銀行の2020年成長率見通しを見ても米中貿易摩擦、世界経済の不確実性が高まる中で世界の成長率はマイナス0.1%の2.6%、先進国で見るとマイナス0.1%の1.5%、米国は1.7%、日本は0.7%、中国は6.1%、日本は相変わらず低成長だ。

大阪でのG20首脳会議でトランプ大統領と習主席の会談がどうなるかにかかっているが、大方の見方は米中貿易紛争でFRBは利下げするのではないかと市場は見ている。ここでFRBが利下げをすると折角の金融正常化も中途半端に終わってしまう。

ドルは売られ反対に安全資産として円買いだ。円高に日銀がどう動くか。いざと言うときは追加緩和をにおわせている黒田総裁だ。すでに低金利は銀行経営を悪化させ地方銀行の統合が話題になっている。

ところが、ロバート・ゴードン教授は朝日新聞とのインタビューで「もはや輝かしい過去の再現はありえない」と言う(朝日新聞2019.6.6)。

それによると今までの100年は、偉大な発明と生産性の向上で「特別な世紀」、一度きりの出来事だったと言う。長期停滞論者の言うことには説得力がある。

日本は子供や移民も少ない。当然に労働力、消費者が足りない。投資の機会も減り成長を妨げているとみる。賃金も物価上昇にも追いついていない。労働組合の力落ちグローバル化により低賃金国と競争しなければならない。

成長が止まっているのは日本ばかりでなく、日本は低成長に一番乗りしたが欧州、米国も同じように停滞している。

そして、個人の幸せと経済成長の関係は明らかでない。一人親の元で過ごす子どもの割合が増加している。これが貧困、大学進学率の低下、犯罪に結びつく。

そのためにはコミュニテイ―をどう立て直すかで、経済指標を超えた思考が必要になると重要な指摘をしている。

安倍総理、黒田総裁も物価上昇2%を安定的に達成できることに異次元の金融緩和の縮小に向かうタイミングとしている。その判断を安倍総理の任期中にしたい意向を述べていた。

上がりにくい物価を何故上げようとしているのか。低成長時代をどう生き抜くか。

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2019.5.30掲載
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