2019年6月30日日曜日

大阪G20首脳会議(5):首脳会議が終わってわかったこと、安倍総理は国民にどう説明するか


「外交の安倍」を国民に見せ付ける場として安倍総理は大阪G20首脳会議を選んだのだろうが、安倍総理の外交力は世界の首脳に通じたのか。宣言も玉虫色の表現に、問題の真意は不明で解決の糸口も多くは今後に持ち越した。

安倍総理は参院選を控え「外交の安倍」を国民に見せ付けたかったのだろう。通常はG7サミットの後でG20首脳会議が開かれていたが、今回は安倍総理の意向でG20が先行することになったようだ。

どこまでも自分本位で国際会議まで利用しようとしたが、他の首脳は議長国の魂胆が分かっていたのか、共同記念写真現場では他の首脳に「ガン無視」されオロオロする写真を報じたメデイアもあった。

一番の注目は米中会談だ。米国は第4弾の追加制裁を見送り、ファーウェイ問題では米企業による輸出を認め、今回は一時休戦で今後、通商協議を再開するという。

知的財産の侵害、産業補助金は中国の「構造問題」であり、中国は譲歩できないだろう。自由貿易を推奨する中国もここでは「保護貿易」なのだ。

米中リスクは一応回避できたが市場はどう反応するか。

トランプ大統領は記者会見やッイッターで不満を漏らしているが、その本音、真意を確認していない。更なるエスカレートを嫌ったのか。

日本では安保条約の存在、欧州ではNATOへの軍事費負担増など米国頼みの安保が問題になっている。

トランプ大統領は日米安全保障条約は片務的だと批判する。日本が攻撃されたら米国は日本を守るが、米国が攻撃されたら日本は何もしないという。在日米軍の軍事費の負担増もにおわす。トランプ大統領は何度も日本政府に伝えているというが、日本政府は「聞いていない」と否定する。

この点に関してはトランプ大統領の真意が分からない。むしろ在日米軍の問題を詳しくは分かっていないのではないかと思う。日本は基地を提供しているし軍事費の負担も他の米国閣僚が「日本が良い例」ともいう。トランプ大統領の本音はもっと兵器を購入しろということか。すでに5兆円をこえ防衛費はGDPの1%以内の枠組みを超えた。F35もアメリカの専門家に言わせれば「時代遅れも代物」という。

イージスアショアの秋田、萩配置に当たっては防衛省の資料に大きなミスが見つかり住民の反対にあっている。

在日米軍問題でトランプ大統領は撤退とまで言っていない。NATOでは撤退まで言及しマクロン大統領が「それなら自前の軍備を構築する」と言い出した。

日米安保条約は自民党政権の寄ってたつもので「強固な日米安保」が安倍政権の存続基盤なのだ。これが揺れることになると自民党はあわてるだろう。

G20首脳宣言も苦労がにじんでいる。「反保護主義」は2年続けて採用できず、宣言の原案にあった「自由貿易の推進」も最終案では抜けていたようだ。今回の「自由、公平、無差別な貿易および投資目標を実現するよう努力する」表現も反対する国があったという。

世界経済への見方は「成長は低位であり続けておりリスクは依然として下方に」と警告している。その根源は米中貿易摩擦だが、今回の先送りで市場はどう判断するのか。

地球温暖化での「」パリ協定」も言及しなければ合意に署名しないとマクロン大統領は早々と発言していた。どう表現するかもめたようだ。離脱した米国と他の首脳の違いが鮮明になったそうだ。結局は昨年と同様の表現になった。米国を除き他の組は完全実施を確認するという。米国の態度は残念、マクロン大統領は失望したという。

トランプ大統領が登場して以来、協調路線は通用しなくなった。今回の大阪G20首脳会議もそれぞれ個別首脳会談で内政、外交を話し合っている。その場をG20首脳会議は提供している意義は大きい。世界が注目した米中首脳会談もその一つだ。

その当事者であるトランプ大統領も最後は韓国訪問での米朝会談で金委員長との会談があるかどうかにメデイアの目をそらさせた。国際会議の場で米国が孤立していること分かっているのだ。さらには大統領選に向けての米国内での民主党候補選びの討論会も気になるところだろう。先の調査で民主党バイデン候補がトランプ大統領を大きく引き離している結果を見た。

安倍総理の意気込みとは違う結果になったが、今後参院選、国会審議でG20で明らかになった米国との関係をどう説明するのか。今、首相官邸、自民党では関係者が雁首そろえていい訳を考えているのだろう。対中、対ロでも事態の進展は見えてこない。逆行している感じもする。

G20首脳会議、G7サミットも主導権を取れない国が順番に議長国を勤めていても進展はない。ここは米国が議長国になって取りまとめてみたらどうか。好き勝手なことはいえないはずだ。




0 件のコメント: