2022年12月7日水曜日

高い防衛費、消費税など:西欧の近代化社会が何故、日本に取り込まれなかったのか

 

岸田総理は防衛費を5年間で43兆の大幅増を指示した。北朝鮮のミサイル、中国の尖閣諸島領海侵犯など日本の安全を脅かす事例が急増している。ところが財源をどうするのかと言うとまだ決定していないようだ。 

まず「規模ありき」の防衛費だ。今はGDP1%枠をはめていたが今後は2%枠まで拡大だ。「根拠は」と言うと西欧の事例を挙げる。西欧ではすでに防衛費はGDPの2%になっているというのに何故、日本は1%を超えることでギクシャクするのか。 

そればかりではない。消費税もやっと10%になり、社会保障費などに充当すると言っていたが、財政出動で赤字は積み上がりGDP比250%の先進国一悪い状況だ。そこで増税論も出てくる。海外では15~20%、北欧では高負担高福祉の福祉国家だ。 

日本の市場は閉鎖的と指摘され米国が日本政府に市場開放を強要した。確か名称は「年次要望事項」とか言ったはずだ。小泉政権で郵政民営化を推進し、反対する者は「抵抗勢力」と攻撃し、民営化をやってのけた。米国の強い要求があったのだ。 

安倍政権で円高、株安に悩む日本経済に脱デフレ政策(?)としてアベノミクスの第一の矢で「異次元の量的緩和」を実施した。民主党から自民党に政権が変わるときの総選挙で自民党候補者は「市場にカネを流せば円安になる」「そんなことが何故わからないのか」と民主党を批判したものだ。 

安倍さんは潮目を変えようとリフレ派の金融政策を採用、「2年で2%」の物価上昇を目指すと日銀黒田総裁が宣言した。 

量的緩和は今年ノーベル物理学賞受賞したバーナンキさんらの政策らしい。どの国もリーマンショック後の景気回復に「量的緩和」を採用した。日本も白川さんの時に量的緩和を採用したが緩慢なやり方だった。「とりあえず物価上昇1%を目指し、その後様子を見て1.5、2%を目指す」と言っていたが安倍さんは聞かなかった。

同じように量的緩和策採用で諸外国は物価が上昇、インフレの動きが出てきたために量的緩和を縮小、利上げに踏み切った。出口戦略の判断が速い。一方で日本は物価上昇がゼロ付近で出口戦略を検討する時期ではない状況が9年近くかかっている。 

FRB, ECBの様子を見ながら異次元の量的緩和策の継続だ。賃金も上がり物価も上昇する好循環を目指すという。 

何故、日本は賃金が上がらないのか。30年近く低迷し4%ほどしか上がっていないらしい。海外は上昇している。新聞で各国の比較データを見ると日本の低さに唖然とする。時間給だって相当の開きがある。日本は人件費を固定費と見てコストカットの対象にしている。首切りか非正規従業員の増加だ。 

さらに、日本は外需頼みの政策で海外から内需拡大を要求されている。海外からの圧力に屈してか(?)、前川レポート。21世紀版前川レポートが公開されたが、いずれも失敗だった。その要因は「企業の儲けを分配する」システムがなかったことだと評されている。 

更に日本は高齢化、少子化が進み国内市場は縮小気味だ。当然に海外市場をま座すことになるが、コストのことを考え生産拠点を海外に移した。新聞報道でも30年までにサービス業、製造業でかなりの従業員不足を生じるという。海外から労働力を得ようとも人件費が安いことと、円安で海外の若者にメリットがないらしい。 

少子高齢化は日本が先行しているが中国も同様の傾向が予想さえる。中国が世界経済を主導していくことは期待できなくなった。 

折角の緩和マネーも設備投資には回らず、逆に資産格差を生んでいるとメデイアは報道する。 

西欧の社会での動きと日本での動きが何故、違うのか。すべてが後れを取っている感じだ。 

そんなことを考えると朝日新聞(2022.11.25)、オピニオン&フォーラム 「アベノミクスの功罪」での京大名誉教授佐伯先生のインタビュー記事に近づいたか。

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