2021年7月27日火曜日

「黒い雨」上告見送り:菅総理の本音は「これ以上、オレを悪者にされたくない」か

 「黒い雨」を浴び健康障害を受けたとした84人全員を広島高裁は「被爆者」と認める判決を受け、菅総理は「政治決着」として上告を断念したという。

高裁判決を受け、広島県、広島市は上告見送りを国に求めていた。県や市は援助対象を拡大するように求めていたのだ。

一方、厚労省や法務省は今までの経緯もあり、「上告は避けられない」姿勢を示していた。新聞報道でも政府内でもこの判決は飲めないとして上告意見が強かったらしい。しかし、判決では、認定しない場合は理由を立証する責任が行政にあるとした。

こういう訴訟の場合は、「黒い雨」で健康被害を生じたという立証責任が訴えた側に課せられるが広島高裁は立証責任を国に求めた。当然だろう、素人の国民に「科学的」立証など難しいのだ。

また、高齢化も進み、早期決着の必要性も出てきた。菅総理は人道的面でも悩んだと思う。県や市は上告に応じない、衆院選を控え上告で菅総理に対する批判は高まるだろう。

新型コロナ対策、東京オリンピック対応で支持率は30%前半まで落ちている。

菅総理の本音は「もうこれ以上、オレを悪者扱いされたくない」ということだったのではないか。「黒い雨」問題も本来なら上告し争われる運命にあったが、今回は諸般の事情から被災者を援護する結果になった。


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