読売新聞2021.7.10より |
3日の大規模な土石流発生から1週間、自衛隊、警察、消防、海上保安など関係者の懸命な行方不明者の救援作業を見ていると大量の水を含んだ土石流の中での作業の困難さがうかがえる。
当初の状況は、伊豆山地区の逢初川上流部の建設残土などの埋め立て物5万m3が豪雨により土石流として下流に流出、甚大な惨事となった。
宅地造成が目的にしろ、残土の埋め立てにしろ埋め立て立地上の適否、雨水、地下水の排出対策、埋め立て物の流出防止のための擁壁設置など安全対策上の技術基準があるが、施工された気配はない。
不法投棄の疑いがあり、熱海市や静岡県は積極的に行政資料の提出、説明を始めた。
埋め立て物の量 届出36000m3が54000m3
埋め立て高さ 15mが50mに
計画堰堤 届出15mだが50mには絶えられない
排水対策 見当たらない
このような埋立地を造成する場合は、谷津や沢、くぼ地を利用するが、一度計画を提出し認められると業者は出来るだけ多くの量を処理しようと適当な作業をする。埋め立て量は当然に計画をオーバーする。違反が見つかり行政が勧告するが守ることなど考えない。大概は「やり得」で、周辺住民が被害にあう。
業者や土地所有者は雲隠れし、追及できなくなる。二次災害を考え行政が対応することになる。多くは税金による処理だ。
土石流起点の様子が知りたかったが読売新聞(2021.7.10)の「熱海土石流1週間」の記事から土石流の起点付近の断面が分かってきた。
それにより2009年の地肌面、2019年の盛り土後、2021年の土石流発生後の断面が確認できる。
それによると上端部から下流60mの地点から土石が流出、160m付近で地肌が見える。と言うことは上端部では崩れずに残っている埋め立て物があるのだ。土石流の2次災害の危険がある。
また土石流は谷間の山肌を削って流出しているので土石の量は多いはずだ。
今回はドンドン真相が明らかになる。本来なら業者や土地の所有者が不利なことは説明しないが、熱海市や静岡県が積極的に資料提出、説明をやっている。黙っていればメデイアが行政の責任を書き立てるかもしれないと思ったためか。
気をつけなければいけないのは、雨だけでなく、地震による埋立地、盛り土の崩壊だ。地震の揺れで地下水の圧力が高くなったりするとすべり面まで地下水が届くと表層崩壊、深層崩壊の原因になる。阪神大震災のとき、西宮市の仁川百合の町の斜面で大規模な地滑りが発生した事例がある。
被害を最小限にとどめるには地盤を知ることだと言う。今回の熱海の土石流災害も、豪雨ではなく地震時に発生していればこれだけの大惨事にはならず、今回のような惨事を防止する対策が立てたのではないか。
今回の九州南部地方の記録的な大雨による河川氾濫、浸水、そして線状降水帯に夜水害も次第に東日本にも来ているのではないか。新聞記事も遠くの他人事ではないのだ。
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