いつものことだが経済専門家の予測は「10人10色」と言われているがいつだったか「10人12色」と聞いたことがある。アベノミクスの第一の矢「異次元の金融政策」もリフレ派経済学者は賛成だが、主流派経済学者は「非伝統的金融政策」「検証されていない政策」と批判したものだ。今になって思えば副作用の多い、世界から見ると周回離れの結果になった。
編集手帳(読売新聞2023.1.23)もエリザベス女王が「リーマンショック後の危機を経済学者は予測できなかったのか」と経済学者に問いただしたエピソードが載っていた。そして日銀黒田総裁の金融緩和策に対して説明が市場によく理解されていないのではと指摘する。
結局、経済学者は自分の専門分野で政策を評価するが、「誰も全体をみていなかった」という。そこが予測を狂わす原因なのだ。黒田日銀の金融政策の見直しを日銀は「利上げではない」「量的緩和の縮小ではない」「出口戦略には言及する時期ではない」とコメントするが、市場は「利上げ」と見、各種金利に動きがあった。
岸田総理は次期日銀総裁人事で「人を変える」と言う。先には黒田総裁と会談し、「市場とコミュニケーションを取るように」と注文したそうだ。
私もエリザベス女王のこの発言には興味を持ちブログに記事を挙げた。朝日新聞(2012.10.11)の「カオスの深淵 危機を読めない経済学」と言う記事が出典だ。
2012.10.12掲載「経済学は社会に貢献しているか」、2015.12.23掲載「2016年経済予測:経済見通しが専門家によってどうして違うのか」の2点だ。
朝日新聞の記事によると、エリザベス女王に質問された経済学者たちははげしくどうようしたという。その時は十分な説明ができなかったので、後日学者や実務家が集まって討論し、当時は「金融市場や世界経済について多くの警告があったが「誰も全体を見ていなかった」という結論になり、女王に手紙を送ったというのだ。
当時の大臣だった与謝野さんも「ハチはチクット刺したぐらいで実体経済への影響は心配していなかったのだ。
經濟、財政の専門かもその程度なのだ。知識は増えるが予測力は増えず、一流紙に論文を載せたりしている専門家もジャーナリストや新聞をよく読んでいる人に比べて突発的な状況を読むことがうまいわけでもない(「科学で勝負の先を読む」ウィリアム・バウンドストン 青土社 2014.12)。
ケインズの高弟で著名な経済学者が「私が経済学者になったのは経済学者に騙されないため」と言ったエピソードもある。
新聞離れが進んでいるようだが、しっかり情報を読み込んで専門家に騙されないように気を付けようではないか。
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