2022年1月6日木曜日

岐路の資本主義:スティグリッツ教授の「銀行は本業回帰を」に大賛成

 

世の中に物が行き渡り、経済成長に陰りが見えだした時、利益を求め巨額なマネーが世界を駆け巡るようになった「グローバル資本主義」はカネがカネを生む実体経済をかい離し批判を浴びるようになった。 

英国では証券市場改革が動き、米国では「ヘッジファンド」が巨額な投資資金を動かし、複雑な金融商品を生み出し証券化し、金融工学が脚光を浴びたことは記憶にある。リスクの高い商品を格付けを高くして金融機関が買い取り販売するが、こんなことが長続きすることはない。 

大手証券会社。リーマン・ブラザーズが経営破たん、政府の方針で「貸し渋り」が発生、企業の倒産が相次ぎ実体経済は世界同時不況に入った。 

これに限らず、国内経済が不況になると、その背景には必ず銀行や証券会社が関係し、銀行を潰せばメンツにかかわると、政府はビッグバンクの擁護に走る。銀行も「つぶれないだろう」という確信があるから一向に経営改善をしない。 

そして、コロナ禍で日銀、FRB, ECRともに市場に大量のカネを流し低金利での投資を促すが、カネは使い道がないので株や不動産投資に回る。 

経済成長のための資金提供であったが、いつものようにマネーゲームとなり、あぶれたカネを貸し出す銀行に批判が集まった。銀行は客先、国民からお金を預かり企業に貸し出し利ザヤで儲けるはずだったが、今、預金金利は普通預金で0.001%、定期でも0.002%だ。タダ同然のカネで2~3%の貸し出しをする。

それでも貸出先は見つけにくいという。地方銀行では経営難にかかり統廃合が進む。東京でも支店の統廃合が進みATMだけが残っている。行員も削減されている。 

私もわずかな年金と株のもうけを普通口座で持っていると銀行から電話がかかり、0・001%の利息ではなく、債券投資はどうですか。1%程度の利息が予定されるという。保証はない当然だろう。 

銀行もどうしてこんなに落ちぶれたのか。昔なら普通預金、定期預金の利息は2~7%はあったと思う。消費が伸びないというが、銀行金利が上がれば利息で買い物しようかと考える。消費が伸び、再投資も始まるかもしれない。経済の好循環だ。金利が上がれば企業は困るというが大企業は内部留保が500兆円近くある。吐き出させればいい。 

中小企業が困るというなら、中小企業向けに低金利を用意すればいいのではないか。

個人貯蓄も1000兆円ぐらいあるらしい。将来に明るさが見えれば吐き出すかもしれない。住環境、教育、社会保障、高齢化人口減少など暗いニュースでは投資はできない。とりあえずはコロナ対策だ。 

でも肝心なことはステイグリッツ教授の言う「銀行に本業回帰をうながす」ことだ。 

そして企業家、経営者は「規制改革」を求める前に何をやろうとしているのか、改革の姿勢を示すことだ。いつも例に出るのが「クロネコヤマトの宅配便」事業だ。当時の小倉さんの経営姿勢を忘れていないか。「何でも欲しがり」の経団連では覚束ない。

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