2022年1月14日金曜日

小さな記事の大きな課題(60):南海トラフ地震、遂に発生確率「90%」に引き上げ

 

産経新聞 2016.5.24

南海トラフ巨大地震の発生が、逼迫している。発生確率からすると「今日の午後か」「明日か」と考えなければならないが、専門家の検証では四国の漁港の潮位の変動記録から2035±5年とも言うし、過去の南海トラフ関連で発生した巨大地震の発生メカニズムの見直しから」もっと先200年後」と言う説まで出ている。 

政府の地震調査委員会は、今後40年以内にM8~9級の地震の発生確率を「80~90%」を「90%程度」に引き上げたという(読売新聞2022.1.14)。 

今までは「30年以内に70~80%」だったと思うが、いつの間にか「8090年」になり今回40年以内に90%だという。10年も延びれば「ひずみ」もたまり確率が90%に上昇するは当然だ。 

海上保安庁の海底調査から「東海」南西側でひずみが蓄積していることが分かった。東海地震の想定震源域がある静岡県沖から日向灘にかけて「ひずみが大きい」ことを突き止めたという(産経新聞2016.5.24)。

又、難儀なことは古文書の記録から定説が揺らいでいるらしいが、南海トラフ地震と首都直下地震が相次いで発生していることも事実だ。1854年M8.4の安政東海地震、32時間後にM8.4の安政南海地震、185511月にM7の安政江戸地震が発生するケースもあったのだ。

寺田寅彦博士は災害は繰り返すというが、このケースも無視できない事実なのだ。 

政府は観測網を整備し、一刻も早い情報を国民に知らせようとしている。紀伊半島沖にはDONET、四国九州沖ではN-NETを整備中だという。南海トラフ巨大地震が発生すると、巨大な津波は早いところで3分、34mの津波に襲われる黒潮町の例もある。 

しかし、地震予知は難しい。「何時」「どこで」「規模?」の3点が必要だという。今までもFM電波異状、大気中のイオン濃度の異常値更にはGPSでの異状から予知を試みた研究者もいるが、残念ながらほとんどが「はずれ」だ。地震学会でも「予知は無理」という。そもそも発生メカニズムが分かっていないからと言うのだ。しかし事後検証から間際の異状を検証することも出来るのだ。 

今まで予知で一番注目した事例がある。 

京大防災研究所が京都、大津の県境の山(?)で井戸水の水位を観測していたところ、水位の上昇が止まったために「地震発生が迫っている」と判断し、学会やHPで詳細なデータを発表した。「井戸水の水位の変動」は地震発生の前兆として当時は通説になっていた。 

ところが一向に発生せず、そのうちにデータの公表もなくなった。「はずれ」たのだろうがこの辺は国道2号、交通の要所で万一のときは経済に大きな影響があるということで公表したのだという。その考えには拍手を送りたい。 

3.11東北地方太平洋沖地震でも1年前に政府は15m以上の津波を想定し、4月に公表する予定だったが、地震の方が先に来てしまった。89年の貞観地震の再来だった。

東電経営陣は政府の地震調査委員会の15m以上の津波を信用せず、何ら対策を立てなかったために非常用発電が水に浸かり原子炉を冷却する非常用冷却水が供給できず、あってはならない甚大な放射能事故を起こしてしまった。 

旧経営陣はその責任を追及されているが「予見可能性がなかった」と責任回避を狙っている。 

政府の発表を信じよう。

 

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