2022年1月18日火曜日

未経験のカルデラ噴火:トンガ海底噴火は何を教えているか

環太平洋地震帯(読売新聞2016.5.16)
に代表的なカルデラ噴火をプロットした

 

15,16日のトンガ海底噴火は甚大な被害を及ぼしているようだが、カルデラ噴火に経験の少ない私たちに何を教えているのか。私たちが知っているのは1991年の普賢岳噴火、海外では1991年のピナツボ山、これから起こるであろう富士山噴火(1707)、カルデラで有名なのは阿蘇山だが発生が9万年前という。 

最近経験したのが福徳岡の場の海底噴火は大量の噴煙と軽石を流出させた。 

そして15,16日のトンガ海底火山のカルデラ噴火だ。8000km離れた日本でも潮位が1.2m上がったし、漁船の転覆事故が起きた。現地の被害はまだ不明だが、10万人の人口で8万人が被災したというから甚大な被害が出ている。 

気象庁も当初は「余り影響はない」と発表していたが、日付が変わり津波警報、津波注意報を流し、岩手、奄美では1.2m、その他太平洋岸で1mの警報を出した。 

繰り返される気象庁の記者会見を見ると「経験のない津波」と言うばかりだが、専門家は噴火による「振」による海面の上下動で早く、遠くへ津波が届いたという。 

何故、船が転覆するのか不思議だったが、新聞報道で鹿児島大に柿沼准教授によると長崎湾では冬季に発生する「あびき」に似ているという。気圧の変化で海面が上昇、下降を繰り返し船の転覆、家屋浸水が発生するというのだ(読売新聞2022.1.17)。 

決して突飛な現象ではなく、どこかで見られる現象なのだ。だから災害時の事案として頭に入れておく必要があるのだ。

日本でも巨大なカルデラを形成した。 

朝日新聞2014.12.1より


阿蘇をはじめ、姶良、阿多、鬼界は有名で、九電の川内原発の再稼働申請でカルデラ噴火が問題になった。九電は前兆があれば原子炉を止めると主張するが専門家は未経験のカルデラ噴火で前兆などわからない。異常が起きても前兆と言い切れるかどうかわからないという。 

万一発生しても原子炉を止めただけでは対応は不十分だ。冷却水の確保ができるか。火山灰は水源、電気機器のも影響を及ぼす。福島第一原発のようになるのだ。 

阿蘇山は周辺で各大学などが観測を続けている。何時だったか、異常が見つかったので「近く噴火」と予知したがなかなか噴火が起こらなかったこともある。こういうことがあると研究者は委縮する。でも何百年、何千年先の噴火の前兆だったかもしれないのだ。 

気の長い話に成果を必要とする研究者がじっくり取り組み出来るか。 

このほかに箱根、十和田、鳴子、北海道では洞爺、俱多楽、阿寒、摩周、屈斜路、支笏などがある。いずれも観光地だ。

火山噴火は観光地をつくり人が集まり宿ができる。万一の時は一瞬にして地獄と化するのだ。

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2021.10.22掲載

阿蘇山の噴火をどう見るか:カルデラ噴火の予兆化、巨大地震の予兆か yamotojapan.blogspot.com/2021/10/blog-post_22.html

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