2020年11月13日金曜日

最近の新聞を読んで(1):量的緩和マネーは「いずこへ」、金融政策は限界、財政政策はどうした

 

一体、巨額の量的緩和マネーはどこに行ったのか、金融政策は限界、では最後の頼みの財政政策はどうなっているか。新型コロナウィルス禍で経済も大きく変わろうとしているが、私たちの生活はどうなるのか。新聞報道では政府が打ち出す政策も効果のほどは分からない。だからこそ不安が経済活動を萎縮させる。 

各国の中央銀行は量的緩和政策を継続しているが、これは日銀が世界に先駆けて採用した金融政策だ。以前、景気悪化で世界の中央銀行総裁が集まった会合で、当時の日銀の白川総裁が「日銀の量的緩和策を採用したら」と提案したら当時のFRB・バーナンキ議長が「他国のことに口出しするな」と不快感を示したと記憶しているが、どういうわけかFRBも量的緩和策を導入した。 

一時、景気も回復傾向になったために利上げをし出口戦略に出でたが、再び悪化して量的緩和策に戻った。日本でも速水総裁のとき、政府の反対を押し切って日銀が利上げに踏み切ったが景気悪化で見直して苦い経験がある。 

それだけ難しい政策だが、今世界は「日本化」することに警戒している。 

だから、黒田総裁をはじめFRBも金融政策は一時的な時間稼ぎ、財政政策の必要性を訴えている。金融政策の効果は限定的で「流動性のワナ」にかかると警戒する。 

財政政策はトランプ大統領に変わりバイデン新大統領は「大きな政府」を目指し財政出動するらしいし、菅総理も「成長選略会議」で改革を具体化する戦術に出た。

金融政策に変わり世界の経済を活性化させてくれるか。財政政策の出番なのだ。 

ところで緩和マネーはどうなったのか。私たちの生活、企業経営、株式市場にどう影響をしているのか。 

日米欧中央銀行の3~10月の緩和マネーは710兆円を市場に流したという。それが今日の株が最高値をつけた株急騰に流れていると見られている。日経平均も25000円に迫ろうとしているがアメリカでワクチン開発に成功したのも要因になっているが、株急騰は急落にも結びつく。 

賃上げや雇用、設備投資には余り流れていないようだ。 

IMFによると世界経済の見通しは「やや改善」というが中国の回復は目立っている。2020年の成長見通しはマイナス4.4%だが0.8ポイント改善したという。2021年は5.2%を予測している。 

しかし2020年の世界債務残高はGDP比98%で、そのうち米国は131%、日本も266%と先進国一悪い。先進国のみでは125%だ。21年度は更に悪化するという。 

新型コロナウィルス対策で1200兆円分が急速に悪化したというのだ。 

日本の銀行の平均預金高は過去最大の793兆円、家計が消費を抑えた結果と特定給付金10万円が消費に回らず停滞していると見られている。 

一方、銀行の平均貸し出し残高は574兆円、過去最高を更新しているが伸び率は8月から低下している。大企業にコロナ対応で予防的に貸し出していた一部が返済されていると見ている。信用金庫が中小企業に貸し出した分の伸び率が高いという。 

財務省の法人企業統計では企業の内部留保が475兆円と8年で最高を更新しているがこちらも伸び率は鈍化、新型コロナ対応のためと見られているが、麻生財務相は賃上げや設備投資にまわせという。 

私たちの周りは賃上げならず、雇用も雇い止めが目立ち、失業も多い。新型コロナ対策で首都圏では営業自粛の動きも出てくるだろう。感染は地方へ拡大している。 

政府は東京オリンピックを見越して大規模イベントの規制緩和も試みているが第3波の襲来で規制を延長するらしい。 

GOTOトラベルも感染拡大の要因になるが政府も自治体も対象区域除外の話はしない。感染状況はステージ2と政府は言うがすでにステージ3と見たほうがよさそうだ。 

そうなると経済は停滞要因だ。経済活動と感染症対策の両立の難しさは日銀レポートでも見られる。国内経済は「持ち直しつつある」というが、改善ペースは緩やかなのだ。政府や日銀の評価は政策的な面が大きくないか。 

日銀は大規模緩和を維持するという。短期金利は0.1%、長期金利はゼロ%の金利政策を継続、企業の資金繰り支援や年12兆円のETF買い入れも続ける。でも経済の見通しは下振れリスクが大きいと見ている。 

イギリスのイングランド銀行は量的緩和を1500億ポンド(約20兆4000億円)にっかうだい、政策金利を0.1%にするらしい。FRBも金融緩和で「景気が多少過熱しても利上げせず」と宣言、ゼロ金利を維持するらしい。 

金利政策は限定的であることは皆認めている。必要なのは財政政策だ。 

バイデン・新大統領は「大きな政府」を目指し、2兆ドル掛けて環境インフラの整備、製造業強化に7000億ドル、経済格差改善で大企業や富裕層への課税強化など10年間で歳出10兆ドルを打ち出しているが、如何にせん議会がねじれで党派対立が激化すれば追加経済対策は打てない危険がある。 

菅政権も安倍政権時の未来投資家意義を「成長選略会議」に変え、経済財政諮問会議で提案された提言の具体化を目指すらしい。 

日銀と政府の舵取りは大丈夫か。政策のしっかりした評価がほしい。

 

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